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楽しい不動産英単語 第23回 イギリスの家とスタイル-2 Enjoy English Expressions for Properties Vol.23- British Houses and English- Style Homes-2

<文章からバーチャルな不動産を想像して楽しもう!>
<Fun Reading for Imagining the Virtual Property!>


不動産関連の記事を読むことから英語の学習をするこの企画。前回に続いて、イギリスの不動産に使われる表現を見てみましょう。

前回、第22回では、
その家の作りから
1)家の種類 House Types

道路を形造る街並みからできた
2)建物が形造る道路の名前  Names of Streets Consisted of Building Shapes

をみてきました。今回は、
3)歴史的時代的に分類したスタイル Styles Sorted by Historical Epoch

に焦点を当てています。

3)歴史的時代的に分類したスタイル
Styles Sorted by Historical Epoch

細かく見れば際限がありませんが、おおまかに次のような区分を理解するのが基本だと思います。チューダー Tudor 以降の建築物が、現役で使われていることが多いです。それ以前の中世 Medieval (1066年~1540年ぐらい)も時々あります。

(1)チューダー朝 Tudor (1485 - 1603)
(2)エリザベス朝 Elizabethan  (1558 - 1603)
(3)スチュアート朝 Stuart  (1603 - 1714)
(4)ジョージア朝 Georgian (1714 - 1837)
(5)ビクトリア朝 Victorian (1837 - 1901)
(6)エドワード7世時代 Edwardian (1902 - 1910) 建築様式として(1900−1918)
(7)アールデコ Art Deco (1920 - 1940)
(8)第二次世界大戦以降 Post WW II (1945~)

ほとんどが、王朝の年代で建築物の特徴を分類していますが、アールデコや、第二次世界大戦以降などもあります。そこには、現代建築 modern / contemporary architecture も含まれます。また、ここには分類していませんが、かつて流行ったスタイルを復活させるリバイバル Revival では、ゴシック・リバイバル Gothic Revival チューダー・リバイバル Tudor Revival / Mock Tudor などがあります。

上の表記では、チューダー「朝」となっていて、チューダー王朝のことを指していますが、建築を語るときには、チューダー調という表記で、チューダー王朝時代のスタイルを指すことになりますので、混乱します。ここでは王朝が「~朝」を、建物の様式には、「調」または「スタイル/様式」という言葉を当てようと思っています。でも、混乱していたらごめんなさい。建築物に限らず、ざっと王朝時代の年代を頭に入れておくと、イギリスを理解するときに便利です。

イギリスの建築様式については数多くの著作やウェブが出ていて、とても網羅できませんが、簡潔にまとまっていて、写真付きで見やすい、First In Architecture を参照にします。下にある説明文はこのウェブサイトからの抽出で統一しています。

1)Tudor Style  (1485-1603)

The Tudor style is notable for its thatched roofs and expressive facades. It marked the final development of Mediaeval architecture in England and Wales, following the Late Gothic Perpendicular style. 
These houses were quite popular and easily recognisable due to the half timbering technique that gave them their contrasting black and white exterior. 

<訳>チューダー様式は、茅葺き屋根と表情豊かなファサードが特徴的です。後期ゴシックの垂直様式に続く中世建築の最後の発展を、イングランドとウェールズにおいて示しました。ハーフティンバー技術を使った白と黒のコントラストが映える外見は、大変人気があるとともに簡単に識別できるものです。

<訳注と単語>

垂直式建築 the perpendicular
茅葺き屋根 thatched roof
ファサード/外見/正面 facade
ハーフティンバー技術 half timbering technique

チューダー調の、黒い木材の柱や梁が、
白壁にはっきりコントラストとして現れる特徴的な外見は、
ハーフティンバー技術というのだそうです。
イギリスでは茅葺き屋根を尊重し、
今でも大事に保存していることがよくあります。
日本でも50年前まではたくさんあった茅葺き屋根。
今ではとても数が少なくなってしまい、悲しいです。
果たして日本は発展しているのでしょうか、
後退しているのでしょうか・・・
などと、あらぬ方向に考えが飛びます。


ロンドンコートカフェはオーストラリアのシドニーに造られた、チューダー様式の建物が街並みを作る、カフェや店の集まる路地にあります。

2)Elizabethan Style (1558 -1603) 


Since the Tudor era spanned over 100 years, houses slowly began to evolve. The Elizabethan style was the progression of the Tudor style.

