同じことの繰り返し

「あれ、免許持ってるんだっけ?」という質問を投げかけられるようになって久しい。
これを投げかけてくるのは、大学の同級生、大学の先輩、バイト先の先輩、親戚など、まあ、さまざまである。

今年の正月に親戚の集まりに行った時の話。
先日結婚した従兄弟いとこがお嫁さんを連れて挨拶に来た。
父方の親戚の集まりだったため、僕の父親と従兄弟が盛り上がっていた。
従兄弟と歳が一回り程度離れているため、小学校高学年に入ったあたりから話す機会も減り、話す時には敬語を使うようになった。
そんな従兄弟が結婚ということで、まあ、おめでたい。

歳を重ね、親戚の大人たちの会話の場にいることに苦痛は感じなくなった。
居心地悪くは若干感じるが、まあ許容範囲といった感じ。
初対面の人とグループワークをする時の感覚に近い。
言い方は悪いですけど、適当に喋ってりゃいい、みたいな。

まあとにかく、父親と従兄弟とその結婚相手がお酒を飲みながら会話をしている座卓に僕も座っていました。
父親の隣で、冷め切ったうなぎを食べながら会話を聞いていました。
なんの話の流れかは忘れましたが、従兄弟が僕に「車の免許持ってる?」と聞いてきました。

これまでも、親戚がこの質問をしてきたことがあったのですが、僕が何かいう前に父親が「東京だと使わないからね」と言ってきました。
この発言の奥の理由は「免許講習代は出してやらないからな」ってことなんだろうなと思っていました。
当時の僕としては「親に一人暮らしさせてもらって、大学も通わせてもらって、親の足になれるわけでもないし、それに加えて免許講習代を出してもらうなんて気はさらさらない」という考えでした。

ですが、今回は違いました。悪い意味で。
従兄弟に聞かれて僕は「まあ、取るなら大学生の内かなとは思ってるんですけどね」と答えたかったです。
僕が言い終わる前に父親が口を挟んできて、「東京だと使わないし、ペーパードラーバーになるなら勿体無いし、車欲しいとかにもなるし、友達の車とかレンタカーで変な事故起こされても困る。だからその可能性は根っこから潰す。免許は持たせない。」と言ってきました。

これを言われた直後、僕はすぐツイッターを開いてイライラのままに文句を垂れ、ある程度その感情が落ち着いた頃にもnoteに文句を垂れました。

父親に言われた直後は「黙ってろや、勝手に免許取ってやるわ」って思っていたのですが、今は少し気が変わりました。



父親の考えを慮る過程で、思い出した記憶があります。
小学生の頃、父親の実家から徒歩40分くらいのところのお城へ向けて歩いて行ったことがあります。
歩いている時に「ここが昔通ってた小学校」「ここが中学校」みたいに教えてくれたのですが、その雰囲気で「昔、車でこの電柱に突っ込んだことがある」と教えてくれました。
事故の話は祖父も伯母もめちゃくちゃ擦り倒している話で、唇の下を切ってなかなかグロいことになったという話を何回も聞かされてきました。

それを思い出して、腑に落ちました。
「自信が事故を起こした経験があるから、子供にはそうなってほしくない」という思考回路なんじゃないかなと思いました。


ふと自分ごとに置き換えてみました。
僕は海に対してめちゃくちゃ恐怖心を抱いてしまいます。
何か海で危険な目に遭ったわけではないのですが、深さとか生物みたいなもの由来の恐怖心があります。

もし自分が将来結婚して、子供ができて、その子が成長して、僕に「こんど友達と海水浴行ってくる」と言って来た時、正直それを止めない自信がないなと思ってしまいました。


俺は自動車の運転免許を取らなくても別に良い。

「深夜に高速道路を走りながら一人でラジオを聴いてみたい」というふんわりとした夢はあるけど、別に良い。


#252  同じことの繰り返し

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