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迷い仔猫

一昨日の真夜中、浅い眠りを妨げられ寝不足の原因となったのは仔猫の鳴き声。
親やきょうだいを呼ぶように力強かったり、細く悲しげだったり、時にはがっかりした風に低く鳴いて、可哀想で気になって、何度も窓を開けては暗闇を透かすように探してしまった。

午前3時頃、ようやく鳴き声が収まり仔猫も眠りについたのだろう、やっとわたしも眠りに落ちた。2時間も眠れただろうか、明るくなると再び仔猫の声がして目が覚めてしまった。明るくなればこっちのもん、探索に出る。

仔猫は伸び放題の庭木の間に潜り込み、近づくと物置の下へ逃げ込んでしまった。失敗失敗。
後ろ髪を思いっきり引っ張られながら外出し、帰宅早々仔猫の鳴き声に耳を澄ませた。気配ゼロ。塀越しに空き家の庭を覗くと、お皿のミルクはきれいに無くなっていた。仔猫が飲んでくれたと思いたい。

白地に、淡いグレーの模様が入った仔猫そっくりの成猫を近隣で見かける。たぶんその猫の子供なんだろう。飼い猫なのか、野良なのか。一匹だけはぐれてしまったのは何故なのか。今どうしているのかな。

みゃうみゃうという切ない声に耳をすますと、細く遠く聞こえて来た。んん?これは何処だ??お隣の空き家庭でないことは確かで、道を渡った草むらっぽい。夏草生い茂るそこは民家の庭。もう手出しはできない。ああ。

そのうち雨が降り出した。
夜の闇を透かして耳をそばだてるも、細い声さえ聞こえない。
雨に濡れずにいられているだろうか。濡れて震えていないだろうか。あの民家の住人に保護されていますようにと願うけれど、猫嫌いのお宅だったら?仔猫の警戒心はさらに高まっているだろうし、簡単に保護されるとは思えない。

心配しかないけれど、心配してもなぁ。。。

今朝も昨夜から続く梅雨の雨音を聞きながら仔猫のことを思っている。鳴き声は聞こえない。猫の扱いに慣れた誰かに拾われたかな?

近所に徘徊している猫たちは、飼い猫もいれば野良もいる。野良でも立派に生きていける環境がこの田舎にはきっとあるんだ。わたしが思うより仔猫は逞しく生きる力がきっとあるんだ。

無理やり自分を納得させている、梅雨の朝であります。


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