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【富士山お中道の生物図鑑】 ミネヤナギ

  • 見られる場所・・・火山荒原

  • お中道での花の時期・・・6月

ミネヤナギ (別名 ミヤマヤナギ)

ヤナギ科ヤナギ属
学名:Sarix reinii
〈峰柳〉
同定のポイント/ 雄花に2個の雄しべと1個の腺体がある。葉に鋸歯があり、裏面は灰白色。

出典 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑8 高山に咲く花」 2002

ミネヤナギは亜高山帯〜高山帯に生える落葉低木で、火山荒原にいち早く定着するパイオニア植物の一つです。

パイオニア植物(先駆種)
遷移の過程で、初期のまだ植生が十分に発達していない段階で定着・成長できる植物種のこと。一般に、明るい場所を好み、乾燥や栄養不足に強い。富士山のように雪崩が頻発して地盤が不安定な場所では、傷害を受けても地下茎や萌芽ぼうがで再生できる植物がパイオニア植物となることが多い。

6月になると今年の葉を広げ始めますが、同時に花も咲き始めます。

6月。花(雄花序)をつけたミネヤナギ。

7月には綿毛をつけた種子が風に舞い、ふわふわとした小さな綿毛が辺り一面に飛び交います。この綿毛(種子付きの)は風によって遠くまで運ばれます。

7月。綿毛をつけたミネヤナギ。
果実がはじけ、綿毛をつけた種子が出てくる。

10月になると鮮やかな黄色に黄葉します。この時期はカラマツも黄葉しているので、辺り一面が黄色の風景になります。

10月。黄葉したミネヤナギ。

富士山の火山荒原では、地を這うように枝を伸ばしたミネヤナギが集団となって点在しています。このような分布の仕方はパッチ状分布と呼ばれています。
一方で、林縁のミネヤナギは高さが1 mほどに立ち上がり、火山荒原のミネヤナギとは同じ種とは思えないくらい背が高くなります。

火山荒原で見られるパッチ状分布。ミネヤナギの他にカラマツやイタドリも点在している。



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