記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

"生きるとは、旅をすること" スクエニの未来を担う期待作 (オクトパストラベラー2 OCTOPATH TRAVELER IIを遊び終えて トロコンプレイレビュー【画像あり】)


はじめに

2024年、あけましておめでとうございます。
今回は2023年2月24日に発売されたオクトパストラベラー2をPS5のトロフィーコンプリートまで遊び終えた上で抱いた感想をレビューとしてまとめます。

なぜこのタイミングなのかと言えば、ワイルドハーツとライザのアトリエ3の発売日の間であった為ですね。
ワイルドハーツは完全新規タイトルでしたし、ライザのアトリエ3は続編かつ完結編なので先に遊び終えておきたかったという思いがあります。
その点、オクトパストラベラーは1を遊んだ際にタイトルとしての面白さとかかる時間について把握していたので、オクトパストラベラー2では時間を取ってじっくり腰を据えて遊ぼうと思っていたら遊び始めるタイミングが年の瀬までかかってしまいました。
当時ワイルドハーツやライザのアトリエ3についてのレビューも行っておりますので、お時間がございましたらそちらもよろしくお願いします。(宣伝です)

はじめに、毎度のことながら当サイトの記事は全てゲーム紹介や普及を目的とした記事でございません。あくまで個人で楽しみ、遊び終わった際にその時抱いていた思いを形として残すことを目的としています。
「こんなところが楽しいからおススメ!」「こういった流れのゲームです」といった記事はお金をもらっているライターさんが様々なところで書かれていると思うのでそちらをご覧下さい。

また、本編を振り返る内容の為、ネタバレとなる場合がありますのでご覧いただく際はゲームを遊び終えるか、あらかじめご了承いただいた上での閲覧をお願いいたします。
(今回の記事では内容に直接触れることは避け気味です。)


ゲームプレイ概要

  • 総ゲームプレイ時間は約110時間。

  • 遊んだハードはプレイステーション5(PS5)*掲載スクリーンショットは4K解像度で撮影。

  • 達成内容はストーリークリアにトロフィーの内容全て。*サブストーリー(クエスト)全てクリアであったり、通称裏ボスの討伐などを含みます。

  • 終了時のキャラクターレベルは全員90以上。

  • 前作(初代、1とも言う。ニンテンドースイッチ版)も遊んでおり、ストーリークリアに裏ボス討伐を行っています。

※ゲーム全体に関する感想は「遊んでいて印象に残ったポイント」からとなりますのでこんな長いの読んでいられないよという方はそちらの項目よりご覧下さい。



ストーリーを振り返って

オクトパストラベラーではその名の通り、8名の主人公が登場する関係でこの場でもそれぞれのキャラクターに対して個別に振り返っていこうと思います。

ヒカリ・ク

声優にはもののけ姫のアシタカで有名な俳優、松田洋治を起用。
実際の芝居では共演者から天才的であったと評価されるほどの人物ではありながら、それを知らないプレイヤーが声優として彼の第一声を聞いた感想は「このキャラクター棒読みじゃない?」でした。
俳優と声優は表現者という点では同じでありながら、声だけで表現しなければならないので畑違いで明らかに違和感はある印象。
とはいえ、そこはさすがのベテラン。ストーリーが終わる頃にはこれもキャラクターとしての味なんだとしっくりきました。

ヒカリのストーリーはさながら三国志といったところ。
戦争に明け暮れた国が兄に奪われ激化し、弟であり平和主義なヒカリが国を取り戻すお話です。
うーん、ベタ。だがそれがいい。
前作の剣士枠は盾が印象的な渋いおじさんだったので、それに比べると圧倒的に魅力的。剣士は熱いストーリーがあってこそだよね。

なにより今回のオクトパストラベラーは声優陣がとにかく豪華。
メインキャラクターだけと侮ることなかれ。
ヒカリ編では他にも軍師カザンが杉田智和、兄である将軍ムゲンは小山剛志、戦友ライ・メイは園崎未恵が、リツは林勇が担当。
どの方も調べればあっと驚く有名な出演作品があるのでぜひ調べてもらいたい。

