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自分が多すぎる

自分は何がしたくて、何が描きたくて、何者かもわかった。だけどそれを他者に正確に伝えられるかは別の話。自分の「カテゴリ」を分析してみた。

漫画のネタにも書いたが、自分はこの人生25年間の間で色んな経験をしてきた。実体験を元に漫画を描きたいとは常に思っている。(早くしろ!)でもその前に自分はどんなやつでどの視点で描けば良いのか?とすぐ迷う。コミックエッセイではよく「初めまして!xxxです。xxxな事してます、こんな者です。」から始まりそのあとの数コマは自己紹介に繋がることが描かれてる事が多い。だが私はその数コマをどんなスタンスで行くか毎回迷ってしまう。紹介する「自分」が多すぎる。なので自分はどのカテゴリに入るか考えてみた。ちょっとぐだぐだです。頭の中を盛大に整理しようと試みます。


帰国子女 私のアイデンティティの基本である。生まれは日本、アメリカ育ち、聞こえは良いが自分はアメリカにも日本にも染まれきれない中途半端な人間だと思っていた。日本に行けば「いつアメリカに帰るの?」と聞かれ、アメリカにいれば「いつ日本に帰るの?」と聞かれどちらも帰る場所が無いんだと思ってしまい昔はよく落ち込んだ。日本とアメリカの文化が丁度半分にいれ混じっているので昔のカートゥーンの話で盛り上がる時もあれば日本の懐かし曲を聞いて盛り上がる時もある。逆も然り。思春期の頃は帰国子女を羨ましがる人と多く接してきたが(英語だって努力して身につけたんだよ!そうしないと生活できないんだよ楽した感じで接するんじゃねえよ自然に喋れるようになるんだと思ってんじゃねーー)とひねくれて心の中で叫んでいた。別に社交辞令だったかもしれないのに。とまぁよくある帰国子女あるあるで悩むことも多かったが、今では吹っ切れた。日本が恋しかった時期が長かったし、日本の高校や大学に行った友人達を妬んでいたが今となってはアメリカに住んでて良かったと思えるほどの大人になった。しかも現在は結婚の事情で日本の国籍を喪失し、書類上では完璧なアメリカ人だ。だから帰国子女というのもバイリンガルというのもおかしいかもしれない。でもいくらアメリカ歴の方が長ろうと私のルーツはやはり日本だし、人に聞かれれば「日本人」と答えている。そもそも「帰国子女」という言葉は日本だけで使われるものであって、異文化と多人種が交わって生活するのが当たり前のこの国では存在しない。私はただ日本で生まれてアメリカで育って魂は日本人の国籍はアメリカ人なだけだ。カテゴリに入れるとしたら「帰国子女」なだけ。難しいですね。普段はあまり深く考えませんが。


肉食系女子 ぶっちゃけると私は肉食系女子である。大人しい、清潔感のある、顔は悪く無いのに内気な性格のせいで交際経験が乏しい草食系男性が大好きだ。(訂正。今のゴリラ旦那は正反対である。)そんな男性を見ると猛アタックして押し倒して色々教えてあげたくなる。つい先週も旦那と行った大学の友人の集まりで大人しめの、足首がやたらと細くて黒髪で大きな目が少し隠れている、猫のような男性と会った。見た瞬間(はいどストライク〜!!!きました〜!!)と心の中で叫んだ。年はさほど変わらないが大学院の新入生で小さい頃アメリカに住んだ事があるらしく、幼少期の話で盛り上がった。しかもオタクだった。似たような感じの。話が盛り上がるにつれ(連れてきたやつでかした…!!)と思った。そのあと過去の恋愛話になり集まった面子は20代後半が多かったので「交際人数?5〜6人とかかな」「普通じゃない?」「私も7人かな」と話し合う中で彼は「ええ!?多くないですか?僕3人なんですけど…」となんとも可愛らしい答えが返ってきた。(はーい草食発言来ました〜〜!!か〜わ〜い〜い〜)と自分は思った。過去の自分なら確実にモーションをかけて「今度一緒に本屋行きませんか?」と誘うところだ。だが現在は既婚者なので流石にしない。ええ。旦那がいるので何も行動には移しませんがね。思うだけタダという事で。どちらかと言うと「萌え」の感情に近いかもしれない。妄想として終わらせた。と自分を全て曝け出すスタンスでも好きだ。というか普段私は猫を被りまくっている。実は下ネタも好きだしそのことに関して恥もないしセックスの話もよくする。周りの芋っぽい美大生達にもよく恋愛や性生活に関して説教じみた事もしている。しかし!何回も言うが「お洒落なイラストレーター」に憧れてるのでこういう発言はしない方がいいので黙っている。でもこれも自分なんだよな。過去のありえない男達(ミサワみたいな人とか)と付き合った交際経験のことも描きたい。そして性の話でぶっちゃけたい時もあるけど、自分の親に見られたら嫌だな…と止まってしまう。旦那との馴れ初めだってぶっちゃけ「セフレ要員にするつもりがいつのか間にか結婚してた」と言う感じだし。漫画の醍醐味としてはこういうのはさらけ出したほうが面白いんですが。でも彼のご両親にもいつか読まれると思うと少し躊躇してしまう。さっさと吹っ切れるんだ自分〜!!面白くするために!


