見出し画像

流行体感から読み解くサービス未来予測 流行予想シリーズ ~電動キックボードのシェアリングサービス編~

私たちは「モノ」や「サービス」を選択する際、「みんなが使っているかどうか」を目安にすることがあります。「みんな」とは果たして誰でしょう?よく考えると極めて曖昧なイメージであり、感覚的なものであることがわかります。しかしその空気が私たちの行動を決める1つの要因になっているのも確かなことです。
本シリーズでは「みんなが使っている」という空気感を頼りに、今と近未来の流行の予想をしてみたいと思います。

29回目は「電動キックボードのシェアリングサービス」を取り上げます。こがずに乗ることができるキックボードで、街中にあるポートでレンタルができ、その利便性も注目されています。どのくらい普及しているのかという現状から、これから先の流行がどうなっていくのかを探っていきます。


1. 「電動キックボードのシェアリングサービス」の現状と認知度

「電動キックボードのシェアリングサービス」とは、「LUUP(ループ)」「BIRD」「SEA-Board」などを代表とする、電動式モーターとバッテリーが取り付けられた電動キックボードを借りられるサービスを指します。アプリなどから予約ができ、街中にあるポート(電動キックボード置き場)から乗ることができます。環境に配慮をした、新たな移動手段としても注目されています。

現状サービスの展開エリアが多い一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の18~59歳男女を対象に、「電動キックボードのシェアリングサービス」の現状について調査したところ、主な結果は以下でした。


・「電動キックボードのシェアリングサービス」の認知率は全体で76%

・「知っているし、利用している」という現在利用率は全体で2%

・「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」を含めた利用経験率は全体で4%


「電動キックボードのシェアリングサービス」の認知率は、全体で7割台後半でした。男女別で比較すると、男女ともに76%の同率となりました。年代別にみると、30~50代よりも10~20代のほうが若干高い認知率で、最も高いのは10~20代女性で82%となりました。

「知っているし、利用している」という現在利用率は全体で2%、「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」を含めた利用経験率は全体で4%となっています。
利用経験率、現在利用率ともに10~20代男性の割合がほかの層と比べてやや高く、利用経験率は8%弱でした。

グラフにはありませんが、一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)別にみると、東京都と神奈川県で認知率が高めとなっており、利用経験率も若干高くなっていました。電動キックボードの置き場であるポートの設置数などの影響もあるかもしれません。

2. どのくらいの人が利用していそう?~現在の流行体感~

次に、「電動キックボードのシェアリングサービス」を利用している人が、現在身の回りにどれくらいいると思うかを想像して答えてもらいました。グラフにある流行体感スコアは、100人中どのくらいの人が利用していそうかをスコアとして算出した数値です。

その結果「電動キックボードのシェアリングサービス」の流行体感スコアは全体で「5.0」で、およそ20人に1人が利用しているイメージを持たれていることがわかります。
年代別にみると、男女ともに30~50代よりも10~20代のほうが、やや高めのスコアとなっています。

3. 1年後はどうなるか~近未来の流行予想~

次に、「1年後、自分のまわりでどのくらいの人が利用していると思うか」を想像して答えてもらいました。 グラフにある流行予想スコアは、100人中どのくらいの人が1年後に利用していそうかを算出した数値です。

「電動キックボードのシェアリングサービス」の流行予想スコアは全体で「16.6」で、およそ6人に1人が1年後に利用していそうというイメージ。現在の流行体感から比較すると、1年後には今の3倍以上浸透しているというイメージになります。
男女別にみると、スコアに大きな差はみられませんでした。年代別では、男女ともに30~50代に比べて10~20代のスコアが高くなっています。

グラフにはありませんが、一都三県別にみると、東京都では「4人中1人くらい、利用するだろうと思う」の割合が4割と高く、「ほぼ誰も利用していないだろうと思う」の割合は他県と比べて低くなっていました。

「電動キックボードのシェアリングサービス」を半数くらいの人が利用していそう/ほぼ誰も利用しないであろう、それぞれの意見をご紹介します。

■流行予想として「半数くらいの人が利用していそう」と思う人の意見

「楽しそう、細かい移動に便利な気がする」(19歳/男性)

「レンタル自転車より手軽に使えそうだから」(19歳/男性)

「段々と使っているのを見かけることが増えているから」(22歳/女性)

「都内に住んでいるがここ数年でたくさんの乗り場…?のようなところがとても増えていると思うし、購入した友達もいるから」(23歳/男性)

「自転車のようにこがなくてもいいし、免許もいらなくて手軽だから」(33歳/女性)

■流行予想として「ほぼ誰も利用しないであろう」と思う人の意見

「電動キックボードを利用している人は、現在若者が大半であり、上の世代の人々には定着しないと思うから」(25歳/男性)

「荷物を持っていたりすると使いにくいし、自転車よりハードルが高そうなイメージがあります」(29歳/女性)