ヒカリは戦闘力も圧倒的。
前作の防御寄りだった剣士から今作では攻撃寄りに変更。
物理に対して強烈なカウンターを持ち、キャラ固有アビリティ(技)もただただ強い。
さらに固有アクションの試合という形でNPCから技を覚えることができるのだからお手上げです。

と、キャラの固有アビリティや固有アクションについては全キャラクターを振り返った後に項目を用意して詳しく語ろうと思います。



アグネア・ブリスターニ

声優は深夜アニメで知らない人はいないであろうアーティスト水瀬いのり。
彼女はとにかく演技が上手い。彼女に任せたキャラクターは安心して見ていられるいぶし銀のような存在です。もちろん、見た目の華やかさも兼ね備えていると思いますけどね。

そんな彼女が演じているということは、そう、毎度オクトパストラベラーで唯一ある明るい希望ルートは今回このキャラクターになります。
前作は商人のトレサでしたね。

ストーリーは王道の成り上がり踊り子物語。
田舎出身の彼女が母の面影を追いかけ旅をしながら成長していくお話です。
ただ、田舎を表現する為に方言として語尾に「だべ」をつけるのはどうなんでしょう。明らかに語尾だけ浮いている気が…
これもベタといえばベタなんでしょうけど、ちょっとくさいかな。
彼女は特にストーリー展開が強引ながらもオクトパストラベラーを遊んでいれば自然なことなのであえて突っ込む必要はなさそう。

彼女のストーリーを語る上で外せないのは、妹であるパーラと先輩にあたるドルシネア・ルーセルゥゥゥゥ!!でしょう。
パーラの声優は高柳知葉。ウマ娘だとオグリキャップ、推しの子ではさりなを演じた方です。あけすけな性格の妹がよく表現できていて素敵でした。
彼女が主役のサイドストーリーもあるのでそちらもぜひ。

そして、アグネアの先輩となる踊り子のスターこそドルシネア・ルーセル(CV新井里美)です。ベテラン声優である彼女のキャラの濃さはすごいよね…
あんな巻き舌演技、濃すぎるよ。しかもキャラは最後飛ぶ始末。
少し気になったのは、ドルシネアの年齢。アグネアが18歳であることやアグネアの母親がドルシネアを指導した際にドルシネアが子供だったことから30歳前後だと思うけど、そうなるとちょっと老け声かなとは思います。
この老け声問題、演技力準拠なんだろうけどキャラクターに対する印象がずれるのがマイナスポイント。特にひどいキャラクターについては後述。



パルテティオ・イエローウェル

完全にワンピースのゾロだよ。(CV中井和哉)
終始声優の濃さだけが印象に残ったキャラクター。
あとこの見た目をしておいて24歳で中井和哉は詐欺でしょう。
どう見ても見えない、下手すれば40歳過ぎてる。
このキャラクターもまた演技力準拠による声優選択の失敗例だなとしみじみ感じます。
前作商人枠が純度100%のトレサだっただけにこれは辛い。
彼の言っていることは素敵なんですがその声で言うセリフではないよね。

ストーリーはこれまた王道の正義の味方。
悪の商人(といっても自身の利益しか考えない一般的な人であったりする)が新動力である蒸気機関を独占しようとする流れを止め、皆に等しく利益をもたらそうと奔走するお話。
正直あまり面白くない。

ただ、最後のボスとして出てきたのが機関車だったのは盛大に笑いました。
人やモンスターですらない鉄の塊。人類の技術の結晶。
これがまた強いんだ。無駄にパーツ分けされていて攻撃力が高い。
ネタボスと侮ることなかれ。
技術は人を幸せにする為にあると考える彼らしいラストシーンだったと思います。

なお、悪の商人役は土師孝也。ハリーポッターのスネイプ先生です。
新聞記者のオリはファイルーズあい。野性的な役の多い彼女が新米新聞記者としてストーリーを盛り上げます。



