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平成以降の総理大臣③

前回の②に引き続き、6名を記載する。
それにしても、菅直人(かんなおと)と菅義偉(すがよしひで)は紛らわしいな。

鳩山由紀夫: 2009年9月16日〜2010年6月8日、民主党

菅直人: 2010年6月8日〜2011年9月2日、民主党

野田佳彦: 2011年9月2日〜2012年12月26日、民主党

安倍晋三 (再任): 2012年12月26日〜2020年9月16日、自由民主党

菅義偉: 2020年9月16日〜2021年10月4日、自由民主党

岸田文雄: 2021年10月4日〜現職、自由民主党

鳩山由紀夫

主な施策としては以下のものがあります:

1. 労働者派遣法の抜本改正:「日雇い派遣※」の禁止や「登録型派遣」を原則禁止しました。

2. 農業者戸別所得補償制度の創設:農業者の安定した所得を保障するための制度です。

3. 温室効果ガス抑制のための国際的枠組みの見直し:主要排出国の参加を求めました。

4. 中小企業への支援強化:「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させました。

5. 地方への権限移譲:国と地方の協議を法制化し、地方に大幅な権限を移譲しました。

6. 日米同盟関係の見直し:日米地位協定の改定や在日米軍基地のあり方の見直しを提起しました。

行政改革においては、「政治主導」を定義し、官僚依存を排しました。これには事務次官等会議の廃止や政策決定の政府への一元化が含まれています。

地域主権改革に関しては、「地域主権戦略会議」を設置し、地方自治体への権限移譲や補助金の一括交付金化などを推進しました。

また、無駄遣い排除のために行政刷新会議を設置し、事業仕分けなどを行いました。これにより、予算の透明性が向上し、行政全般の効率化を目指しました。

経済政策に関しては、2009年の経済成長率が大幅に下落した中で、2010年にはV字回復を実現し、G7トップの成長率を達成しました。

※ 日雇い派遣の禁止と例外に関しては、以下の点が重要です:

1. **日雇い派遣の定義と禁止**: 日雇い派遣とは、日々または30日以内の期間を定めて雇用される派遣労働のことです。2012年10月1日の法改正により、日雇い派遣は原則禁止されました。この措置は、派遣スタッフの雇用の安定を図るために取られました。

2. **例外条件**: 日雇い派遣は特定の条件下で例外的に許可されます。例外条件には、特定の業務や特定の人々に関するものが含まれます。

  - **特定の業務**: 情報処理システム開発、機械設計、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリングなど、特定の専門性が高い業務は例外として日雇い派遣が認められています。

  - **特定の人々**: 60歳以上の人、雇用保険の適用を受けない学生、副業として働く人(年収500万円以上)、主たる生計者でない人(世帯年収500万円以上)など、特定の状況にある人々も例外とされています。

3. **日雇い派遣を雇用する条件**: 日雇い派遣を雇用するための条件として、年収が500万円を超える、かけ持ちは不可、世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない、満60歳以上、雇用保険の適用を受けない学生などがあります。

4. **注意点**: 日雇い派遣を検討する場合は、例外業務に該当するかどうかを事前に確認する必要があります。また、雇用契約の期間が1日や30日といった短期間の場合は、日雇い派遣にあたりますが、31日以上の契約の場合は日雇い派遣には該当しません。

菅直人(かんなおと)

以下に主な施策を紹介します。

1. **事業仕分け**: 鳩山前内閣による事業仕分けの取り組みを継続しました。これには、第3弾の事業仕分けが含まれ、全18特別会計の51事業すべてが対象とされました。また、「再仕分け」を行い、過去の仕分け結果が予算案にどのように反映されているかを点検しました。

2. **科学技術**: 小惑星探査機「はやぶさ」の成功に関連して、宇宙開発予算の削減に関する事業仕分けの判定を再検討しました。これは科学技術全般への姿勢に関する懸念を呼びました。

3. **教育**: 教職員の給与や少人数学級化に関する問題が取り上げられました。財務省は教員給与の削減を提案しましたが、最終的には実現しませんでした。国庫負担率の引き上げや教育費の改善が進められました。