「周りで使っている人がいない。都心部にしかないから」(33歳/男性)

「1年以上前から知っているが、この1年乗らなかった。危険性を指摘する声も増えている気がする。周りもそうではないかと考えた」(38歳/女性)

「シェアサイクルの方が便利だと思うから。あと、細かい交通ルールも知らないから」(44歳/男性)

4. 自分は利用してみたいか?~今後の利用意向~

次に、今後の利用の意向について回答してもらったところ、利用意向がない人の割合(「あまり利用してみたいと思わない」「まったく利用してみたいと思わない」の合計)は全体で57%となっており、男性と比べて女性の割合が高めでした。

一方、利用意向がある人の割合(「ぜひ利用してみたいと思う」「機会があれば利用してみたいと思う」の合計)は全体で30%となりました。 男女別にみると、女性と比べて男性の割合が高めです。年代別では、男女ともに10~20代のほうが30~50代よりも利用意向がある人の割合が高くなっていました。前のグラフでも10~20代男性は、ほかの層と比べて利用経験率、現在利用率ともに高めでした。

「電動キックボードのシェアリングサービス」の利用意向がある人/ない人、それぞれの意見をご紹介します。

■「利用意向あり」の人の意見

「乗っている人を見ると便利で楽しそうだと思うから」(20歳/女性)

「旅行先とかで気軽にできるのがあれば利用すると思うから」(26歳/男性)

「自転車のシェアリングはよく利用するので、キックボードも機会があれば利用したい」(28歳/男性)

「設置場所が増え、目的地付近にも返却できるスポットができてきているため」(28歳/女性)

「通勤ルートなどちょうどいいところにステーションができれば利用すると思う」(39歳/男性)

■「利用意向なし」の人の意見

「利用に大したメリットを感じないから。キックボードを使うくらいなら公共交通機関を使うと思う」(19歳/男性)

「歩いたほうが健康的だしキックボードに乗るくらいなら自転車でよいと思う」(33歳/男性)

「交通ルールなど不安な面もあり、また荷物を載せて移動するには適していないと感じるため」(36歳/女性)

「おばさんが乗っているとちょっと恥ずかしい。若者が利用するイメージがある」(47歳/女性)

「自転車、電車移動で十分だし、危険だから。ヘルメットもかぶる必要がなく、あのスピードは怖すぎる」(49歳/女性)

5. 「電動キックボードのシェアリングサービス」は今より3倍以上伸びる!?

ここまでの主な数値をまとめてみました。2024年1月17日時点での「電動キックボードのシェアリングサービス」の認知率は76%、現在利用率は2%でした。

流行体感としては、“およそ20人に1人が利用している”イメージを持たれているようです。そして、今から1年後には、現在の3倍以上にあたる“およそ6人に1人くらいが利用していそう”というイメージを持たれています。

男女年代別にみると、利用意向は女性よりも男性のほうがやや高く、男女ともに10~20代のほうが高くなっていました。
また、流行体感スコアと1年後の流行予想スコアでは、男女ともに30~50代に比べて10~20代のほうがやや高くなりました。


街中で気軽に乗れる「電動キックボードのシェアリングサービス」は、全体で7割超の人が認知しているものの、現在利用している人は少数のようです。「こがずに乗れて便利そう」「旅先などで乗ってみたい」などの前向きな意見がみられる一方で、「荷物があると乗りづらそう」「若者が乗るイメージ」「ハードルが高い」といった声もあがりました。安全面を懸念する声も多くみられ、交通ルールの浸透も課題となっていそうですが、「電動キックボードのシェアリングサービス」がどのように広がっていくのか注目です。

LINEリサーチでは、トレンドや業界別の動向に加えて、若年層を対象にした調査を多く実施しております。ご自身の担当サービスや商品の調査だったらどうでしょうか?エリアや年代に絞った調査などカスタマイズが可能です。消費者にこんなこと聞きたい、こんな質問できないの?まずは気軽にご相談ください。

【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の18~59歳の男女を対象
実施時期:2024年1月17日~2024年1月19日
有効回収数:2,110サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります

【調査データの引用・転載について】
調査データの引用・転載の際は、必ず「出典:LINEリサーチ」と明記いただけますようお願いいたします。引用・転載先がWebページ(メディア/ブログ等)である場合には、該当ブログ記事のURLをリンクしてご掲載ください。

報道関係者様による引用の場合、利用・掲載状況の把握のため報道関係のお客様からのお問い合わせまでご連絡いただけると幸いです。

【LINEリサーチについて】
『リサーチノート』はLINEリサーチが運営する調査メディアです。LINEリサーチでは600万人を超える豊富なモニターによりテーマごとに様々な調査が可能です。スマートフォン調査をお考えの場合は、お気軽にご相談・お問合せください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。「フォロー」と「スキ」をいただけると今後の励みになります。「スキ」は記事下の「♡」を押してください。「フォロー」の場合にはログインが必要になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?