オズバルド・v・ヴァンシュタイン

フルネームで書くと真ん中が顔文字みたいだよね。M・A・Oかな?
そう考えるとちょっとかわいい。
もちろんれっきとした本名です。たしか「v」はフォンだった気がする。

演じる声優は言わずと知れた中田譲治。そしてストーリーは復讐の物語。
…これはモンテクリスト伯だね!間違いない。

と思っていたら本当に終始モンテクリスト伯でした。
それ以上でもそれ以下でもないオクトパストラベラーという舞台で展開されるモンテクリスト伯そのものです。

何かと苦しい展開が続くのでプレイするのがしんどいキャラでもありました。フィクションだから当然なんだけどそんな運命ってないよね。
悲観的な展開がごちそうだと感じる人には刺さるかもしれません。

年齢は38歳。ふむ…こんな渋い38歳いるなら紹介してほしい。
印象的にはもう一回りくらい上の印象かなぁ。

そんな彼の往年のライバルとして登場するのがこれまた言わずと知れたハーヴェイこと子安武人です。
彼に悪人役をさせたら右に出る者はいないなぁ…
というかパルテティオ以上に中の人が強すぎてハーヴェイじゃなくて子安でしかないよ。ドラマ日本沈没の学者役 香川照之ぐらい成立してなかった。
やりすぎてしまうともはやキャラじゃなくてその人でしかないのがちょっとね…



ソローネ・アングイス

キャラクターストーリーで最も救いがないなと感じたのがこのキャラ、ソローネです。
生まれたときから首輪をつけられ盗賊として生きることを強いられる日々。
彼女の願いは自由になりたい、ただそれだけ。

ストーリーを進めていけばいくほどに彼女を取り巻く背景はひどく、最後のシーンでも心から救われることのなかったキャラです。
これもまた悲観的な展開がごちそうだと感じる人には刺さるでしょう。

そんな彼女を演じるのは田中理恵。代表作は機動戦士ガンダムSEEDのラクスクライン。こちらもいぶし銀のような存在で安心して見ていられます。
盗賊であるソローネは口数が少なく、つぶやくような発声がほとんどなのですが、それがよく表現できていて特にキャラが生きていると感じました。

ただ、こちらも年齢は23歳。
こんな23歳います?全く見えない…むしろ設定年齢が全員低すぎる。
声の印象と佇まいから30付近かなと思っていました。

そんな彼女が生き生きとしていたのがテメノスとのクロスストーリー。
名探偵のがめつい助手として楽しそうに過ごす彼女の姿だけが癒しです。



テメノス・ミストラル

真実は、いつもひとつ!

こちらはテメノスという名の名探偵コナンとなっています。
いやだって本当にそうでしかなくてですね…(困惑)
コナンのCVが石田彰になった感じですね。
なにそれ、石田彰の「あれれぇ、おかしいな」が聞きたい。

ベテラン声優による、ベテラン作品をなぞったストーリーとなっていて鉄板です。
1つの殺人事件をもとに、陰謀を暴いていくお話。
助手には新米聖堂騎士のクリック君(CV榎木淳弥)が登場します。
クリック君、希望に満ちていたのにどうしてああなるんだ。
実にオクトパストラベラーらしい悲観的な展開でお約束のようになってしまうのが残念。人が死ねば感動すると思ったら大間違いですよ。

また、テメノスを見守るお節介な包容力全開のシスターさんはミントことCV上田麗奈です。
一町の神官に上田麗奈なんてやりすぎでは?と思えばあの展開。
そうですよね、上田麗奈にモブなんてやらせるわけがない。
探偵ものでよくある犯人は実力派俳優という理屈が綺麗に当てはまるお話です。それだとすぐばれるんですけどね。



オーシュット

ポケモン、ゲットだぜ!

