見出し画像

雑記⑮「深夜徘徊」

1.ノイズキャンセリング

 先日昼間に散歩をしている時になかなかに素敵な珈琲店を見つけた。しかしその日はちょうど定休日だったため、後日改めて行くことにした。
 それから数日が経った。その日は12時過ぎに起きるつもりだったのだが既に15時が迫っていた。急いで支度をし、一応、一軍の黒い服を着て珈琲店へ向かう。
 時間によらず、僕は散歩をよくする。散歩しながら音楽やラジオを聴くのが凄く好きなのだ。だけどこの日は、何となくイヤホンをしないで歩いてみた。特に意味はなかったけど、何となく。
 僕は大学にいる時ですら、何も聴いてはいないけどノイズキャンセリングをオンにしたりしてしまう。改めて耳を澄まして歩くと、街は思ったより物音に溢れていて、これはこれで素晴らしいなと気がつきました。特に深夜の散歩だとどこか心細くて音楽やラジオを大きめの音量で聴いてしまいます。もうすぐ後期の授業も始まるので、朝8時になっても寝れない生活を直さないといけません。でもその前に、夜を好き勝手できるうちに、イヤホンをしない深夜徘徊をしておきたいです。どんな音をキャンセルしてしまっていたのか、秋の始まりに感じておきたいです。

2.僕らはただあてもなく

 というのを、珈琲店に行った翌日くらいにnoteの下書きに書いていました。
 ここ数日、台風の接近により雨天続きだった。シルバーウィーク中、ほぼ雨だった。そんな中、1日だけ雨が降らず良い夜風が吹く日があった。雨天の狭間ということもあり、その日のバイト先の客足は凄まじかった。そんな日の夜だったので、バイト帰りはとても良い気持ちだった。帰りながら、Twitterで呟いた。
 家に帰り、先日家に来た地元の友人が冷蔵庫に残して行ったビールを飲んでいた。成人してすぐくらいにビールを試しに飲んで「もう二度と飲まん」と思って以来のビールだったのですが、二度と飲まんとは思わなくなっていたことに気がつきました。味蕾が死んだのかもしれません。毎週見ているテレビ番組まで暇していた時、高校から一緒の友人から「いまから散歩しない?」という旨の連絡が来た。一瞬でLINEを返した。
 23時頃に自宅を出て、集合場所の駅へ向かった。とりあえず、コンビニでお酒を買って、呑みながら歩いた。つい前の週に一緒に呑んだばかりだったけど、歩いたりベンチに座ったりしながら4時間くらい喋ってました。

 深夜徘徊。鈴虫の音。夜風。アルコール。気の合う人。趣味が合う人。友人。
 全てが揃ってるなと、思った。
 高1の時に同じクラスになり、そこからも途切れることなく親交があり、結果としては大学も同じになった。この前飲んだ時、大学卒業で7年の仲になることに改めて驚いた。

 いつか誰かと散歩しながらだらだらと喋ってみたいなと、漠然と思っていた。

 反対側の歩道を歩くカップルにも、あの日は負の感情が浮かばなかった。
 楽しいよな、深夜にそうやって二人で歩くの。幸せだよな、深夜にそうやって二人で歩くの。
 それ以降「だから、俺らも女の子とそれしたいわ」という話で5分くらい持ちきりだった。
 異性とのエピソードやら悩みやらを話す友人と、バイト中のエピソードやら悩みやらを話す僕。友人みたいな、楽しげな要素のある話とか相談をできるような人間になりたいです。


 はぁ。俺には、人間関係の構築から逃げている内はできないな。

3.珈琲豆くらいの

 やはり、現実で共通の趣味をもつ人を探し出すのはとても困難である。友人も言っていたが、異性であればなおさら難しい。言語化できない壁のようなものを感じざるを得ない。

 講義で席が近かった人の話を聞くに、割とインスタのストーリーというのがそれに一役買っているらしい。大学一年になった春、SNSでの人間関係の構築から逃げた。「# 春から〇〇」というタグを気色悪く感じた。SNSで人間関係を構築したところで得るものはないなと思ったのと、卒業後や就活真っ只中に気が滅入りそうだったので初めからやらないことにした。ただ本当は、仲良くなれる自信がサラサラなかっただけのような気もする。(第一、高校生の時は受験などで気が滅入るようなこともなかった。)いい感じの”取ってつけた理由”が自分の中で完成してしまうと、それから抜け出せなくなってしまう。
 そういう立場の僕からすると、講義で席が近かった人や友人の話が異様に魅力的に聞こえてしまう。散歩から数日が経ち、一応鍵をかけてアカウントだけ作ってみた。仲良くなれた人がいたら、交換してみようと思う。ただ、こちらから検索をかけて同じ大学の人を探し当てたりは絶対しない。
 このプライドが捨てられないのは、いつになったら治るのだろうか。

 といっても、趣味が全部合致するなんてことはないに等しい。いや、ない。「だからこそ、話を聞くこととすることが大事だな」という結論に、散歩中にたどり着いた。話を広げた先に共通項を見つけられた時がすごく楽しそうだなと思った。
 友人が夏休みに始めたレコードの趣味と、それに感化されて僕が勢いで始めた珈琲。その話をした後だったからだとは思うけど、「珈琲豆くらいのちっさい話を投げた時にそれを受け取ってくれると嬉しいよね」という話が忘れられない。酔ってたからかもしれないけど。

4.ハイタッチ

 始発が動き出す。最後に駅で解散した時、柄にもなくハイタッチした。いい夜だった。こういう夜が、これから先もずっとあってくれたらいいな。「この人にあれを話したい」を大事にして生きていたい。
 次散歩する時までに、次飲み会をする時までに、この友人に話したいと思いたつ話が一体何個あるだろうか。


#309  雑記⑮「深夜徘徊」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?