<訳> チューダー朝時代は100年以上に及び、その間に、住居も進化しました。エリザベス朝様式は、チューダー様式の発展系と捉えることもできます。

<訳注と単語>
エリザベス朝様式を語るときによく出る言葉に、
E for E plan (エリザベス朝の頭文字のE)「EはE 字型プラン」
があります。
Eという字を横にして、
真ん中の前に出ている部分が入り口 entrance
背となる横一本が hall / long gallery 廊下/ギャラリー
そして、他の2本の前に出る部分のうち
一つが kitchen キッチンなどで、
もう一本が living area 居住区
という建物のデザイン様式です。面白いですね。
Hプランもあるらしいです。


3)Stuart Houses (1603-1714)

The most notable out of these being the Jacobean style (1603-1625) that followed on from the Elizabethan style. The exteriors were usually bare brick in contrast to the richly decorated interiors.

<訳>中でも目を引くのは、エリザベス様式に続くジャコビアン様式(1603−1625)です。豪華な装飾の内装とは対照的に、外装は剥き出しのレンガというのが一般的でした。

<訳注と単語>
この文章の前に、スチュアート様式がカバーした年代には、いくつかの様式が出現していると説明があり、その中の一つが、ジャコビアン様式、という流れです。

ジャコビアン様式 Jacobean  とは、
スコットランドのスチュアート家とイギリスを統一させたジェームス1世王(スコットランドではジェームズ6世)の時代で、
ジェームス James のラテン語 Jacobus からくるそうです。

また、スチュアート朝と言えば、イギリスと統合する前の、最後のスコットランド女王メアリーが有名ですね。フランスの王様と結婚し、短いですが、フランスの女王だったこともあります。カクテルのブラッディー・マリーは、台頭してくるプロテスタントを弾圧して、カトリックを擁護しようとした女王に殺された、プロテスタントの流血の多さになぞらえたものとも言われています。

スコットランドでは今でも、
「イギリスから分離独立しよう」と言う話で盛り上がり、
時々投票も行われていますね。
日本でも、例えば沖縄の人たちは、
飲み屋でそういう話が盛り上がるのかもしれません。
また、イングランドに負けたフォルカークの戦い Battle of Falkirk が、
どれだけ悲惨だったかという話が出るのも、
京都の人が応仁の乱を語り伝えるのに似ているように思います。
それぞれ違った事象ではあるけれど、
人間が織りなす歴史模様には、似たところがある、
と感じ入ることがあります。

4)Georgian architecture (1714~1837)


Georgian style houses can be identified through their elegant facades embellished with classical elements. Symmetry and proportions were highly regarded. They sought to bring in more natural light and space in comparison to their predecessors. Town houses with landscaped parks were in fashion.

<訳>
ジョージア様式の家は、古典的なエレメントで装飾した優美なファサードが特徴です。また、左右対称の調和した比率を高く評価しました。それ以前と比べ、より多くの自然彩光や空間を求めています。造成された公園を伴うタウンハウスが流行りました。

<訳注と単語>

左右対称/シンメトリー symmetry  左右非対称は asymmetry
調和した比率 proportions プロポーションは本来「比率、もしくは割合」ですが、それが整っていることがここでは求められているので、調和した比率としました。
自然光/自然彩光 natural light
前任者/それまでのもの predecessor

このスタイルの代表的なテラスハウスに、
前回見たクレッセント建築としての、
バースのThe Circus at Bath
があります。

また、ここでは分けませんが、
ジョージア様式の一つとして、
リージェンシー・スタイル Regency Style があります。
その様式の有名な建築家に、
ジョン・ナッシュ John Nash がいて、
前回クレッセントで見た、
ロンドンのリージェンシー・クレッセントは、
その代表的建築物です。

参照:楽しい不動産英単語ー第22回 イギリスの家とスタイル:


5)Victorian Style  (1837-1901)

The Industrial revolution and population growth during this period saw successive housing booms that resulted in the creation of millions of Victorian houses that we are familiar with today. They were generally designed as terraces or detached houses.