なんだろうこの展開、多すぎやしませんか。
今作のストーリー、何名かは明らかに有名作品のベースがある。

そう、こちらはオーシュットという名のポケモンとなっています。
島に脅威が迫っているので3体の伝説の魔物を捕獲してこいとのこと。
はじめに2匹の内から1匹だけ相棒を選べと言われます。
それってポケモンですよね?
なお、選ばなかった方の結末は…このひどさがオクトパストラベラー。

キャラクターストーリーの中でも最も薄味だったキャラクターです。
1章で生い立ち、2章で3体の伝説の魔物を捕まえ、3章で脅威を退け終了。
そんな内容のなさまでベース作品と同じにしなくてもいいのに。

演じるのはかつて一大ブームを築いた末にスキャンダルで炎上して面倒な粘着にあった末に消えていった平野綾。
当時はなかったアイドル声優という土台となった人でもあります。
らき☆すたのこなたのようなゆるい話し方は獣人の性格とも相性抜群です。



キャスティ・フローレンツ

人だけでなく、蚊にも救いの手を差し伸べる。

それが世界の母(おふくろ)ことキャスティです。
記憶喪失となった自身が記憶を求めて旅をし、過酷な真実と現実に立ち向かうストーリーとなっています。演じるのはベテラン声優 根谷美智子。

老け声問題後述でお待ちの皆さん、お待たせしました。
特にひどいキャラクターがこのキャラ、キャスティです。

まずはじめに、演じられている声優には何の落ち度もありませんし、素晴らしい演技だと思います。
その上での感想としてキャラクターと声の若さが一致していない、これに尽きます。
これは明らかにゲーム制作陣の演技力準拠による選択の失敗です。
もしくは、制作陣がその声優を起用したいが為に起きた現象でしょう。

それほどにキャラクター設定と演技の年齢層が相違しています。
失礼ながら今回のキャスティを演じた根谷美智子の声だと若くても40代、普通に聞けば50代にしか聞こえません。
ではキャスティの年齢はと言えば、29歳。

…それは無理がある。
キャラの立ち絵なら29歳でも納得できます。
しかしこの声、話し方を聞いて29歳だと思う人がどれだけいるでしょうね。

結局それが一番印象に残ってしまって好きになれないキャラクターでした。



遊んでいて印象に残ったポイント

今回は8つのストーリーがあるということでキャラクターを振り返ってまいりましたが、それだけで既にこんな文字数となってしまい申し訳ありません。

ここからがゲーム全体に関する感想となりますのでこんな長いの読んでいられないよという方はこの項目よりご覧下さい。



圧倒的なストーリーボリューム

このゲームタイトル最大の魅力といえばこれでしょう。

1つのタイトルで8つのストーリーを楽しむことができます。
1キャラにつきベースの町マップが2個以上あり、それに付随して接続マップとダンジョンマップがあるので合計で30マップ以上あります。
こんな壮大な大陸を旅することができる幸せ…

にもかかわらずお値段は昨今のグラフィック偏重タイトルに比べて3割ほど安い。遊ばない理由なんてあります?

なんかセールストークみたいになってしまったので話を戻すと、1粒で8度おいしいのがこのタイトル。
もちろん、1つのお話をとことん突き詰めた作品も面白いですが、この作品には自身が面白いと思うものが見つかる可能性を広げられる魅力を持っています。

1つのお話が好みではないなと感じてもやめるべからず。
他のお話がまだ7個も存在します。
それらを見てみたいと思う気持ちで遊ぶだけでも気づけば長く遊べているのはないでしょうか。



8人で旅をしているという感覚の強化

さらに今作は前作で薄味であった8人の交わりという点がより強化されているところが大きなプラスポイントです。

前作では8人で旅をしているという体ではありましたが、実際に8人が交流するシーンというのはほとんどありませんでした。
※パーティチャットという形でテキストだけのやり取りはありますが、あれでは密接な交流は感じられません。

それを感じてか今作では8人で交流をするストーリーが追加されています。
それがエクストラストーリー(明日への旅路)やクロスストーリー(8名中2名が交流するお話)、そしてラスボス戦になります。
特にラスボス戦の8人の共闘は圧巻です。

この要素によって、ただ8人が集まって各々のストーリーを進むということではなく、8人で協力し合ってストーリーを進めていくという形を感じることができたのが個人的に満足度が高いポイントとなりました。



