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新時代ファイアーエムブレムの幕開け(ファイアーエムブレムエンゲージを遊び終えて プレイレビュー DLC邪竜の章対応)

はじめに

あけましておめでとうございます! (執筆時2月3日)

3部作の3作目、集大成としながらもシナリオが明確な終わり方をしなかったゼノブレイド3以降、スプラトゥーン3やディオフィールドクロニクルなど、細々とゲームは遊んでおりましたがレビューをまとめるほどの感動や体験は得られなかったのでこうして更新するのは約半年ぶりになります。

今回は2023年1月20日にNintendo Switchで発売されたファイアーエムブレムエンゲージのストーリーを含め、個人的にやり終えたと思えるところまでを遊び終えたので感想を残していこうと思います。
感想は本編の内容に触れるネタバレが前提となりますので、これから遊びたいので知りたくないよという方は遊び終えてからこちらをご覧いただいた上で語り合いましょう。
※最終的に読み返してみると文章ではほとんど内容のネタバレに触れていませんが、画像がめちゃくちゃネタバレになってます。
絵は口ほどに物を言うとはまさにこのことですね~。

プレイ概要

総プレイ時間は執筆時点で約110時間

今後DLCや紋章士武器強化の為のやり込みコンテンツを遊ぶと思うので+αがあると思っていただければ幸いです。

難易度はノーマルクラシックで固定

一人で遊ぶ上で難しい難易度を選ぶのは自己満足になるのでストレスにならないノーマルにしました。クラシックはどちらでも良かったです。

本編ストーリーと外伝を全てクリア、遭遇戦は50戦ほど

最終的にはパーティメンバーのエンゲージレベルとベースレベルが2-3周してしまっていてラスボスは一方的な展開になってしまいました。

ざっとまとめるとこんな感じでしょうか。
今回の作品はストーリーが一本道なので特に概要に記載することがないです。

CV 緑川光

実際に遊んでみて気に留まった点

複雑な関係性の重たいストーリーから王道へ変わった熱く勢いのあるシナリオ

私は昔のファイアーエムブレムシリーズを知りません。
このシリーズ作品を遊び始めたのは1つ前の風花雪月が初めてになります。
その為、比較できるような記憶を持ち合わせていないのが申し訳ありませんが、ファイアーエムブレムって風花雪月で見ると全体的に暗い感じのストーリーだなって思っていたところがあります。
視点によって正義や悪はあれど、どれもはっきりとした悪があるわけではなく、関係性のすれ違いと人々の生き方が不器用で殺し合ってしまう。

今回もストーリーの軸こそ同じではあるものの、展開は全く異なりました。
それはRPGの王道そのもので紆余曲折あって最終的に覚醒していく流れ。
深みのあるストーリーも魅力的ながら、そこに救いや明確さがなければ曖昧な印象のゲームとなってしまうので、そのあたりをわかりやすく明確に見せたファイアーエムブレムには新時代を感じました。

これまでのシリーズ作品の流れは知りません。
けれど、このストーリーはファンではなくにわかに愛されるであろうポテンシャルがたしかにあります。これからはファンだけに向けた作品としてではなく、市場全体を見据えて新たなプレイヤーを獲得していくんだという強い意志を感じました。

ストーリーについては、ロードオブザリング(指輪物語)とドラゴンボールを足して2で割ったものと紹介するのが一番しっくりきています。
本来、ファイアーエムブレムと言えば用兵戦略が大事だと思っているので、今回の特殊な能力を持ったいわばチート指輪に固執する姿勢はあまり好ましくはなかったです。

全て集めて願いを叶えよう!

