<不定期連載>読書会について本気出して考えてみた。|第1話 「読書会ってなに?」(田中佳祐・竹田信弥)

第1話 「読書会ってなに?」


田中「こんにちは、ライターの田中佳祐です。」
竹田「双子のライオン堂書店の竹田です。当店では月に数回、読書会を行ってきました。そこで今日からnoteで改めて読書会について勉強していくことにしました」
田中「お店が始まって、しばらくしてから2人で読書会を立ち上げましたね。かれこれ7、8年くらいになりますかねー。200回以上はやってるかな?」
竹田「最近よく読書会ってどうやっているんですかって聞かれることが多いんですよ」
田中「僕たちもよく分かっていないんですけど、今まで工夫してきたことなどを書いていきます」


竹田「まずは読書会ってそもそもなに?っていうところから話を進めていきましょうか」
田中「竹田さんは、読書会が嫌いでしたよね?」
竹田「いやいやいやいやいやいや、読書会は好きでしたよ。大学生の時代に、自主的に空き教室でやってました。そのときは読書会、という名前は知りませんでしたが、自主ゼミとか読書サークルとか、そんな感じです」
田中「ふ〜ん」
竹田「疑いの目!。田中さんが言っているのは、お店でやろうとしたときに、最初に拒否したことですよね」
田中「そうですよ。最初、めちゃくちゃ嫌がったじゃないですか。大変だったんですから。なので、僕がお店のスペースを借りて、お店とは別に開催しているテイではじめましたよね」
竹田「そうでしたね・・・いまはお店でやるの楽しいですよ」
田中「そんな思い出話はいいんですよ。読書会についてまとめることにしたので、話を戻しましょう」
竹田「田中さんが読書会嫌いなんてフェイクニュースを言うから・・・」
田中「はいはい。では、仕切り直して、竹田さんは読書会っていうとどういうのを思い浮かべますか」
竹田「僕は、1冊の本を読んできて、それぞれに感想をいうやつですかね」
田中「課題本形式ですね、テキスト読書会とも分類できますね」
竹田「そんな立派な名前があるんですね」
田中「一応、あるみたいです。他には、発表会式・研究会式・輪読会式などいろいろな進行方法があります。あとはテキスト、テーマ、自由と何について話すか、という分類があるようです」
竹田「へー。うちのお店では、課題本が多いですね。そんな分類考えたこともなかった」
田中「まあ正式な分類があるわけじゃないので、便宜的にそう呼ばれているようですよ」
竹田「まずは、いつもお店でやっている課題本形式の話ですが、だいたい1時間半くらいで8名ぐらいの定員でお話しする事が多いですね」
田中「僕は、がっつりファシリテーションする形式が好きなので、司会として話をふりながら、自己紹介をしてもらったり本の感想をしゃべってもらっています」
竹田「司会がそれほど役割を持たずに、1人ずつ順番にはなしていく形式もあったりすると思います。ぼくが大学生の頃はそんな読書会をやっていましたけど、ウチの読書会は司会が意識的に話を広げたりしていますね。ちょっとカウンセリングぽいところがあるかも?」
田中「ちょっと、でしゃばってます」
竹田「読書会未経験の方が多いので、何をしゃべればいいか分からない人には、しゃべりやすいと思いますよ。場が乗っているときは、引いてますしね」
田中「なぜ、そうしているかと言うと、上手に話さなきゃとか面白い話をしなきゃとかコミュニケーションの部分で気を使わずに、作品の話をしてほしいなと思っているからです。それがうまく機能しているかは参加者の方に聞いたことないので分からないですけどね」
竹田「そういう意味では、最初の感想を求められたときに、おとぼけな感想を言いますね。まあ、そもそも寝ぼけた感想しかいえないですけど」
田中「そろそろこのパートも終わりなので、そんな僕たちの読書会で大切にしていることを書いておきましょうか」
竹田「ぼくは、本の感想ってどんなことを喋ったりしてもいい、という雰囲気にしたいと思っていますね。面白い面白くないもちろん、分からないも含めて、否定的な意見やくだらない感想でもいい。とりあえず読めば、何を思うはずなので、それをそのまま吐き出せる場所っていうか」
田中「僕は、作品と向き合う時間を作ることを大切にしています。コミュニケーションの場ではなく、本を読む延長線上にある場所として読書会を作りたいです。専門家の講演を聞くと、作品の事を分かったような気になってしまうことがありますが、読書会では分からないところが残ったり自分の読み方に疑問を持つことができて、その上手くいかない感覚がむしろ作品と向き合うのに大事なんじゃないかなと思います」
竹田「この連載を通して、読書会に参加するひと、主催するひとが増えたらいいですね」

(つづく)

<筆者プロフィール>

・田中佳祐
「街灯りとしての本屋」執筆担当。東京生まれ。ライター。たくさんの本を読むために2013年から書店等で読書会を企画。企画編集協力に「草獅子 カフカ」「しししし1 特集宮沢賢治」「しししし2 ドストエフスキー」「しししし3 サリンジャー」(双子のライオン堂)。好きな作家は、ミゲル・デ・セルバンテス。

・竹田信弥
「街灯りとしての本屋」構成担当。東京生まれ。双子のライオン堂店主。文芸誌「しししし」発行人兼編集長。単著『めんどくさい本屋』(本の種出版)、共著『これからの本屋』(書誌汽水域)、『まだまだ知らない 夢の本屋ガイド』(朝日出版社)など。好きな作家は、J・D・サリンジャー。

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