「気になる」の正体

私は激しく動揺していた。
どうやら目の前にしてしまうと手が自然と震えてしまうのだ。
特別何をしたわけでもない、されたわけでもない。ただカードを私が差し出し、引いてもらうだけの単純作業だ。
何人かを巻き込み始まった神経衰弱。
人見知りできっかけを作ろうとしない私に機転を効かせて友人が提案してくれたのだ。しかしながら、私の存在などこれっぽっちと言っていいほど無いだろう。友人の影にいたカードを差し出してくるおまけ。
そんなこんなでやはり目が合うなんて奇跡など無かった。
目の前にいるその人は私の気も知れず淡々とカードを引いていく。
でもそれでよかった。
同じ時を初めて共有できたから。まだ目に映ることはなくてもきっかけにでもなってくれたならそれで。
機会を作ってくれた友人には感謝してもしきれない。
挙動不審で動揺が隠せない私だが、久しぶりとも言えるこの感情を信じて頑張ってみようかなとひっそり思うのだ。

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