進化したグラフィックと音楽

オクトパストラベラーという作品はスクエニが生み出したHD-2Dというグラフィックシステムを採用しています。
このシステム、わざとドット調のグラフィックを採用した上で解像度を上げています。こうすることで懐かしくも味があって綺麗なグラフィックに仕上がったと感じました。

綺麗というのは人それぞれ感覚が違うので一概には言えませんが、ただリアルな人物や背景に近づけることだけが綺麗ではないと思います。
そういった点でただ綺麗という形ではなく、「らしさ」を演出したこのグラフィックは印象的な魅力に繋がったと言えるのではないでしょうか。

逆に言えば、現状HD-2Dはオクトパストラベラーというブランドだからこそ魅力的に映るものであってそれ以外のタイトルにとりあえず使えば良いというわけではないことがポイントです。
その失敗例がライブアライブでしょう。
システム反映の形としては向いているんでしょうけど、ゲームの方向性が違うので魅力となっていないどころか古臭さを助長する結果となっているように感じます。HD-2Dをテンプレ化するのは愚策かな。
そういうところがプレイヤーが見えていないスクエニ低迷の原因だとも思いますけどね。HD-2Dが売れたのではなく、オクトパストラベラーが売れたという点を間違えてはいけない。

そして今作はグラフィックもさることながら音楽が素晴らしい。
前作(1)のときもストーリーに合った良い音楽でしたが、それをベースとしてアレンジされた2の音楽(BGM)はもっと良い。
特に、キャラ固有BGMから戦闘BGMへ自然に繋ぐ流れには感心します。
年々ゲーム音楽による没入度の違いという部分を意識するところがあるので遊ぶ上で大きなモチベーションとなりました。



難易度選択の存在しない少し難しめの戦闘システム

オクトパストラベラーには難易度の選択がありません。
つまり、ゲームが人に合わせるのではなく、人がゲームについていく形となっています。
この流れは近年の親切ゲームが主流の時代では珍しく、昔ながらのやや厳しい、言い換えれば不便な設定となっています。

だがそれがいい。

このゲームにおいて重要となるのが戦闘(ターン制バトル)なのでこれを簡単に変更できてしまっては達成感は得られない。
ましてや、オクトパストラベラーで登場する主人公達は厳しい旅をしているのにプレイヤーが簡単なモードを選んで涼しい顔で見守るのは没入感としては違うと思います。

だからこそ、オクトパストラベラーの難易度を設定しない戦闘は大きなポイントです。
雑魚戦であれば深く考えずに勝てますが、ボス戦は全く勝手が異なります。
特に裏ボスともなれば今までぬるいと感じていた戦闘が一変するのが特長です。レベルを上げることで多少楽にすることはできますが、一番重要なのはプレイヤーのスキルなのでレベルが高ければ勝てるということもありません。そんな戦闘を潜り抜けた先にこそ達成感はあると思いますよ。



昼と夜のアンバランスさ

今作では昼と夜を切り替えるシステムが採用されました。
公式説明では夜になると敵が強くなり経験値が稼ぎやすいとあります。
また、登場するNPCが昼と夜で異なったり、いずれかにしか登場しない場合もあります。

この要素、面白くはあるのですが差別化ができていないと感じました。
もちろん昼と夜なので景色の違いははっきりとしますが、ではそうする意味はあるのかなと。
今作のテーマ「暗黒」を見るに分けたいというより夜を実装したかったんでしょうね。
それを裏付けるようにラスボスは世界を夜だけにしますし、ソローネとテメノスは固有アビリティで夜のみバフとデバフを付与します。

では、昼は夜に対してどうなんでしょう。
昼の固有アビリティを持つキャラクターはいませんし、敵が強くなるといった戦闘的メリットもありません。
それならばいっそ夜だけにしてなぜ昼がこない世界になってしまったのかを訴えたほうが良かった気がします。