③オタク?腐女子? これに関してはあんまり気にしてないが、私はどちらかというとオタク寄りの腐女子なのでカテゴリしようとするとややこしい。新作アニメも全部一通り見るし、萌え系アニメも見るし、普通に純粋にアニメや漫画も楽しむ。違う視点でも楽しめる。腐女子界の掟も承知しているし、地雷CPもあるし、この前元同居人(オタクのアメリカ人と韓国人)と「二次創作小説」についても熱く語れた。う〜ん悩む。どっちも自分なんだけど!!イラストを描くことに関しては「オタクとイラストレーター」で話したように創作と二次創作物をジャンル分けしなくても良いとわかった。だがどうしても他者に伝える「漫画」フォーマットにしようとすると共感を得るのにカテゴライズは必要だしなとビジネス面で考えてしまう。本当はただ好きなように描いて勝手に見た人が共感してくれれば良いんですけど。感性のままに描くのも良いけど、やっぱりある程度マーケティングは絞った方がいいよね、とアーティスト的な考えと自営のイラストレーターとしての考えが交差していつも悩む。考えるより早く描けよ〜!描く前に少しは考えろよ〜!といつも頭の中で自分が喧嘩しています。


④ネガティヴ 自分はひねくれてることを自覚している。幼少期に色々あり、大人になり色んな人と出会い、人生を明るく謳歌しようとは試みているが長年染み付いたこの性格は中々変わらない。中高生の時にやってた日米関係のボランティア(アメリカは受験の時にボランティア時間が多いと成績より有利になったりする)や高校生の時に始めた飲食店のバイトのおかげで人と話すのが怖くなくなったし、人見知りをしなくなり、表面上ではフレンドリーな人になった。今では集まりの中で完璧に「うるさい」人だ。「りさちゃんって悩みとか無さそう〜」「落ち込むことってあるんですか?」と無神経なコメントを頂いたことはあるが普通に「あるに決まってるじゃん!なに失礼なこと聞いてるの?そもそも私ネガティヴだし。」と答える。ディズニー映画のハッピーエンドも嫌いだ。毎回(人生そんなうまく行くわけねーだろ)と思う。いつも最悪な結果ばかり考えているし、物事に期待しないようにしているし、親に怒っていても(万が一テロに巻き込まれてこのまま会うのが最後になったら嫌だ)と考えてしまい親が出かける前に仲直りのハグをする。誰かと人が多い場所に行くと(今ここで誰かが銃を乱射したら…匍匐前進であの壁まで行けるか?いやこっちの方がいいか?)などと常に打開作戦を練っている。ここら辺はアメリカに長く住んでる習慣かもしれませんが。人と接する時に相手が嫌がってないか?ああいうことやこういうこと思ったんじゃないか?あの発言は良くなかったかな?と色々心配しすぎる。長年の幼馴染で5年間同居していた親友にもいまだに気を使ってしまうし、あらゆることに気を使いすぎて色々疲れる。旦那にも「自分の親に気使いすぎ」と注意された。ていうかもういっそ誰とも喋りたくない。家で一生絵を描いていたい。誰とも関わりたくないんだ!ぎゃーぎゃー。とまぁ延々と話せますが、とりあえず。でも最近ネガティブな人は生前本能が強い傾向にあると聞いたので良いのかもしれません。そんなに長生きするかは謎ですが。


