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#6 前略 編入試験

 男もす​なる編入体験記といふものを女もしてみむとするなり


前置き(長いぞ)

 帰る直前に羽田空港で何やらおしゃれな喫茶店に入った。店の雰囲気も良く、男女兼用であろう店の制服は非常に助かった。感謝。私は飛行機の時間や腹の好き具合、諸々の理由から、バタートーストとコーヒーというシンプルな注文に留まった。甘いものが得意というわけではないので、ハニートースト等、甘味に属するメニューを頼むのは気が引けたし、720円のハニートーストで万が一、単純に食べきれない量が渡されたときに性格上残すことができず苦しむのは想像に難くない。

 さて、以上の理由からバタートーストとコーヒーという選択をとった私だが、受験が終わった手前、そこまで期待はしていなかった。バタートーストという選択は、合格か不合格かもわからない受験の後の、贅沢をする気になれない僕の心情を汲み取ったものだということが、今ならわかる。しかし、結果的にバタートーストは僕にとっての贅沢になってしまった。無情。

 正直、申し訳ないと思った。バタートーストを軽視した私の考え、そして、今まで私が調理してきた食パンとバターに対して。

 トーストとコーヒーなんてもの(表現上軽く扱っている)は広く一般家庭に普及しており、誰であろうと食べたことがあるといっても過言ではない。私だって、夏休みの昼食にはよく食パンを採用していたし、当日の気分によってはバターも併せて選ぶこともあった。それゆえに、誰もが知っていてかつ食べたことがあり、作ったこともあるであろう料理だからこそ、私は質素なものだと思った。

 結果的にはバタートーストは私を屈服させ、こうして懺悔にも近い長文を前置きと称して白日の下に晒すことになったのだ。アーメン。

前置き終わり


本題

 これは私が電気通信大学を受験した話だ。といっても受験内容に関しては特に言及しないから、これから受験を考えてまともに何かを得ようとしている若人はブラウザバック。プラウザ派ですか?プラウザってパソコンに打ち込んでも初めに出てこないし、冷静に考えてbrowserでは?

 さて私は某空港から羽田空港に飛んだわけですが、この時点で私の頭は大学に受かったときのことで頭いっぱい、とはいかず、夢のキャンパスライフのかわりに前日に行った実験のレポートでメモリパンパンパンパースでした。

 そう!私は行きの飛行機でレポートを書いていたのです!異常なメンタル。これは自らの生み出した強迫観念がなせる業です。受験より怖いのは自分。なんとも僕らしい。

 さて、東京についたわたし。その日は東京に住む兄と合流し、そのまま兄宅で一泊。12時頃までレポートを書いて就寝。実に剛胆。

 翌日、滞在2日目、兄宅で昼頃までなんとなく受験に向けた何か何やらをしました。過去問解いてみたり。そしてその日は電気通信大学近くの東横インに宿泊。目新しいことは何もなく。レポートは少ししか触らなかった。えらいぞ。

 3日目、学力試験。朝は6時に起きようと思って6時に起きたので、特に緊張していなかったらしい。ホテルの朝食を食べ、電気通信大学についたのは出発から10分経たず、さて、大学敷地内に入りまして会場前につきますと、そこには見ればわかる受験生達の姿。みんな液晶画面に視線が吸い込まれている。エッチな画像でも見ていたのだろうか。すごいメガネ率だった。

 その瞬間、男の体に電流にも似た感覚が走る。それは幼少期からよく知っている、人間に備わったある機能がもたらす危険信号だった。そう。尿意である。男は考えた。今自分がいる場所を、そして、たどり着くまでに通った道を。導き出された答えは、途中のセブンイレブンまで戻って欲を満たすことだった。果たして尿意を欲と表現していいのかはわからないし、満たすというよりは空にしたのだが。

 男は歩いた。今まで経験したことのない、トップスピードを維持した歩行。幼いころにテレビで見た競歩の大会中継。その歩行フォームを完璧にトレースする。親友を人質にとられたのだろうか。男の表情はいたって真剣で、焦りさえ見えた。まにあった。服は破けなかった。

 一仕事終え、無事に戻った私と一人称。入口の前に陰キャが溜まっていることから、まだ会場は空いていなかった。その後、10分ほど後に入口は開き、眼球方向液晶固定マン達はこれ以上醜態を晒す前に格納されていった。彼らにとって、その建物が墓穴だったのか、パンドラの箱の奥底だったのかは、僕には知る由もない。

 そんなこんなでスマートフォン依存症に囲まれて試験を受けてきたアスペルガー症候群×ADHDの知的障害サラブレッドキメラ。試験内容がメインの記事ではないので詳しくは書かないが、数学は簡単とは言えないが面白い問題が多かった。1周期分のサイクロイド関数の面積をx=1/2のテイラー展開を用いて求めるのはかなり興が乗った。物理は例年と比べるとかなり毛色が違った。熱力学は知らないサイクルが出るし、ガウスの法則は積分で導出したから散々だった。英語は何も言うことはない。

 周りの学生を見ていて面白かったのは、休憩のたびにスマートフォンを横向きに持ってゲームをしていた男と、長そで長ズボンで裸足でサンダルだった女がいた。もうそれノーパンみたいなもんじゃん。でも一番面白かったのはその子が数学の後にいなくなったこと。失踪?神隠し...?

 受験が終わってホテルに戻って、家族や友達と電話で話したり、レポート書いたりした。正直いかれてる。昼に電話かけてきた担任には連絡しなかった。出ると思ってんのか?いかれてる。みんないかれてるならそれがスタンダード......ってコト?最高にハッピ~~~♪

 滞在4日目、面接試験。一度一か所に集められてそれから部屋に一人ずつ呼ばれて面接していた。集合場所ではスマートフォンの電源を切れと言われ、お通夜のような雰囲気だった。現代人は脆い。笑いをこらえるのに必死だった。呼ばれる順番から面接の部屋が何部屋あるか予想を立てていたら志半ばで呼ばれてしまった。こうして若者の夢は絶たれるのだ。

 面接では志望動機やロボット作りの経験を話した。ロボット作りでプログラムをやったが、製作の方がしたいと言ったら「どうして?」と聞かれた。プログラムが得意じゃないと返すと少し笑っていた。Triple Kill!!!!

 あと微積がよくできてたって言われた。やったね。

 面接が終わった人から帰ってよいみたいだったのですぐ帰った。これは余談だが、集合場所が8階なのにエレベーター無いと思って階段で上がった。無いわけないじゃん。バカだね。微積はできるのに。


 こんなところで今回の記事は終わり。ここまで読んでくれてありがとう。7月にもう一回行くから、その時はまた。面白い話ができるように頑張ってきます。嘘。頑張りたくないからがんばらない。ばいばい。

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