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観た映画と読んだ本の備忘録

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【青空文庫で読めるおすすめの小説リスト】落穂拾い・檸檬・高瀬舟・オツベルと象・春は馬車に乗って

『落穂拾い』小山清 あらすじ 武蔵野市の片隅に住んでいる「僕」が好きな人のことを語る。 「ひょっとこの命」 と傍書してある似顔絵描きや、「稼いだらまた東京に帰ってきましょうね」と言ってくれた北海道の夕張炭鉱にいるF君、僕の隣家の静かに机に向かう青年、善良な心根の人であろう家の近くの芋屋のおばあさん、古本屋を経営している少女のことを語る。 『檸檬』 梶井基次郎あらすじ 私は思い悩まされていて、街から街へと浮浪していた。 ある夜、私は果物屋に売られている檸檬に心惹かれた。 檸檬

    • 志賀直哉『城の崎にて』

      神戸に行ったので城崎温泉に思いを馳せて、『城の崎にて』を読了。 文章の書き方の特徴でいえば、言葉を詰める人なのだな、と、読んでいる間に思う。 内容は、城崎にいるあいだの回想録。 人の死について考える、というと、とても難解なように思えるけれど、それよりはもっとポップな、そして「仕方ないこと」という静かな美しさと、それを美しいとすることの恥ずかしさのようなものがこみ上げて来た。 かわいそうな鼠、そしていもり。 あらすじ東京山手線の電車にはねられ怪我をした「自分」は、後養

      • 綾辻行人『十角館の殺人』

        久しぶりに検索したら、新装版というのが出ているようです。 初めて読んだのは15年以上前で、久々に読み返す。 あらすじ、登場人物、犯人、全然覚えていなかったのには、愕然としたが、やはり面白い作品だった。初読の感じで二度楽しめた作品。 この作品は「館」シリーズ第一作目である。 「館」シリーズは、中村青司という建築家が建てた「館」で巻き起こるミステリ譚となっている。 今回は、十角館(じゅっかくかん)。昔、とかくかんと呼んでいたな、と読み始めるときに思い出しました。 作品全体の雰

        • 図書館戦争(2013年)|感想・レビュー

          図書館戦争予告 監督: 佐藤信介 原作:有川浩 出演:岡田准一 榮倉奈々 福士蒼汰 2013年/日本/128分 感想とても面白かったです。 仁科司令が誘拐されたと号外を配るところは、報われた気がして、泣けた。もう、それはそれは号泣しました。 誘拐されてるなか、燃やされる本を見ていたらどうしようもなく絶望したし、こんな世界にしてしまって申し訳ないと仁科が謝るシーンは、なんだか人ごととは思えなかった。 言論統制とは、どういうことなのか。 表現の自由とは何なのか。 たし

        【青空文庫で読めるおすすめの小説リスト】落穂拾い・檸檬・高瀬舟・オツベルと象・春は馬車に乗って

          新聞記者(2019年)|あらすじ・レビュー

          映画『新聞記者』予告編 監督: 藤井道人 脚本 詩森ろば 高石明彦 藤井道人 出演:松坂桃李 本田翼 岡山天音 郭智博 長田成哉  宮野陽名 高橋努 西田尚美 高橋和也 2019年/日本/113分 あらすじ東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名 FAX で届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある強い思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原(松坂桃

          新聞記者(2019年)|あらすじ・レビュー

          プール(2009年)|あらすじ・レビュー

          プール 予告編 監督: 大森美香 出演:小林聡美 伽奈 もたいまさこ 加瀬亮 2009年/日本/96分 あらすじさよは、ゲストハウスで働く母・京子に会いに来た。 さよが、タイに到着するところから始まる。 市尾が京子にお願いされて、迎えにくる。 その道中、ゲストハウスの隣人、菊子と落合い、涅槃物を観にいく。 ゲストハウスにつくと、京子は、タイの少年・ビーという子供と暮らしていることを知る。さよは、ビーに淡い嫉妬心を抱くが、だんだん市尾、ビー、菊子と触れ合う中で、心を許してい

          プール(2009年)|あらすじ・レビュー

          グランド・ブダペスト・ホテル(2014年)|あらすじ・レビュー

          映画『グランド・ブダペスト・ホテル』予告編 監督/脚本 ウェス・アンダーソン 出演:トニー・レヴォロリ レイフ・ファインズ 2014年/ドイツ・イギリス/100分 あらすじ1932年、格式高いグランド・ブダペスト・ホテルには、“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ・Hがいた。究極のおもてなしを信条とする彼は、宿泊のマダムたちの夜のお相手もこなし、多くの客が、彼を目当てにホテルを訪れる。しかし、彼の人生は一夜にして変わる―― 長年懇意にしていた“マダムD”が殺され、貴

          グランド・ブダペスト・ホテル(2014年)|あらすじ・レビュー

          セブン(1995年)|感想・レビュー

          映画「セブン」日本版劇場予告 監督: デヴィッド・フィンチャー 脚本: アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー 出演: ブラッド・ピット モーガン・フリーマン 1995年/アメリカ/126分 以前一度見ていて、ちゃんとレビュー書こうと思っていたので、もう一度観てみました。 ………胸糞映画だった、ことを忘れていました。 本作は「七つの大罪」というキリスト教の概念になぞらえた劇場型犯罪の物語です。 七つの大罪とは、GLUTTONY(暴食) GREED(強欲) SL

