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0607│餃子と天津飯と脳内におじさんを飼う

    今日、本当はモーニングに行く予定だった。会社を辞め完全在宅になった彼と、元々在宅ワーカーな私は、2人とも仕事でもない……。ましてやモーニングのためだけに8時になんて起きれない体になってしまった。
    だけどアラームのせいで8時に起きてしまったので、仕方なく2人とも寝ぼけながら、ぼーっとしたり手を繋いだりトイレに行ったり、ゆったりと朝を過ごした。

    10時になって彼は仕事を始めたので、私もそれに続いてシナリオ執筆を始める。リモートで永遠に誰かと喋ってる彼。
 彼が「そこをコミットすると〜」と言うと、時折シナリオに「○○は電車にコミットすると…」と、彼の会話内容が入り込む。
 その度に、脳で飼ってるキートン山田が「営業妨害である」と言ってくるので信じられないくらい集中出来なかった。ワンルームで逃げ場がないので、玄関のところに置いてある段ボールに腰掛け、ケータイで仕事をした。

    ランチタイムになり、お腹の虫がグーグーと大騒ぎしだしたので、私達は王将に行く事にした。途中ローソンのからあげクンや、マクドナルドの平成バーガーが誘惑してきて、王将の輪郭がぼやける。またもや脳に飼ってるキートン山田が「誘惑に弱い、2人であった」と言ってきた。
    キートン山田に言われてばかりは悔しい。
 なんとか我慢して私達は王将へと到着。勝った。
 最近胃がもたれるようになってきたのでニンニクありだとキツい、なのでゼロ餃子なるものを食べる事にした。しかも、沢山食べれないようになってきたので天津飯もハーフサイズ。すると、またもや頭の中でおじさんの声が聞こえてきました。

「ニンニクを食べずして、何が王将なのか。冒涜である」

 キートン山田、まだ囁いてくるか。
 胃が痛くなるんだよ、だけど餃子も天津飯も食べたいんだよ。

 帰宅後。
 またもや、彼は仕事で永遠に仕事仲間と通話。
「あ〜お腹いっぱ〜い!」とか「眠た〜い!」とか、いつもなら1人でギャーギャーと騒ぎ倒せるのに……。
 独り言を吐き出せない状況に段々と息苦しくなっていく。息苦しさは、彼の嫌な所へと私を誘う。息苦しさは次第にイライラへと変貌。

 すると、キートン山田とは違うおじさんの声が聞こえてきた。

「俺なんかより、いい男じゃねぇかよぉ〜。そうかっかすんなって〜」

 その後、新聞をペラっとめくり、挙げ句の果てに放屁する音まで鮮明に聞こえてきた。
 そう、それはちびまる子ちゃんでお馴染み、父ひろしだった。ひろしを飼った覚えはないのだが、脳内からは確かに彼の声が……。

 なんだか馬鹿馬鹿しくなってきた。
 しゅるるると音をたてイライラはどこかに消えていく。
 また、私がイライラしたらひろしが別れないようにと宥めにきてくれるのだろうか? だけれどなんだか、既婚者であるひろしを脳内に飼うのが申し訳なく、そして悪いことをしてる気持ちになる。

 まる子の母であり、ひろしの奥さんであるすみれさんに対して、なんだか気まずい思いを向ける、りりこであった。つづく。

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