実際にプレイヤーとしても昼を選択することは少ないんじゃないかな。
昼に登場するNPCをどうにかしたいときぐらいでしょう。
このピーキーでアンバランスな調整はマイナスポイントかなと思います。



キャラクター性能のアンバランスさ

そして、それに付随してキャラクターの性能も強弱がありすぎる印象を受けました。

まずフィールドアクション。

ヒカリ [昼]試合 [夜]買収
試合は技を得る為なのでわかる。ただ相手が倒れる効果もあるとけしかけるの立場が…
買収は夜の情報収集なので○

アグネア [昼]誘惑 [夜]おねだり
誘惑はセッションという付加効果が良いものの、成功確率が低すぎる。
しかも失敗すると関係悪化は重すぎる。
おねだりは夜のアイテム収集手段として○

パルテティオ [昼]買い取る [夜]雇う
昼のアイテム収集手段は盗むがあるので買い取るも納得。
雇うが夜である為に夜になると登場するNPCは強い兵士が多いのかな。
今作では雇うNPCによって付加効果がついて尚良し。

オズバルド [昼]探る [夜]強奪
確定の聞き出すに対して確率の探るは納得。
強奪も確定のおねだりに対して確率で納得。

ソローネ [昼]盗む [夜]闇討ち
確定の買い取るがあるので確率の盗むは納得。
確定の闇討ちは強い。

テメノス [昼]導く [夜]暴く
付加効果のない同行。確定なので納得。
ブレイクして情報収集。テンポが悪すぎる。夜しかいないNPCが何人いるとお思いですか。

オーシュット [昼]けしかける [夜]てなずける
昼のどかしコマンドは既に試合があり、失敗すると関係悪化なので完全な下位互換。このコマンド不要では?
夜、捕獲した際の肉を使っててなずける。肉アイテムが得づらい上に付加効果なしのNPC同行。このコマンドいる?

キャスティ [昼]聞き出す [夜]眠らせる
確定の情報収集として納得。
一方眠らせるは特殊なアイテム(有限)を使ってどかすアクション。
そのコマンドいる?

と、挙げてみてわかるのは一部アクションが腐っていること。
特にオーシュットは救いようがない。ただでさえ前作の狩人から範囲弓攻撃を没収されてしまったので有用性が低すぎる。
けしかけるは便利ではあるものの火力はない。本人のステータスも反映されないのでブレイク係にしかならないのが悲しいポイント。

夜の情報収集手段がお金かブレイクなのもしんどい。
特別な情報もないのに買収が3万もかかるNPCってどうなんです?
暴くを含め、強奪は1NPCごとにしなければならないので絶望的にテンポが悪くモチベーションが下がる。
フィールドアクションなのでいちいち画面が推移するようなシステムにはしてほしくないというのが率直な感想。

次に、固有アクションと底力。

ヒカリ 試合による覚えた技、専用奥義
アグネア セッション、効果全体化
パルテティオ 一緒に商売、BPMAX
オズバルド 予習、魔法単体化
ソローネ 闇夜の加護、2度行動
テメノス 月光の審判、シールド値削り
オーシュット 捕獲かこう、専用奥義
キャスティ 調合、調合アイテムを消費しない

先程の項目で説明したものが多く、長くなるので詳しくは割愛しますが、ここで注目すべきはオーシュットとキャスティ。
オーシュットはけしかけるだけが有用な為、底力が死にスキルに。
キャスティの調合も効果や内容がしょぼい。さらに底力はそのしょぼい効果をもたらすアイテムを消費しないというしょぼさ。
唯一の有用性はドーターがBP3必要に対してBP2調合でBP4を全体に付与できる点。とはいえ、BP以外の内容がしょぼいので実質BPパサー。

それに対して明らかに強いのがソローネとヒカリ。
ソローネは2度行動で対応の幅が広く夜バフまで所持、ヒカリの奥義は敵を滅ぼす威力。覚えた技も有用性の塊。
どうして…オーシュットの奥義はあんなにも弱いのに。
加勢に依存するパルテティオやオーシュットには加勢ダメージ限界突破のようなサポートアビリティがあればなぁ。
アグネアのセッションも全体系の舞をしたら全体に付与してほしい。
このあたりのパーティを強くしたくないという調整が難しさを助長していると思います。



