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協力隊から、地域のプロダクトデザイナーへ|川崎優大さん(岩手 / 20代)

LIVE DESIGN School の23年度メンバー同士が、根掘り葉掘りするインタビュー企画! 各地で活動するメンバーたちが日々考えていること、そして、LDSの参加を経て見えてきた展望とは...?

プロフィール
 岩手県久慈市出身。東京の大学でプロダクトデザインを中心に勉強したあと久慈市に戻り、地域包括支援センターや公営プール、観光物産協会に勤める。現在は、隣にある洋野町の地域おこし協力隊として一般社団法人fumotoに所属し、デザイン分野で活動中。協力隊の任期中に新型コロナの流行があったことから、本来3年の任期を2年延長でき、今は4年目。
 本スクールは、開校のきっかけになった書籍「おもデザ」本の著者の一人、吉田勝信さんのSNSで知った。協力隊の3年目が終わり、延長するかどうか悩んでいた時期だったので、なにか次の一歩へのヒントが見つかるかもしれないと参加を決めた。

━━ LDSが始まっておよそ1年ですが、いかがですか。

各地で活躍されているリードデザイナーさんのレクチャーがすごく参考になっています。どの方もそれぞれ個性があって面白くて、見た後に「面白かったな、真似したいな」っていう気持ちがあふれてくるんですけど、みなさんに共通してると感じる部分があって、それが収穫になっています。

例えば、坂本大祐さんだと「人間関係において、心のパンツを脱げるか」みたいな話だったり、堀内康広さんであれば「100万円もらってるんだったら300万円にして返さなきゃいけない」という話だったり。それぞれ言葉やアウトプットの形は違うけど、「愛情」を必ず持っている方たちで、それが軸にないといけない世界だと思いました。そして、自分が地域と関わっていく上で大事なこととか、どうしていきたいのかもちょっとずつ分かってきたように思います。

━━ 今は、地域おこし協力隊として活動されて4年目なんですね。協力隊にいるあと1年での目標があれば教えてください。

今後の活動の軸になりそうな商品をまずひとつ作りたいです。制作中のものでも、どれだけやっても商品にならないみたいな可能性もあるので、リードデザイナーの坂本さんや、参加者で中川政七商店の野村隆文さんが関わっている「地産地匠アワード」(以下アワード)を頑張りたいと思っていて。応募する商品はまだ公には出来ないんですが、最近はその準備をしています。

━━ なるほど。アワードに向けた準備の他に、取り組まれていることはあるんですか?

身近な古紙を再利用した紙作りもやっています。

協力隊の活動の中で作った冊子の展示会をやったときに、そのために作ったフライヤーがたくさん余ってたんです。それがもったいないと思って、宮城県南三陸町にあるノゾミペーパーファクトリーという、福祉就労の一環として牛乳パックや新聞紙を使った手漉き紙に取り組まれている施設で、その作り方を教えていただいて。

自分ができる範囲、例えば名刺ぐらいの小さな紙物は自分で作ろうと思って、小さい漉き枠でポストカード大の紙を作っています。販売はしていなくて実績といえるほどの成果はないんですが、作った紙にスタンプを押して名刺にしたり、町で映画の上映会があったときにはそのチケットを作ったりしました。

古紙から手漉きで作った紙。独特の風合いがかわいらしい
映画の上映会のために作ったチケット

━━ おもしろいですね!

あとは、紙作りから生まれるプロダクトを考えて、地域に残る伝承をモチーフにした張り子を作りたいと思ってて。

昔、洋野町に100頭を超えるすごい数の鯨が上がって、それから漁業が盛んになってお金が稼げるようになったという話があるんです。また別の伝承には、河童とか歯の神様も出てくるんですけど、張り子のモチーフの第一弾としてまず鯨を選びました。洋野町の伝承をまとめている協力隊の人に教えてもらいながら進めています。

━━ 冊子づくりから張り子づくりまでが、ずっと繋がってるんですね!商品化できたら、第二弾として「歯の張り子」を買えるかもしれないってことですね(笑)

ありえますね。とはいえ、張り子自体あんまり作ったことがなかったので、今は実験しながら、どんな紙がいいのか、どんな形がかわいいか、絵付けをどうしようかなっていうのを、別のデザイナーと相談しながらやっています。

━━ 協力隊の任期が終わってからの展望はありますか。

夢のまた夢レベルなんですけど、地域のプロダクトデザイナーになりたいです。

ものづくりって、時間もお金もかかるし、結果として利益がしっかり出なきゃ意味がなかったり、そもそも、ものづくりを残すという大きな役割を背負ったりもする。それに、岩手のデザインといえばグラフィックデザインのイメージが強いので、プロダクト専門で挑戦してる人がまだ少ない印象があって。そういう意味で、地域でプロダクトを仕事にしていくのはやりがいがありそうだと思っています。だからこそ、今やれるなら挑戦したい、と思ってアワードにも応募するんです。

━━ 最後に、LDSに入って良かったですか。

はい、もちろんです。やっぱり、実践されてきた方のお話には気づくことや刺激になることがたくさんあって学びしかないので、参加してよかったです。

あとは、運営局の出雲路本制作所さんを見ていて、活動を始められて間もない中でしっかりやっている近い世代の方がいるっていうのも、ものすごい刺激で。いずれ遊びに行きたいです。

━━ 嬉しい。ぜひ遊びに来てください!

(聞き手|運営局 森谷)


地域で必要とされる「広義のデザイン」について、各地のデザイナー陣と参加者どうしが学び合う場として始まったLIVE DESIGN School。現在、24年度のエントリーを受付中です!デザイナー(志望)はもちろん、イラストレーター / 大学生 / 行政職員 / 地域おこし協力隊 / 販売員 / 製紙業 / 百姓!などなど多様な肩書きの方にエントリーいただいています。詳細はこちらから!


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