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ジャンプ週間の君が代に泣く

スキージャンプの小林陵侑選手が伝統の「スキージャンプ週間」で2季ぶり3度目の総合優勝に輝いた。


スキージャンプは毎年ワールドカップがある。
だいたい11月から3月まで主にヨーロッパを転戦しながら競う。
プロフィールにも書いたが、毎年、ほぼ全ての試合の中継を見ているわりと熱心なファンだ。

2023/2024大会の日程
「ずっとスポーツ!」
FISスキージャンプ・ワールドカップ男子2023/2024のページ
より


この中で、年末年始にかけて行われる4戦は「スキージャンプ週間」と呼ばれ、ワールドカップよりも古い歴史を持つ伝統的な大会。
強豪国であるドイツやオーストリア、ポーランド、北欧などでは、オリンピックよりも注目が集まるといってもいいかもしれない。
その最終戦が、昨日オーストリアのビショフスホーフェンで開催された。

昨年、所属していた土屋ホームから独立してプロに転向した小林陵侑選手、好調をキープし、このスキージャンプ週間総合優勝を果たして「金の鷲」(手に持っているトロフィー)を手にした。

えーと、もうここからはいつものように「陵侑」と呼ばせていただきます。笑

この大会の勝者は、年末年始の4戦の合計獲得点で決まる。
陵侑は今回、4戦とも2位という成績を揃えての総合優勝となった。
気象条件にも大きく左右されるスキージャンプ、どの選手も毎回実力を出し切れるというわけにはいかない。そんな中、どの試合も外すことなく得点を重ねた力は大きい。そんな総合優勝がなんと3回目なのですよ!

もっというと、1回目の2018/2019年シーズンには、なんと4戦すべてで1位を取っての総合優勝だった。まさに「宇宙人」と呼ばれる所以である。


さて、昨日の最終戦、それまでの3戦の結果で、総合優勝は実質、陵侑とドイツのアンドレアス・ヴェリンガー選手との一騎打ちだった。

ドイツでは、ワールドカップの全試合をライブ中継するほどスキージャンプ熱が高い。
さらに、ヴェリンガー選手は2018年の平昌オリンピックで金メダル(ノーマルヒル)をとったあと前十字靭帯や腕の怪我に見舞われ、それを乗り越えてきている。
そんなわけで実況も解説も試合開始前から大きな盛り上がりを見せていた。

そんな中での1本目、なんと陵侑、使用する板を間違えてスタンバイするというアクシデントが!
それでも、走って取りに戻りジャンプ台への階段を息を切らして登る陵侑には、弾ける笑顔(というか大笑い)があった。

ちょうどミラノからのバスに乗っていて見られない夫に送るのに撮ったもの(頼まれてないけど。笑)
sportschau.deより

ドイツの解説も「ニュー・ジェネレーション」という言葉で笑いに包まれていた。


結局、この試合の優勝は逃したものの1本目、2本目と飛距離を揃えたジャンプで点を重ね、総合優勝を勝ち取った。
年の初めから心の置きどころのない災難に見舞われる日本のことを思うとき、真っ白なシャンツェに響く君が代に涙が止まらなくなった。


さて、スキージャンプについてはここではちょっと語り尽くせないいろいろがあるのだが、競技自体の面白さに加えて、私にとっての大きな魅力は「ファミリー感」だ。

それぞれライバル同士ではあるものの、勝った選手を祝福し、お互いの健闘を讃える姿が常にある。
年間の半分弱を一緒に移動しながら戦うことで(サマーグランプリもあるし)、国を超えて「スキージャンプファミリー感」が醸成されるのかもしれない。

何年も見ていると、どの選手にも親しみが湧いてくる。
苦労して順位を少しずつ上げてくる選手、彗星のごとく現れる選手、競技中の事故から復帰を果たした選手がシャンツェに戻って再び跳ぶ姿には涙が出ることもある。

お、結婚したんだな、お子さんが生まれたのか、とか、普段は警察官なのね、など、そんなことを知るのも嬉しく、こちらもファミリーの一員になったような気がしている。

今回のように、日本人選手、チームが勝つのはもちろん嬉しいが、本当に誰が勝っても「よかったね」と思える。そんなスポーツだ。
これからも、ほそぼそとスキージャンプファンを続けていこうと思っている。


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