海外出版ニュース 6.2.2020 コロナで延期した新刊書のラッシュ

まぁ、そうなるよね、ぐらいのニュースなんだけど、書店もロックダウン、文学フェスは軒並みキャンセル、出版社の人も自宅勤務になっていた3〜5月の間に刊行予定だった本がここから一気に発売になるんで、結局どれも埋もれちゃうという話。読者だって買い控えていた分を倍返しで本を買ったりはあまりしないだろうし。

アメリカだと、新刊の刊行予定日ってのはもう初稿が入るタイミングの1年ぐらい先で、書評もイベントもその刊行予定にに向けて突き進むようにやるんで、これが何らかの原因で(表紙デザインが変わったとか、盗作部分が発覚したとか)守れなくなると書店からブーブー文句がくるわけです。

アシェットのように、刊行日をずらしたのが2割以下のところもあるけれど、他は場合によって来年にまで伸ばしたりもしている。あとはその著者のファンがどのぐらいいるか、書店でディスプレイされないと売りにくいかどうかとか、似たような本が同時期に出ないかとか、あとはブッククラブやテレビ出演の枠が取れそうかなどを考慮して決めている。

でももう、外出自粛がどれだけ続くかわからないし、第2波もあるだろうし、どう転んでもコロナ以前のように元どおりというわけには行かなさそうだぞ、というのもわかってきて、刊行日ずらしたぐらいじゃどうにもならないかも、という状況だ。

NPDブックスキャンの数字を見れば、書店が閉店になっている間もそんなに書籍の売り上げは落ちていない。紙の本の売れ行きは昨年から横ばいだ。一方で、5月19日に予定通り発売になったスーザン・コリンズの「ハンガー・ゲーム」シリーズの前日譚、The Ballad of Songbirds and Snakesは既に50万部出たらしいし、ジョン・グリシャムやスティーブン・キングみたいな売れっ子作家の新作は書店がクローズしてても量販店にも並ぶので影響は少ない。

だが、デビューする新人や、他のメディアで話題になってナンボのノンフィクションの著者は厳しい。

各都市で暴動が続いているアメリカですが、書店ってたぶん誰も略奪しそうにねーな、って勝手に思ってるんだけど、そのうちニュース記事がとりあげてたら報告します。

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