見出し画像

元に戻れると思っているのか、本当に戻りたいと思っているのか

コロナ禍生活。その生活は、昨年(2020年)の2月下旬くらいから本格的に始まっただろうか。

これまで、緊急事態宣言をいくつ経ても、さらに宣言発出だとか、宣言延長だとか、まん延防止ナントカだとか。

宣言中自粛し感染者数が減れば、元の生活に戻れる?

ワクチンの接種率が高くなれば、元のような暮らしができる?

でも、そもそも、本当に元に戻りたいと思っている?

新型コロナウイルス感染症とは、別の話でしょうよ、と思われるかもしれないが、私が育った町は、東日本大震災があって、原発事故があって、元のようには戻らなかった。戻りたくても戻れなかった人たち、元に戻せないほどに汚染された土地。元に戻らないということを目の当たりにした。

時間はどんどん過ぎていって、2年3年、7年8年、そして10年。いくら待っても元には戻らなかった。だから、震災と原発事故と感染症は違うけれど、このあと何年、何十年経っても、そっくりそのまま元のように戻るなんて、あり得ないに等しい、と思っている。

コロナ禍が明けたら、誰に会いたいとか、どこに行きたいとか、何がしたいとか、いろいろと思いを巡らすことがある。

スペインの古い街の石畳の通りで、夕方といってもまだ日差しがギラギラしている中、にぎやかなバルに入り、カヴァを頼み、タパスにかぶりつく…、というのを何度想像したことか。

けれど、これを想像しているのは、今の私。私はコロナ以前・コロナ禍を経験し、これまでの情報をもとにこれを想像しているが、その先はまだ知らない。

だから、ポストコロナ(コロナ禍のあとの世界)は、この想像をたやすく超え、まったく違うものになるかもしれない。2年ほど前は、感染症が蔓延する状況なんて、微塵も考えたことなんてなかった。それと同じように、ポストコロナも想像の上をいくものになるのかも、と勝手に期待している(もちろん、よい方向にいくという意味での期待)。

おおげさかもしれなけれど、今までとは少し違う世界がはじまっている、と思えば、ちょっと前向きになれる、気がする。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?