余談ですが、紋章士は実際の英雄を元にしたコピーであり、性格こそ同じであれど、実際の人物とは異なる限定的な存在であるという説明が最終盤で説明されています。
故に今作の紋章士たちはその人そのものではありません。
マルスであればマルスの分身体とでも言った方が良いですね。

また、やけに幼かったアンナさんも本人ではありません。
エンドロールやアフターストーリーで語られた内容から普段のアンナさんの子供かアンナ一族(名前はみんなアンナ)という存在であると説明されています。

アンナ一族。右下のアンナが今作の子。右上の家族は関西弁一家。

綺麗なグラフィックと安定したフレームレート、エラーのなさ

遊び始めた頃、真っ先に感じた感動ポイントです。
失礼ながら5年落ちのNintendo Switchという低性能ハードでここまで最適化をして滑らかに綺麗に動かすことができるんだなぁと感心しました。
Nintendo Switchは4Kテレビで出力しても解像度はフルHDなんですが、それを感じさせないほどの画質を感じます。
当然、携帯モードで遊んだ場合でも有機ELモデルであれば美麗です。

また、ゲームを遊び終えるまでゲーム終了はほとんどせず、スリープ祭りで過ごしていましたが、結局一度もゲームが強制終了することはなかったですね。
後述のバランス調整こそ残念ではあるものの、動作に関してはしっかりとデバックがされていたのかなと感じました。

CV 東山奈央

ここが残念だったと感じたポイント

ファイアーエムブレムとしての強みが完全に死んだ面白みのない戦闘システム

ストーリー以外で気に留まった点として、ファイアーエムブレムとして今作品の致命的な欠点が公式サイトでも言われているこの内容。

仲間を育てるRPGのおもしろさと、戦術を立てて戦うシュミレーションのおもしろさを融合させたロールプレイングシュミレーションゲーム「ファイアーエムブレム」

ファイアーエムブレムエンゲージ公式サイト ファイアーエムブレムとは より

この "仲間を育てる要素" が今作品でははっきり言って明らかに内容不足です。
前作風花雪月ではあった基本クラス、上級クラス、最上級クラス。
今作では基本クラスと上級クラスしかありません。
それも、上級クラスでは大概騎馬か飛行タイプになります。
中盤時点でクラスが敵味方合わせて出尽くしていて、さすがにこれで終わりじゃないよねと思ったら最後まで追加なく終わりで失笑ものでした。

結果、最終的に繰り広げられるのは騎馬か飛行の集団戦。
この2パターンしかないです。
戦術なんていりません、騎馬特効か飛行特効を構えておけば事足ります。
こんな杜撰で稚拙な戦闘システムで "戦術を立てて戦う" をうたうのはさすがに冗談でもきついです。
巷ではストーリーに対する批評が強いですが、根本的な問題はこちらだと思っています。終始戦闘が楽しく感じられなかったのがこれでした。

キャラクターのセリフ量を山ほど用意するくらいならこちらをきちんと調整してほしかったなぁ…
この作品はゲームであってアニメーションやドラマじゃないですから。
本来なら魅力であるセリフも内容に乏しく、無駄に多いだけという印象となってしまいました。

その他、細かな残念ポイント

気に留まった残念ポイントを箇条書きで挙げていきたいと思います。

  • 登場人物の能力差が激しい (王族>臣下>外伝キャラ)

  • 世界観に明らかに合っていない追加キャラクター(関西弁の離島に住む関西弁の子供、完全に開発の個人的な趣味ですべってる。)

  • 武器による戦力差が激しい。短剣が最強で拳術が最弱。中盤から魔法が杖を兼ねてしまうのでモンクの強みがなくなり終始空気に。ステータスが高ければ活躍できるものの、そもそもモンク適性のキャラクターは全て弱い。逆に短剣は3すくみ武器の相性に影響されずに毒というデバフまで付与でき、速さも成長するので強すぎる。また、重装も移動力がなく、防御力だけなら適正外の王族キャラクターの方が高いので終始空気。

  • 紋章士の能力差も激しい。ベレトやカムイは戦況を変えるほど強いが、アイクは終始空気でDLCの紋章士を所持していれば最後のラスボス戦でアイクを装備しているプレイヤーを数えるほうが少ないまでありそう。紋章特効はランダムだと思うけど、アイクの紋章出てきたら「うわ、装備してないよ」ってなりそう。

