愛嬌のある人

とある日の授業の空きコマ、電車で何駅か行った先にある書店へ行った。そこで僕は三浦しをんさんの『愛なき世界』という小説の上巻を購入した。その日レジを担当してくれたのは若くて可愛らしい女性の店員さんだった。

📕「ブックカバーお付けいたしますか?」
🏫『お願いして良いですか』
📕「はい、かしこまりました」(その後、その店員さんがブックカバーをかけながら、)「ブックカバーお付け、、、、してますね。すみません。」
🏫『全然大丈夫ですよ、そういう時もありますよね』

その翌週くらいにまた同じ書店に行きました。小説の下巻を同じ店員さんにレジ打ちしてもらいたかったんですが、まあ、いなかったので観念して買いました。



ふかわりょうさんのエッセイ「世の中と足並みがそろわない」を買ったのは、おそらく1年以上前でした。タレントエッセイのコーナーで見かけて気がついたら買っていたくらいにはビビッときたのですが、時間が経ってしまいました。そんな中、新しく「ひとりで生きると決めたんだ」というエッセイが発売されることを知り、発売日に近所の書店をハシゴしました。大きい順で回っていった最後の書店で無事発見し、すぐさまレジへ。

🏫『おねがいしまーす。』
📗「はーい、かしこまりました。」ピッ「この本見つけてくださったんですね。」
🏫『この本、たくさん売れてるんですか?』
📗「いや、私も気になってるんですよ〜」
🏫『そうなんですね〜。いいですよね、ふかわさん』
📗「DJとかやってらっしゃるもんねぇ」
🏫『そうですよね〜、ほんとすごいですよ』

……….


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 月に一度くらい、愛嬌がある店員さんというのを見かける。性別年齢を問わず、人との距離感がいい意味で近い人。何に由来するものなのかわからないけど、マニュアルを言ってるだけ感がなかったり、人間味が滲み出ていたりする人。顔の良さとかでは絶対にない、人としての何か。お客さんに対する敬語が多少緩かろうが、少し失敗をしようがあたふたしようが和やかに事が進んでいく人。いかにミスをしないか、いかに無味乾燥なテンプレ野郎でいるか。それしか考えずにレジ打ちをしているこっちが馬鹿みたいに思えてくる。こういう、世渡り上手で、人に取り入るのがうまくて、人に気を遣わせない天性の才能を持っていて、人柄が良くて、周りに味方を生み続けることができる人が羨ましい。




#322  愛嬌のある人

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