子殺し。

私は、大学時代の同級生が自宅で子供を殺したという理由で捜査対象となり、その捜査がウチの治療室まで及んだという経験を持っています。警視庁捜査一課殺人捜査第2班だかなんだかという肩書きが書かれた名刺を渡された時に流石に膝が震えました。

虐待を疑われての捜査だったのですが、密室で行われているため、証拠に乏しく、そのためあらゆる知人友人に事情聴取をおこない、犯罪の可能性を探るのだそうです。私と彼女は大学卒業後、年賀状のやり取りくらいしかしておらず。それを、ブログに残っていた記事を参考に抜き打ちで目黒の治療室まで訪問してくるのです。ほんと、犯罪は起こしちゃダメだねと思いました。

いったい私の同級生は、どのくらいの割合で黒なのか、それともグレーな話なのかと聞くと……刑事さんは、「虐待案件というのは、医師が通報する場合ほぼ真っ黒です。間違いがあって親に訴えられるのを恐れてほとんどが通報にまで至らないから」とのことです。だから、遺体を見ればそれが虐待かどうか確実にわかるんだそうです。とてもひどいから。疑いようもなく虐待されている跡があるから。彼女は、限りなく黒に近いグレーだとその刑事さんはおっしゃいました。

……昨日と今日のニュースはきつかったです。あんなに悲しいひらがなだけで書かれた文章、ないです。患者さんと、この事件の話になってね。きついねえ、何かできることはないのかなあ……と。

大学時代の同級生がなぜ虐待に走ったのかは結局よくわからないままです。彼女の場合は裕福な家であり、配偶者も社会的に高い地位でしたし、そもそも実子が2名いた上、恵まれない他所の子を引き受けてその子を殺してしまったという事件でしたのでね。刑事さんがいうには、引き受けた四歳くらいの子を、頭皮が一部剥がれるほど髪を引っ張り、そのまま壁に数回打ち付け、さらに階下に落とし殺した……と聞きました。正直、聞きたくなかったねそんな話。

けれど、昨日今日のニュースは、連れ子があって再婚した再婚相手の男性が連れ子を虐待し始め、それに母親も迎合するといういつものパターン。亡くなった子が五歳、母親は二十五歳。ということは、10代の妊娠です。

患者さんに、私はこういう事件に必要なことは、シングルマザーが安心して暮らせるだけの助成金がまず第一だろうと話しました。オトコがいなくても生きていける収入があれば、配偶者をきちんと選べるし、うっかり選んだオトコが子供を虐待し始めてもとっとと出ていける。そんな援助が国からあればかなり違うだろうって。だいたい、自分の立場が危うくなるから看過した……って母親の言葉が物語ってる。逃げる先も収入もなかったんだろ。

お金の蓄えもないだろう、職能もないだろう、きっと、事情があって親にも頼れなかったんだろう。変な男とくっつかなくてもやっていける、そして、くっついた後から変な男だってわかったときに、とっとと出ていけるだけの援助があればいい。男と遊んで自己責任で若いうちに子供作ってるんだから自業自得だとか言わない。もしそうだったとしても、子供に罪は全くないのだから。

とりあえず私らにできることは、子供らへのきちんとした教育だろうと。第2第3のこういう母親を作らないこと。虐待する男を作らないこと。それは、自分の子供らに対して生殖周りの話をきっちりしておくことが肝心だろうと。産む産まないは自分で決められること、避妊方法、それでも望まない妊娠をした場合どうすべきか、自分や相手を大切にするにはどうしたらいいのか、また、逃げる先はいくつもあるということを教えておくこと、さらに男女関係なく一人で生きていけるだけの仕事を出来るように育てていくことが大切だろうと。

そして、そのように子供を教育していることを、いろんなところで発信していくことが、多分遠回りに見えるけど、私たちができる虐待防止の近道なんだろうなと。子供の教育として行うことですけど、たぶん、今困っているヒトにも必要な情報です。いろんなところに、フッと置いておくように、そんな話を混ぜておくこと。オープンに、明るく。そうしたら、今、虐待している人がどっかでそれを読んで学習するかもしれない。私が、DVを受けているときにネット上のコミュニケーションを介して、何とか外に逃げ出せたように。

ウチはとっとと上の子には性教育を済ませています。私の出産に立ち会ってもらい、子供がどう生まれるかも見ています。その前に「赤ちゃんどうやっておなかから出るの」と聞かれたので、「聞いて驚くな、まんちょすからだ!!」とはっきり言ったんですよね(苦笑。その後、不思議そうに「赤ちゃん、どうやっておなかに入るの……?」と聞かれ、これもしっかり答えました。そして、性行為は妊娠と出産に繋がることで、今現在キミを育てていたり、妹を育てている私をみて、自分がそれをできるかどうか?と聞いてみました。お金もかかるし、手間もものすごくかかるよ、と。「僕には全然できない。」と結論を出したので、じゃあ安易に行為をしてはいけないよ、と教えました。

で、そこまでが小学校一年生の話。最近、この本を渡しました。

マンガでわかるオトコの子の「性 」 染矢明日香 

男子向け性教育の本ってあんまりないんですよ。これはとても良くできていました。オススメできます。

あの子らはあれ以上大きくなれなかったけど、うちの子はもっと大きくなる。いつか誰かを傷つけたりしないように。偏りなく、ニュートラルに生きられるように。

 

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若林理砂

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