  • スキル継承に使用するSPの獲得量が明らかに少ない。バランス調整不足

  • 物資購入や国への投資へ必要となる通貨(お金)の獲得額が武器強化素材代から見て明らかに少ない。バランス調整不足。救済必要。

  • 指輪ガチャに必要な絆ポイントが多すぎる。絆ポイント唯一の使い道ではあるものの、種類が多いのでコンプリートを前提として現在の半分である1回50ポイント、10回500ポイントでも良いのでは。さらに、指輪合成に必要なポイントもゼロ1ついらないのでは。A→Sランクに10,000ポイント必要は正気じゃない。集める前に本編終わって諦めること請け合い。

  • 紋章士外伝エピソードの流れがテンプレのように同じで退屈。12人+α分もあってげんなり。この場所は→きっと試練ですね→戦いましょうがテンプレ。戦闘マップや音楽は凝っていたので導入をなんとかしてほしい。

  • 無駄に種類豊富なアクティビティ。やりこんでもご褒美なし。

  • 2周目引き継ぎ要素なし。本編が終わるとモチベーションを失います。

挙げるとキリがないので現状はこんな感じでしょうか。
有料DLCで得られる指輪の能力が高いといったことなどはビジネスとして必要だと思えば問題ありません。

ただし、本編自体がフルプライスにも関わらず、別途で本編の半額相当の追加コンテンツを有料で販売するハイブリット課金のようなシステムはどうなんでしょうね。
発売日以降、1年以上かけて追加コンテンツに開発の力を割くぐらいなら、より新作リリースのペースを上げるほうが魅力的だと思うけどなぁ。
3,000円で2年近く発売後の作品にテコ入れするのはビジネスとして賢いとは思えない。

まとめ

ゲームを遊ぶ新たな世代に向けて、王道へと原点回帰したファイアーエムブレムの新作、エンゲージ。
一本道のストーリーだけで構成された作品としては長いボリュームを持ちながらも、結果として本来の良さを犠牲にした薄味な作品に仕上がりました。

とはいえ、元々がコアなファン向けの骨太な作品なのでファイアーエムブレムシリーズの入り口、入門編としてはお勧めできるかもしれない。
発売時期は逆ですが、この作品でファイアーエムブレムを知り、前作の風花雪月を遊んでいただければより本来の魅力は伝わると思います。

総じて今作はゲームというよりもアニメーション作品のように思えてなりません。
それを裏付けるようにシリーズでは恐らく最多のボイス量でしょう。
それが意味あるものであれば良いですが、どちらかといえば不要な作りこみであったように感じます。それほどに些細な会話に固執しすぎている。
そこまでしても、巷ではキャラクター要素が薄い、感情移入ができないなんて言われているんですから報われないというか完全な失敗だと認識すべき。

また、バイカラーの主人公がキービジュアルといった、今風を感じさせる作品でしたが、なぜバイカラーなのかが大人であれば遊ぶ前から簡単に想像できてしまうのが子供向け、稚拙といった感想になる要因でしょう。
今回のストーリーはそれほどに意外性がなく、会話を聞いていれば先の展開が簡単に読めてしまうのがいただけません。
本来明確な流れは好みではあるのですが、終始想像を超えてこないので感動を得られないというのも率直な感想です。
そう考えると人間って面倒な生き物だなぁってしみじみ感じます。

あとはヴァンドレさん。
物語で一番最初に登場する第33代目、竜の守り人です。
基本クラスから始まる中で彼だけが上級クラスで始まり、序盤圧倒的な戦力を誇ります。
後半そのツケがまわって能力が伸びずにベンチ行きとなるのですが、彼は絶対に途中で亡くなると思ったら最後まで亡くならないんですよね。
亡くなれってわけではないんですが、もう少し彼のエピソードを掘り下げてあげてほしかったかもしれません。