          セブン(1995年)|感想・レビュー

          かもめ食堂(2005年)

          この映画をみて、あらためて思い出したことがある。 映画も本と一緒なんだな、ということだ。 観るタイミング(本なら読むタイミング)が、あるということ。 二十歳の頃の私には、テンポが遅く、退屈にしか見えなかった。 この映画は、面白い言い回しも、刺激的な事件もない。 その退屈な(だと思われた)時間を過ごすということを肯定する映画だ。 荻上監督x小林聡美 映画は、大体同じ感じだと聞いていて、今まで見てこなかった。 今になってみたら、すごく面白かった。 『かもめ食堂』には、ゆ

          かもめ食堂(2005年)

          ガス燈(1944年) |感想・レビュー

          Gaslight (1944) Official Trailer - Charles Boyer, Ingrid Bergman Movie HD 監督/脚本: ジョージ・キューカー 出演: シャルル・ボワイエ  イングリッド・バーグマン 1944年/アメリカ/114分 夫に精神的に追い詰められていくDV映画の名作。 本作の内容から、1970年代後半以降「ガスライティング」が心理的虐待を表す用語として使われるようになったそうです。 感想現代では取り上げられるよう

          ガス燈(1944年) |感想・レビュー

          英国王のスピーチ(2010年)|感想・レビュー

          映画『英国王のスピーチ』予告編 監督/脚本: トム・フーパー 出演:コリン・ファース ジェフリー・ラッシュ ヘレナ・ボナム=カーター 2010年/イギリス・オーストラリア/118分 感想吃音というものが、1930年代、どのように捉えられていたかが描かれている。冒頭のビー玉を口に入れるシーンは、まさに本人の努力でどうにかなるんですよ、ということが如実に描かれているではないか。 吃音で、パッと思いつくのは、三島由紀夫の金閣寺だ。吃音をコンプレックスに感じている主人公が描か

          英国王のスピーチ(2010年)|感想・レビュー

          スリー・ビルボード(2018年)|感想・レビュー

          『スリー・ビルボード』予告編 | Three Billboards Outside Ebbing, Missouri Trailer 監督/脚本: マーティン・マクドナー 出演:フランシス・マクドーマン ドウディ・ハレルソン サム・ロックウェル 2017年/アメリカ・イギリス/115分 観るまでは、この映画のタイトルさえ知らなかったんですが、 いろんな賞を総ナメにしているんですね。 『シェイプ・オブ・ウォーター』と競っていたようですね。 『シェイプ・オブ・ウォーター』

          スリー・ビルボード(2018年)|感想・レビュー

          卒業(1967年)|感想・レビュー

          6/7公開『卒業 4Kデジタル修復版』予告編 監督: マイク・ニコルズ 出演:ダスティン・ホフマン キャサリン・ロス  アン・バンクロフト 1967年/アメリカ/107分 感想アップリンク吉祥寺で鑑賞。 敬愛する友人に、良い映画だと薦められて観にいきました。 アップリンク吉祥寺の紹介だと、青春映画の金字塔だそう。 ちなみに、主人公のダフティ・ホフマンは、この映画で有名になりました。 友人によれば、トム・クルーズ主演のレインマンに出演していて、それもいいらしい。 青春映画

          卒業(1967年)|感想・レビュー

          麗しのサブリナ (1954年)|感想・レビュー

          麗しのサブリナ 予告編 監督/脚本: ビリー・ワイルダー(脚本も) 出演:オードリー・ヘプバーン ハンフリー・ボガート ウィリアム・ホールデン 1954年/アメリカ/113分 オードリー・ヘップバーンの代表作でもある「麗しのサブリナ」。 大富豪ララビー家の兄弟と使用人の娘のシンデレラストーリー。 名作映画なのに、少女漫画的なハラハラ感があって、今でも全然ある恋愛映画って感じでした。 後半のライナスには、ずっときゅんと胸を締め付けられる。特に、チケットを渡すシーンか

          麗しのサブリナ (1954年)|感想・レビュー

          メランコリック(2019年)|感想・レビュー

          メランコリック 予告編 監督/脚本: 田中征爾 出演:皆川暢ニ 磯崎義知 吉田芽吹 羽田真 2018年/日本/114分 第2のカメラを止めるなといわれているらしい。たしかに、カメラを止めるな的な自主映画感。と、思ったら、クラウドファンディングでお金集めてたりしたんですね。 主人公の鍋岡は、本当はイケメンらしい。私の敬愛する友人が舞台あいさつを観てきたみたい。 鍋岡、すごいなんか、なんか、ダメな感じ、出てたなぁ。ひとつひとつのしぐさがダメっぽい。口の動かし方とか

          メランコリック(2019年)|感想・レビュー

          シャレード(1963年)|感想・レビュー

          シャレード 予告編 監督: スタンリー・ドーネン 脚本:ピーター・ストーン 出演:オードリー・ヘプバーン ケイリー・グラント 1963年/アメリカ/113分 感想オードリーヘップバーンが、大好きなので鑑賞。 いちいち衣装が可愛い。当時は、ジバンシィが提供した衣装が話題の映画でもあった。 タイトルの『シャレード』とは、身振り手振りで言葉あてをする遊びで、ジェスチャー・ゲームのひとつだそうだ。タイトル、オシャレだ。さすがだ〜。たしかにそんなコメディ映画の側面がある。 あ

          シャレード(1963年)|感想・レビュー