見出し画像

会社から去ってもらうということ

人事労務の陰陽

「採用」「人事評価」「人材開発」「研修」
人事界隈は前向きな言葉で溢れている。
こういう仕事をクライアントの期待通りに完了すれば感謝はされど恨まれることはまず無いだろう。
取り組みはウェブ記事で紹介され、そこにまた前向きな人たちが集まる。
素晴らしいことだと思うし、その一端に関わり結果を出すと自己高揚感もある。
でも人事労務の仕事はそれだけじゃない。

処分を伝える

何ヶ月かに1回程度「懲戒処分」「解雇」「退職勧奨」のスキーム作成、本人面談同席の仕事がある。
懲戒処分であれば法律用語満載の処分開始決定の通知を読み上げ、弁明の機会を付与する。
解雇・退職勧奨であれば解雇通知を突きつけたり、どの行動が就業規則の何条に違反したかを説明することとなる。

以前として日本は懲戒処分や解雇は少ないと思っている。これは解雇の規制が厳しいという側面は確かにあるが、会社が本来行使すべき権利を行使しないというところが大きいと考えている。

そんなこんなで呼び出された本人は部屋に入ってくるまで、着席するまでそんな話をされるとは微塵も予想していない。大体は話の途中でこちらの意図を把握し顔色が変わって反論すべきことを考えている。弁が立つ方とは1時間程度お話しすることになる。反論する元気があるならまだましで、すっかり意気消沈して退席されるといたたまれない気持ちにはなる。
ある程度覚悟して来てくれたらなあと毎回思うんだけどやっぱりそうはいかない。

合わない人

明らかな法律違反行為やハラスメント、素行不良な人であれば法令・規則に従い粛々と行うべきだ。気持ち的にも正当性を確保できる。
ただ、会社のカラーと合わない人には去ってもらうべきだろうか。
ホワイト・ブラック問わずどんな会社にもその会社のカラーがある。それは社長自身のカラーだったり、会社全体で目指しているカラーだったりする。
採用でそれをしくじると個人で見れば大きな問題はないが、会社の一員としてはどうしても違和感を感じる状態になる。

個人的には「去ってもらうべき」だと考えている。
会社のカラーを捨ててその人だけに合わせるわけにはいかないし、他の従業員との不協和音を放っておくと辞めて欲しくない人が辞めることになる。

ただ、「解雇」の理由にはなり得ない。労働法令においては会社のカラーに合わないことが理由で解雇が認められるとは考えにくい。
あくまで会社のカラーとマッチしていないことを伝え、合意し去っていただかなければならない。業績不良や無理矢理な職務怠慢指摘など余計な理由を付け加えてはいけない。そんなことをすれば労働審判になった時突かれることになる。
会社も大いに反省すべきだ。2度とこんなことは繰り返してはならない。

ありがとうと言ってもらえない仕事

もちろん本人から言ってもらえるわけがない。会社からいってもらえることもあるけど後ろ向きなありがとうの気がしないでもない。

こういう仕事があって、ポジティブな仕事が輝くし表裏一体でどちらも必要。

どんな人間だって、処分されるのは嫌だし本人が一番しんどい。仕事でやっているから恨まれることの覚悟はできている。

口調がいつもと違うけど今日はこんな感じ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?