⑤美が好き 私がいう「美」とは自分が惹かれるものです。アートやデザインなりイラストなり路地裏の風景なり紙の質感なり。そして私はあまり多くを語らない美が好きです。この場合では「余白」のことを言います。好きなイラストレーターさんはプロフィールにびっしり自己紹介を書かない人だし、二次創作物を読む時にあまり注意書きを書いてない人が好き。なので自分も本当はプロフィールに「さつまいもが好きな人です」とか「蟹が食べたい」とかかっこつけてシンプルに短く書きたいんですけど、まだ新人で名が知られてないのでちゃんと自分が何者か書くようにしています。話は逸れて美大では講評というものがあります。自分の作品に対しての過程や思想、紹介や説明をします。そこでよく耳にしたのが先生の「お前が説明するんじゃなくて、絵に説明させろよ。今お前が言ったことどれも繁栄されてないぞ。」( "Let the art talk, not you." )の言葉でした。どれだけ考えを込めてもそれが作品に繁栄されなければ意味がないというのです。それはそれでどうかなとは思いますが。とりあえず作品がよければ人は集まってくるし、絵が良ければキャプションがいらないと言うのです。ものすごくわかる。同感だ。だってかっこいいもん。それだけでいい。でもこのご時世、自分を発信できるツールがあるから使って見ても良いのでは?とも思う。美術館で作品だけを見て感激する人もいれば、横にある説明文を読むのが好きな人も居る。「美」そのものだけではなく「美」になって行く行程を楽しむ人もいるのだ。難しい。本当は自分の好きなものを描きまくって人が静かに集まってくれれば良いのだが、このネットの海での激戦区の、現実はそう上手くいかない。ゆったり感性を大事にして描いていきたい気持ちもあるけど、人に見て欲しい!と言う気持ちもある。難しい。どっちかに寄ってれば楽だったのに。でもやっぱり食べていかないといけないのでまずは仕事に集中しよう。かっこつけるのはその後だ。近年感銘を受けた高田ゲンキさんのように営業をしまくってまず最初はもっと依頼をゲットしよう。営業をアメリカばっかりに集中していたが日本も視野にいれてみるとこにした。というか他の国も良いかもね。自分には幸運なことに多人種で多国語を話せる友人が多い。お!なんかそう考えると楽しみになってきた。方向性に対してもげみさんの

「これから装画のお仕事をやりたい人は、最低限、春夏秋冬、朝昼夕夜、晴雨曇雪、老若男女、動物の要素を含めた「春の晴れた朝、女の子が犬と○○している」文章のような絵を、たくさん描けば、編集さんに発見してもらえやすいと思います。ここに時代の要素を足すことで、時代物のご依頼もいただけるよ。」

の言葉や木内達朗先生の定期購読している「イラストレーター・東京の仕事場から」マガジンなど、尊敬している人たちが考えをどんどん公表してくれるので自分は有難い時代に生まれたものだ。逆に情報が多すぎて迷い込んでしまう自分もいますが。でもその中で自分に適正な情報だけを見つけ出す術を試行錯誤中です。というかこういう文を書いている暇があれば絵を描けよ!思ってるだけじゃなくて実際に絵を描かないと何も始まんねーんだよ!ともう一人の自分が怒っていますが、こういう自己解析の時間も大事だよ、と言い聞かせてます。ちょっとずつ自分を整理できてきました。

そして絵が描きまくりたいのにこの時期はイベント・ホリデー(しかもアメリカはホリデーに命をかけているので全力をしなければいけない)が続き、年末からは祖母が日本から来てくれて旅行に行ったりするので日中仕事に行く両親に変わってフリーランスで自由がきく私は付きっきりにならないといけない。もどかしい〜!!家に籠って描きたい!でも祖母が大好きだし、いつアメリカに来るのが最後(元気な84歳)になるのかわからないからおばあちゃん孝行はします。あと30年ぐらいは生きそうなおばあちゃんだけど。今のうちに自慢の孫になれるように絵の仕事頑張るよ。

自身の紹介的には本当はもうアメリカ人で同時に日本人でちょっとネガティブオタクだけど肉食系女子で腐女子で、でも真面目にイラストやデザインのことも考えてる人!と割り切りたいんですが。ちょっと長いですね。やっぱりジャンル分けにして漫画を描こう。次は自分の描くことリストを作ります。



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