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雑談バナシ③

 “コミュニケーションを取る能力”が欠如している要因の一つとして、「話し始めたはいいものの、話題が尽きて沈黙する方が怖い」というのがあります。会話の中で早いこと「共通して話せる話題」が見つかればそこから中身が膨らんでいくのかもしれませんが、どうやってそれを探ればいいのかと聞かれると難しいです。
 コミュニケーションを取るにあたって避けて通れないのは、会話をどんな一言目で始めるかということです。会話が膨らみやすいからといって、一言目から”共通した話題を探ろうとしている感”のあるをことから始めるのは、些か気持ちが悪く、不自然に僕は思います。ぬるっと雑談を始め、するすると話題が進んでいくのが個人的には理想です。


 コミュ力がない自分がどれだけ考えても正解が出るわけないので、バイト先の社員さんやパートの方、先輩アルバイトの方々はどのように会話を始めているのか、とあるバイトの日に意識してみることにしました。
 パートのAさんは、こちらに興味を持っ(た風を装っ)ていろいろ話しかけてくださる方でした。その日は「その腕時計かっこいいね、青くて」でした。改めてAさんとの会話の記憶を辿ると、「カーディガン着なくて寒くないの?」とか聞かれたような気がします。
 パートのBさんは、自身の子どもと同世代の人に対する親世代の質問を投げかけてくる方でした。その日は「〇〇君はさ、彼女のご両親にあったことある?」でした。僕が受け応えた後、「うちの娘がこの前さ、彼氏に会うかって聞いてきてさぁ〜….」と話が続いていきます。記憶を辿ると、「普段さ、服とかってどこで買ってるの?」と聞かれたこともあるような気がします。その時も「息子がずっと同じ服しか着なくてさ、いつも娘と選びに行ってるんだけど〜….」と続いていきます。そういった疑問を投げかけられる人としては僕の希薄な人生経験は取るに足らないものですが、「子供と同年代の人の声」というところにしか重きは置かれていないと考えれば気楽に喋れます。結局は「うちはうち、よそはよそ」という話に行き着くだけだですし。その他、「娘が成人式でさぁ」ということを言われました。頭をフル回転させて「着付け時間かかりますよね?」「男はネクタイ結べればいいくらいなんで、父親に教えてもらって、一瞬でした」とかいろ言ってみました。その後、スーツ、大学の入学式中止、親戚のスーツ、リクルートスーツ、就活、卒業式という具合に出てくる話題が数珠繋ぎされていきました。
 パートのCさん社員のDさんは、どちらも中身のない会話を繰り広げるかたでした。「今日人多いねぇ」「早く帰りたいなぁ」くらいの内容で、「今日なんかある日でしたっけ?」と適当に会話は進んでいきます。この手の会話は人生経験を積んでいればいるほど上手くなる類だと思うので、僕みたいな人はそこから何か会話の取っ掛かりを探らないといけません。原因が「成人の日」みたいに判明すればどうにかなりそうな気もしますが、どうせそう上手くはいかないですよね。
 先輩アルバイトのEさんとは、就活と研究室の話でした。大学生同士だとこの話が一番無難です。週に何回も話す距離感だと話すことがすぐ枯渇すると思いますが、適度に距離感がある人ならジャブで打っていいかもしれません。
 先輩アルバイトのFさんは、「サービスカウンターの仕事、やります?」という質問から会話が始まりました。夕方に1時間やった時、自分の作業がズタボロだったので、「夕方にやった時仕事がボコボコで萎えてるので今日はいいです笑」と返してみました。Eさんは年度の変わり目で辞める先輩だったので、何言っても別にいいかなということで雑に喋ってみました。パートのBさんのような「話したいことがあるタイプ」の会話の仕方をしてみようと思っい、「機械のエラーと電話が畳み掛けてきてめちゃくちゃ忙しかったです」という話をしましたが、結局「自分がが話せることを、ただ話しただけ」で終わってしまいました。今振り返ると、Bさんと自分の会話の違いは会話の初手から話の軸が自分だったことだなと思います。


 とりあえず6名の方の会話の始め方を参考にした結果、一言目の理想はパートのBさん、Cさん、社員のDさん、話の広げ方はパートのBさんかなという感じです。他人に話したいことがある人、他人に聞いてみたいことがある人はやっぱり会話において強いなと当たり前のことを感じました。ただ、自分が目指すべき像がパートのBさんドンピシャかというと少し違うような気がしているので、まだまだ先は長いです。


#332  雑談バナシ③

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