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業界初。繊維廃棄物100%でつくられた新素材ジャケットで目指す循環型ファッション

ZARAから2024年1月23日に発売されたジャケットLOOPAMID® X ZARAが循環型ファッションに新たな波紋を広げています。

循環型ファッションへのシフトは喫緊の課題

ファッション産業における環境汚染は世界の全産業の第二位。コットン作りや染色時に大量の水(930億立方メートル/年)が使われ、プラスチック制の衣類から大量のマイクロファイバー(約50万トン/年)を海に流し込み、搬送時には大量の温室効果ガス(合計12億トン相当)が排出されているから。その他にも低賃金労働や余剰在庫、衣類ゴミの処理など解決していない問題があり、それを認識しながらも新しいものを作り続けています。

環境省のと〜ってもわかり易いファッション・サステナブルの図はこちら

循環型ファッションを牽引する企業はやはりここ

そんな矛盾を解決するために現在、さまざまな企業が立ち上がっています。日本においてイノベーションを牽引する企業の一つが、THE NORTH FACEを持つゴールドウイン社が共同開発を続けるSpiber社です。衣類や車体など、繊維の用途に応じてタンパク質の配列を設計し、再生可能なバイオマスに由来するとうもろこしなどの糖類を微生物発酵させた独自の新素材を開発。全く新しい生分解性の素材Brewed Protein(R)は石油などの地下資源に頼ることなく、廃棄される作物を使用した完全循環型のプロダクション。温室効果ガスの発生が低いかたちで生産しています。現在も作ったプロダクトの末路までを持って管理できるような仕組みを考案しているとか。

https://spiber.inc/brewedprotein/

業界内を横断しリサイクルで資源を有効活用

日本で衣類のリサイクルにおいて最も躍進的なのが株式会社BRINGでしょう。生産者を問わず、あらゆるアパレルショップを対象に衣類の回収ボックスを設置。回収した衣類は手作業でより分け、状態に応じてリサイクルに回します。中でもポリエステル100%のものはケミカルリサイクルによってもう一度ポリエステル樹脂の状態へ戻し、新しくポリエステルの衣類へと生まれ変わる技術を持っています。

https://bring.org/pages/recycle


LOOPAMID®がすごいのは数種類の繊維がヴァージン素材として再生するから

これまでのリサイクルの問題は、単一素材でないとリサイクルに回すことが難しかったこと。衣類のタグを見るとポリエステル20%やナイロン10%などあるように、異なる混合繊維を持つ衣類は状態が良いものでないとリサイクルが不可能でした。しかし、LOOPAMID®はポリアミドベースの繊維なら全てをまとめて分子レベルまで分解が可能。靴下、体操着、ジャケットなどはもちろんペットボトル、カーペット、スリッパなど多岐にわたるものが新たな新繊維として生まれ変わります。


https://www.loopamid.com/global/en/technology.html


布部分だけでなく、ジッパー・布・ボタン・フック・糸などあらゆる固さと形状に形成できる

ZARA.comより

さらにこの商品が挑戦的なのはジップやベルクロ、コードなどがすべてLOOPAMID®で作られているというところ。アウターにつけられたそれらの付属品は通常、耐水、伸縮率などさまざまな理由であ十分な強度を保つことが難しく、リサイクル素材で大量生産をすることは挑戦でした。分子レベルまで戻し、付属品までヴァージン状態から作り上げることで、石油の採掘や部品の搬送コストにおいて温室効果ガス削減への大きな一歩と言えるでしょう。

石炭や石油もそうですが、資源の多くを国外からの輸入に頼る日本。環境保護だけでなく、食糧危機も囁かれる中で、自国のリソースをどれだけ有効活用させるかが未来へのキーワードとなっています。自然素材に頼らずにすでにあるリソースで完全循環させていくという未来を描けるのは、日本の先進技術の力があってこそ。今まで頑張ってきた世代の努力の恩恵を未来へと引き継ぎ、これからの動植物や人々が豊かであるために、、、という大きな世界もいいですが、シンプルにさまざまな垣根を超えて新しいことに取り組むということにワクワクしますよね。



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