4回生CA-離婚後共同親権のあり方について

今日の4回生CAは、「離婚後共同親権のあり方について」について議論しました。立論者は、単独親権のみではなく、現在の単独親権制に加える形での共同親権制の導入に賛成の立場を取り、他の学生は反対の立場で議論しました。

以下内容です。

【記事の紹介】


NHK「離婚後の親子のあり方は?『共同親権』導入へ」

親権とは、子どもの利益のために身の回りの世話や教育を行ったり、財産を管理したりする権利と義務を指す。日本では現在、離婚した場合には父母のいずれか一方しか親権を持つことができない。これは単独親権と言って、1898年、明治31年に民法が施行されたときから変わらない。親権者になれば、子どもの住居や進学先、医療行為なども決めることができる。ただ、父と母が親権を主張して譲らず協議が長期化するケースも少なくない。子どもにとっては生活が一変するだけでなく、何より両親が争う姿を見て傷つくこともあるという。焦点の共同親権は、今の単独親権に加える形で導入する。つまり、父母の協議によって単独親権か共同親権かを決めることになる。合意できない場合は家裁が親子の関係などを考慮して単独親権か共同親権か、単独の場合はどちらを親権者にするか決定する。子どもや親族がふさわしくないと家裁に請求すれば変更可能だが、子どもにとっての最善を的確に判断しなければならない家裁の責任は極めて重いと言えるだろう。共同親権ではDVや虐待が続くおそれから、DVや子どもへの虐待があったと家裁が認めた場合は単独親権となる。

【記事に対する質問】

Q.協議は法的に?
A.共同親権にしたければ裁判は必ずつきもの
A.単独親権の場合は、裁判所はいらない。協議離婚もできる。

Q.両親の間で合意形成ができなかった場合、どうなる?
A.納得するまで話し合う。(裁判所も)

Q.血縁関係がない場合どうなる?
A.養子縁組になる。

【意見・論点】

①国際的な潮流
→海外では離婚するときには、多くの国は協議離婚ではなく、裁判所が関与している。日本は単独親権のため国際結婚が破綻し、ほとんどの海外から子どもを連れて日本に逃げてきた場合、日本で裁判になっても逮捕されることはなく、日本はアメリカと犯罪協定を結んでいるが、FBIから国際指名手配されている日本人妻も多くいるものの、犯罪者にならないので、引き渡すこともできず、これらは国際問題になっている(ハーグ条約)。
Q.国際的な潮流に合わせる必要はないのでは?
A.

②DVや子どもへの虐待があったと家裁が認めた場合は単独親権となる。
→離婚した後も、親子関係と夫婦関係を切り離して子どもと関わりたいと思っている人たちが、養育に責任を持つことができ、子どもの福祉・最善の利益の確保のため、主要先進国で法制化されている共同親権・共同養育については、 DV(家庭内暴力)被害等に十分に配慮をしながら導入をすればいい。
*イタリア、オーストラリア、ドイツ、フランス等は原則共同親権
Q.DVの定義は?精神的DVもある。
A.録音するしかない。物的証拠を出すしかない。法務省のガイドラインに従う。

Q.離婚の心理的ハードルが下がって、今の家族のあり方は変わっていくのでは?
A.裁判所が関わってくるからハードルが下がることはない。
Q.少子高齢化に影響するのではないか?
A.親権者、監護者、非監護者がいて、きちんと責任を持って育つ環境になればいいのでは。

Q.両親の仲が悪くない場合、両親と子の関係が良い場合、必然的に共同親権になる。
A.親権者と監護者が分かれるという今の制度を利用すればいい。

Q.一人親対象のアンケートで、共同親権を選択したくない割合のほうが多い。需要がないのでは?また、法制度を変える負担も大きいし、今のままでいいのではないか?
A.憲法上で保障されている権利を行使するべきである。

【予想される反論・再反論】

①子どもへの虐待がある場合は、別居しないと子どもの安全が守れず、親権を共同で行使するのは無理なことだ
→「法定教育費」制度を新設、別居親との面会交流をしやすくする新制度を設ける。既存の制度は、親が離婚して片親になると子供が経済的に厳しくなる。共同親権になると、親が離婚しても子供の監護・教育を共同でやることになるので、進学がしやすくなり、父母双方が養育に関われるなど、家族関係の多様化に対応できる。
Q.強制的に両親に会うことになって、離れたいけど逃げられないケースに陥る。
A.子供の意思をくみ取る。被害があって証拠を出せば親権を喪失する場合もある。
Q.共同親権がメジャーになり、単独親権の訴えが曖昧になる、2割しか子供の意見を聞かない。親のプレッシャーから子供も意見が言えないというケースに陥る。
A.単独親権の場合、DVの捏造がある。
Q.

②家裁が家庭内の事情を把握し、親権を適切に判断することができるか
→被害の立証を必須の要件とするものとはせず、協議離婚によるあやふやな責任の所在を回避することができる一方、家裁の能力や責任が問われる。何年もケアしていない、養育費も払っていない、コミュニケーションも取っていない中で、共同親権になった途端に介入をしてくる、あるいは妨害的なことをしてくるということになれば、共同親権者としてふさわしくない、あるいは共同親権を行使するにふさわしくないという判断が裁判所において成り立つ。
Q子供の進路に関しても両親で合意形成が取られない場合、心理的負担が大きい。
A.今の協議離婚よりはましになる。

③父母の力関係で「合意」が強制される。合意できない事情があっても裁判所が共同親権と判断しうるのではないか
→親権争いによる「連れ去り」を回避でき(ハーグ条約)、親子関係の断絶を防げる。養育費の支払い実績があるという事実のみをもって裁判所が必ず父母双方を親権者と定めるというわけではない。子が意見を表明した場合には、その意見を適切な形で考慮することを含む。
Q.子供を保護するのは難しいのではないか?
A.虐待と親権は別事情で考えるべき。

【上久保先生のコメント】

内容以前の問題で政治的にものがすすんでいる。本質を捉えられていないのに法制が通ってしまったことが問題だ。
ヨーロッパでは、全ての子供に権利があり、子供が中心的考えが進んでいる。日本的イデオロギー対立でこの法制が決まっていることが問題である。権利から考えるべきだ。

【参考文献】

https://newsmedia.otemon.ac.jp/3184/
善積京子(追手門学院大学)「共同親権導入への議論が大詰めの日本。今こそ大切にしたい『子どもの最善』の視点」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/306287
東京新聞「『共同親権』導入へ議論3年、欠けていた『子の利益』の視点 離婚を経験した親たちの不安は消えず」

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2020pdf/20200911187.pdf
石塚理沙(法務委員会調査室)「離婚後の共同親権について― 離婚後の子の養育の現状と共同親権に関する議論 ―」

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79795
長竹孝夫「離婚後の『共同親権』導入は時期尚早、『子の意見の尊重』が書かれていない改正を進めていいのか」

https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/support/62556/
大野暢子「どうなる共同親権 大詰めの議論の状況や論点をQ&Aで解説します」


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