ここが良かったと感じた細かな素敵ポイント

さて、ここからは印象に残ったポイントではありながらも、個別に触れるほどでもない細かな素敵ポイントを箇条書きにしていきます。

  • ニンテンドースイッチ専売ではなくなったこと。※最重要 プレイステーションでも遊べるようになったことでトロフィー機能と高速読み込み、高画質を実現することができたのは大きい。

  • バグ(不具合)がとにかく少ない。 確認できたのは以下の画像であるカメラズレだけでした。

  • エンディングのスタッフクレジットが日本語表記であること。 個人的に重要なポイントです。日本の会社が日本に向けて作った作品でクレジットが英語表記だとモチベーションが下がります。

サウンドプロデューサーさん、素敵なサウンドでした。
素晴らしきシナリオライターに乾杯



ここが残念だったと感じた細かなポイント

  • ボス戦の会話イベントの為にHP1残る仕様。 地味に一番ストレスだった要素。戦闘中に一定のダメージを削ると発生する会話イベントでそのイベントを見るまでどんなにダメージを与えても倒せない。結果HP1で次のターンに連続で暴れ出す。それなら会話までのHPを表示してほしい。

  • 意図的にレベル上げがし辛いシステム。 ゲーム内最上位ダンジョンの推奨レベルは55、レベルキャップは99?55からどうやってそこまで上げるの…?普通に連戦すれば軽く10時間以上かかりそう。結果アルロンドや摩訶不思議といった低確率経験値アップに頼る始末に。

  • 前作から魔法が大幅弱体化されたこと。 今作では大魔法に制限がかかり、威力も上げづらくなったことで空気に。魔法に弱い敵はいるものの、それ以上に物理が強い(魔法が弱い)ので物理偏重の流れとなった。

  • 一部伝承ジョブという名の空気ジョブがある。 今作での伝承(上位)ジョブは「発明家」「ウエポンマスター」「魔導士」「祈祷師」。これらは1キャラにしか設定できず特別ながら、魔導士と祈祷師は使えない。いずれのジョブもテンポが悪い。発明家やウエポンマスターであれば1ターンで状況を変えられる。祈祷師は取得条件が厳しいくせにね。(ボス戦における個人の感想です。)

  • 属性追撃は1度でなく回数分すべし。 祈祷師が使えないといった理由がこちら。どんなアビリティを使っても属性の追撃は1回のみ。さみだれ突きのような多段攻撃では、その回数分属性追撃してほしい。でないとあんなテンポの悪い祈祷師属性追撃バフなんて使えない。

  • シャットアウトリボンの取得タイミングが遅すぎる。 敵とエンカウントしなくなるアクセサリー、シャットアウトリボン。今作の取得タイミングは裏ボス討伐サブストーリー(クエスト)の報酬。えっ、この敵倒したらオクトパストラベラー2は終わりだと思うんですが…(困惑) むしろこの敵を倒す為に各地のアイテムを回収する用としてほしいのが本音。

  • クエストは相変わらず不親切。 これは残念だったポイントというと少し違うので迷った末こちらに。戦闘と同じくこういう仕様なので納得はしているものの、クエスト解決への手がかりが一切ないクエストがある。(例えばNPCが「私はこれからどう生きればいいんだろう」と言ってクエスト開始。それ以外の情報は一切なしといった形。知らんがな。)

  • 関わってきた主要人物からの盗み、買取、強奪。 メインストーリーをクリアしてから関わってきた主要人物の持ち物へのアプローチが可能に。結果、伝説の武具などを盗んだり強奪する始末。なんと恐ろしい世の中であることか…

画面の中央がこの状態



おまけ

このオクトパストラベラーというタイトルでは、困難なボスほど戦い方の最適化を行わなければ勝てません。
その中で筆者自身が大切にしたのは全員野球ではなくサポートのもとで一発野球をしようということ。
全員がヒットを打つのではなく、一人のホームランの為に他のメンバーは尽くそうという点です。