と、思い返しているととめどなく語ってしまうあたり、全体的なボリュームはあったんじゃないかなと思っています。
ただ、純粋に戦略の楽しいターン制タクティクスゲームが遊びたかったなぁというのが願いですね。
ストーリーに固執するあまり、そこをおろそかにしてはファイアーエムブレムではなくなってしまうので今後もフィードバックをもとに長く続くゲーム作品として頑張ってほしいです。
※楽しませていただいた感謝の気持ちもあって、DLCはもちろんのこと、「Fire Emblem Engage Elyos Collection」も購入しています。
グッズやサウンドトラックが出たら教えて下さい、購入に駆けつけます。

色々書きましたが、私は風花雪月もエンゲージも好きです。
どちらも違ってどちらも面白いポイントがしっかりあります。
エンゲージの面白いポイントはずばりストーリーこと内容なのであまり語ることができませんが、プレイヤーとして神竜の成長を見守り、成長した神竜が次々と困難に立ち向かっていく姿は見ていて幸福でした。
登場人物は正義と悪こそあれ、根が悪だったものはいません。
神竜ルミエルでさえも、孤独を抱え、当時敵であったリュールに救われています。正義と悪は表裏一体、考えさせられるものがありますね。
※語る上でこのネタバレだけは避けられませんでした、ごめんなさい。

ここまでご覧いただいた皆様に謝辞を。
良いゲームライフをお過ごし下さい!

この絵を見れただけで幸せです。

【追記】有料DLCのコンテンツ「邪竜の章」について

2023年4月5日に配信開始となった邪竜の章についてストーリークリアまで遊んだので簡単に追記します。(執筆4月12日)

このDLCの概要としては以下のようなものがあります。

  • 全6章(戦)で1戦ずつゆっくり遊んでも10時間程度。

  • ステータス、クラス、レベル、装備は固定。優位性を得られるのはエンゲージレベルのみ。その仕様から本編ストーリー後半で加入するキャラクターが能力や移動力で強い。(ロサード、ゴルドマリー、メリン等)

  • クリアすると新キャラクターとして2名登場ならびに加入、敵であった四狗メンバーのモーヴ以外の3名が別世界の人物として登場し、最終的に本編へ加入。合計5名のキャラクター加入となります。

  • クリアすると新クラス「エンチャンター」と「マージカノン」が追加。専用のアイテムで転職。1個だけもらえて追加で必要な場合は雑貨屋で法外な値段で買うように。

配信日まで楽しみにしていたこのコンテンツですが、実際に配信され遊んでみると「なんですか、これ」という言葉がはじめに出ました。
配信日が異様に早かったので嫌な予感はしていたのですがネガティブな意味で的中することに。

戦闘が面白くない、新クラスが敵からのストレス要素で空気でしかないなど思うところはありますが、なんといってもストーリーが全く面白くない。
本編ばりに指輪を集めてほしいと言われ集めて、結局奪われてボスと化した相手と戦って終了。
集める過程も本編を凝縮した流れそのものでワンパターンでひねりなし。
異世界そのものにも救いようがなく、主人公がその世界で生き残ったメンバーを自世界にスカウトしただけのような感じです。

…これはさすがにフォローできません。
これならばストーリーは不要で追加要素(クラスやキャラクター)だけ配布したほうが明らかに印象は良かったと思います。
今作は新たな方向性を探っていたのだと解釈していましたが、追加ストーリーを見る限り、ただ単に面白いものを作る気持ち(愛)がないだけなのかもしれないと思えてきました。
この作品を開発スタッフが実際に遊んで楽しいと感じたのかが疑問です。
今作のストーリーにはファイアーエムブレムらしい独自性が一切ないですしね。
これでは低評価の嵐となってしまっても仕方ないでしょう。

ファイアーエムブレムはゲームであって連ドラや映画ではないので見て面白いではなく遊んで面白いを目指していただきたいところ。
今作のストーリーは見て面白くもないよという意見は置いておいて。

シリーズブランドに甘えてこんな低クオリティの作品をリリースしていたら未来はないと思うほどに致命的な問題だと思うので次回作ではこのフィードバックを踏まえて「ゲーム」をリリースされることを祈っています。

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