<訳>
産業革命による人口増加が起こったこの時代、住宅ブームが相次ぎ、今日ビクトリア様式として私たちが認識する住宅が、何百万戸も建設されました。テラスハウスや一戸建てとして設計されるのが一般的でした。

<訳注と単語>
産業革命 the industrial revolution
人口増加 population growth

装飾豊かな外観と、大きく張り出した出窓、
そこからセットバックしている入り口、
コーニスが美しい内装など、
特徴豊かです。
決して安価では造れない家々が、一般人に広まっていった
ということは、
エリザベス1世の統治下で、
イギリスが世界の大国として成長した時代を象徴していると思います。


6)Edwardian Style (1900 - 1918)

This style was heavily influenced by the Arts and Crafts movement and sought inspiration from simple vernacular styles. The Mock Tudor style was also in trend.

The exteriors were still decorative but much more subdued than the Victorian style. The main focus was on handmade crafts and using locally sourced materials.

<訳>
この様式は、アーツアンドクラフト運動の影響を受け、素朴な土着固有の様式にインスピレーションを求めました。モック・チューダーも流行った時代です。

外観は依然として装飾的ですが、ビクトリア様式に比べるとずっと控えめです。手作り工芸に焦点を置き、地元産の素材を使いました。

<訳注と単語>
土着固有/民芸風の vernacular   言語で、「土地言葉」という意味もあります。
モック・チューダー Mock Tudor  モックには模造品という意味があります。チューダー様式の特徴を取り入れた様式です。
控え目な subdued  この動詞には、抑制する、和らげるなどの意味があります。
地元産の素材 locally sourced materials

ビクトリア様式と並行して起こった、
クイーン・アン様式やゴシック様式のリバイバル、
そしてアーツアンドクラフト様式を経て、
エドワーディアン様式になったようです。


これもイギリスの外、コモンウェルスであるオーストラリアにある建物です。ゴシック・リバイバルかな?と思うのですが、クイーンアンも入ってる?建物から様式を言うのは難しいです。

7)Art Deco (1920-1940)

The Art deco movement celebrated sharp angles and sleek geometric shapes. It strived to strike a balance between grandeur and practicality.

アールデコ運動は、鋭い角度と滑らかな幾何学的形状を称賛しました。華麗さと実用性のバランスを追求したのです。

<訳注と単語>

滑らかな幾何学的形状 sleek geometric shapes   「 図形もしくは幾何学」 geometry です。
華麗さ grandeur   他には壮大、雄大などの意味もあります。

アールデコはそれまでとはガラリと雰囲気が変わりますが、
一世代を風靡した様式で、
家具などの美しい表面の仕上がりは、
高級なアンティークショップの中央に鎮座して目を引くことがあります。


8)Post -WWII


第二次世界大戦後以降を、ここでは一括りにしました。
素材にコンクリートが使われるようになったり、
終戦直後のダメージから急いで回復するためには
Airey houses (設計者エアリーの名前)と呼ばれる
プレハブ住宅 prefabricated houses などもありました。
安く、小さく、天井が低くなった時代を超えて、
現在では進んだ技術を使って、さまざまな家が建てられています。


リバイバルの時代 

かつて流行った様式を、のちに取り入れて、
リバイバルする様式が、流行る時代があります。
国会議事堂であるビッグベンの時計塔(竣工1854)は、
ゴシック・リバイバル様式 Gothic Revival です。

また、エドワーディアン様式で見たように、
モック・チューダーなどもリバイバルです。


少し長くなってしまいましたが、
次回もイギリスから、
リストされる指定建造物や
ブループラークの保存建築物について
みたいと思います。


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