裏ボスなど特に強いボスの場合、パーティメンバーが全員等しく攻撃ができる状態などまずありません。
このゲームは8人(1パーティ4人)という集団だからこそ1人や2人に火力を絞った戦術を取らなければならないと感じました。
全員でダメージを出し合うよりも1人が究極の火力を出せるようにした方が圧倒的に強く勝てる見込みがあります。

今作で言えば、基礎ステータスを眺めるとヒカリとソローネは攻撃型、パルテティオとキャスティはバランス型、アグネアは高スピード低防御のサポート型、オーシュットは回避型、テメノスとオズバルドは魔法型だとわかります。

となれば、アグネアはサポートに特化させ、ウエポンマスターはソローネやキャスティに、オーシュットやテメノス、オズバルドはシールド削りをといった風に役割分担することが大事でした。

各ジョブの奥義も重要です。
特にドーター(薬師、アイテムの効果を全体化)とエルフリック(神官、特定キャラを2回行動)は流れを変えます。

さらには、シールドにとらわれないことも重要です。
敵にシールドがあってもクリティカルなどを意識すればダメージ量で貫通できます。下手にブレイクを狙うとブレイク後に敵の苛烈な連続行動がきて危険です。

最後に、技の構成は防御よりも攻撃を優先したいところです。
攻略サイトなどでは「健全化を全体に」とか「ヒカリの覚えた技は大聖者の神盾が良い」などと防御寄りで書いてありますが敵の良性効果削除を1回もらえば終了なのでそこまで重たいことをわざわざするよりもシンプルに威力を出せる構成でやられる前にやる姿勢が重要です。

もちろん、これは1個人の考え方に過ぎませんので戯言だと思っていただいて構いませんが、もし苦戦されることがあればチラ裏程度にご覧いただければ幸いです。
戯言にお付き合いいただき、ありがとうございます。



まとめ

ここまで語ってきましたが既に1万文字を超えているそうです。
長々となってしまい誠に申し訳ございません…!

これでもまだ語りたいことは多々あります。EXアビリティとかね。
それほどに印象深いゲームとなったことが一番の幸運なのかもしれません。

オクトパストラベラーという作品はロールプレイングというカテゴリの中でも珍しい、1つのお話に絞った作品ではなく、アンソロジーという表現がしっくりくる作品集です。
下手をすれば1つのお話だけで1本ゲームが制作できるところを8本も収録しているので、それだけでも満足度の高い作品になるでしょう。
さらに今作では8本の作品を遊び終えた後にエクストラストーリーとクロスストーリーが展開され、全てを遊び終えた頃には大きな達成感と同時に終わってしまったという喪失感を得られる素晴らしい作品だと思います。

始まりがあるものには、全て終わりがある。
物語は終わりがあるからこそ楽しめる。
そして次の物語を冒険していくのでしょう。

終わりのない物語は物語と呼べません。
これが決してオクトパストラベラー唯一の汚点である大陸の覇者を指しているわけではありませんが、やはりメリハリはつけてほしいと思います。

さすがにこれだけのアンソロジーを2作続けてリリースすると次回作以降が大変になるとは思いますが、オクトパストラベラーというタイトルは低迷しているスクエニを救い、未来を見据える看板タイトルと成り得るポテンシャルを秘めていると思うので今後も新作を期待せずにはいられません。

"生きるとは、旅をすること"
私たちの人生は、旅
1人では無理でも仲間と一緒なら、きっと歩いていけます
等しく続く"明日"へと
皆さんの旅が…
"明日"が輝きにあふれることを願って
この歌(ゲームタイトル)を贈ります
"オクトパストラベラー"

アグネア


希望に満ちたメッセージでとても心地よい終わり方でした。
この "楽しい" "面白い" という率直な気持ちを大切にしながら、ひたむきに追い続けていきたいと思います。

ここまで読んでいただいたすべての方に感謝を。
また次回のゲームでお会いしましょう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?