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不屈、憂鬱、空中浮遊

9月。扇町にてワーストイズマイン。危うくどれだけ楽しかったか忘れるところだった。今の自分の声が結構好きかもしれないな、なんて思いながら。珍しく本番で喉を完全に使い切ってしまった。言いたいことなんて声を枯らすほども無い。楽しく絶望に酔っているとこうなるからいけない。扇町ではドーナツ。楽屋ではたばこ。ステージではメロディー。地下鉄では口笛。どれも空腹をあやすには充分。

私と私以外のすべての間に溜まった埃を、なるべくスマートに散らす為の音量。沈んでしまった色々を浮かす為の声量。羽化する瞬間でさえ韻を手繰る迂闊な習慣。9月はいいよな。夜がいいよな。

制作はとにかくアリとナシの間で揺れる。一周したのちにアリなアイディアが出るとき、脳内で疲れた手が届く範囲のものを摘み取っただけに過ぎない。覚えているもの、一度頭に入れたものを手の届く範囲に移動させることが本質的な意味でのインプット(アウトプット)なのかもしれない。

地下鉄に揺られる時間が一瞬になるなら、喉を嗄らすのもいいことじゃないかと思える。

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