4. **公共事業**: 森林整備予算の削減や予備費の削減などが行われましたが、これには洪水被害の拡大や緊急時対応能力の影響に関する懸念がありました。

5. **国家備蓄**: 石油や塩の備蓄政策が見直されました。特に塩の備蓄は10万トンから4万トン以下に削減されることとなり、災害時の対応に影響があるかどうかが議論されました。

菅直人内閣の政策は、公共支出の効率化と透明性の向上に重点を置いたものでしたが、その一方で、いくつかの政策に対しては批判や懸念も表明されていました。

野田佳彦(よしひこ)

主な施策は以下の通りです。

1. **震災復興**:2011年の東日本大震災に対応し、被災地の復興を最優先課題としました。復興予算の確保と速やかな復興作業が行われました。

2. **消費税増税**:日本の財政健全化のため、消費税率の段階的な引き上げを決定しました。これは社会保障の持続可能性を確保するための重要な施策でした。

3. **社会保障と税の一体改革**:消費税増税と併せて、社会保障制度の改革※にも取り組みました。これには年金や医療、介護などの制度改革が含まれていました。

4. **外交・安全保障政策**:アメリカとの関係強化を続ける一方で、中国や韓国との関係は一時的に緊張しました。尖閣諸島問題が特に注目されました。

5. **原発政策の見直し**:福島第一原発事故を受けて、原子力発電の安全性と将来性に関する議論が活発化しました。

野田佳彦内閣は、震災復興と財政健全化を重視する一方で、外交やエネルギー政策においても重要な時期を担いました。特に消費税増税は後の日本経済に大きな影響を与える政策となりました。

※ 社会保障と税の一体改革は、日本の社会保障制度と税制を同時に改革することを目指した政策です。この改革の具体的な内容は以下の通りです:

1. **消費税率の引き上げ**:社会保障費の増大に対応するため、消費税率を段階的に引き上げました。これにより、必要な社会保障費を安定的に賄う財源を確保することが目的です。

2. **社会保障制度の改革**:年金、医療、介護などの社会保障制度を見直し、効率化や持続可能性を高めるための改革を行いました。これには負担と給付のバランスを見直すことも含まれています。

3. **低所得者への配慮**:消費税増税による低所得者への影響を軽減するため、給付や税制上の措置が導入されました。

この一体改革は、高齢化による社会保障費の増加に対応し、将来世代への負担を考慮しつつ、現行の社会保障制度を持続可能な形で維持するために行われました。税収の増加を社会保障の充実に直結させることで、より安定した福祉国家の実現を目指した政策です。

安倍晋三(在任)

安倍晋三氏の再任(第二次安倍内閣、2012年-2020年)では、以下のような主要な施策が実施されました:

1. **アベノミクス**:経済政策の柱として「三本の矢※」と呼ばれる戦略を採用。第一の矢は大規模な金融緩和、第二の矢は財政出動、第三の矢は成長戦略を含む構造改革でした。これらを通じてデフレ脱却と経済成長を目指しました。

2. **安全保障政策の強化**:集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法の成立や、自衛隊の役割拡大などを行いました。

3. **憲法改正の検討**:憲法改正に向けた議論を進め、特に自衛隊の憲法上の位置づけを明確にすることを目指しました。

4. **外交政策**:「積極的平和主義」を掲げ、アメリカとの同盟強化、インド太平洋地域での協力強化、ロシアや中国との関係改善に取り組みました。

5. **オリンピックの招致**:2020年東京オリンピックの招致に成功しました。

6. **経済パートナーシップ協定の推進**:環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加やEUとの経済連携協定(EPA)の締結など、自由貿易の推進を図りました。

7. **女性活躍の推進**:「女性が輝く日本」をスローガンに、女性の社会進出や活躍の促進に努めました。

8. **働き方改革**:長時間労働の是正や労働環境の改善を目指した働き方改革を推進しました。

安倍晋三の再任期間は、経済の再活性化、安全保障政策の強化、外交の活発化が特徴で、日本の政策面で大きな影響を与えました。

※ アベノミクスは、安倍晋三内閣による経済政策で、日本経済の再生を目指していました。主に「三本の矢」として知られる3つの主要な戦略で構成されています:

1. **第一の矢 - 金融緩和**:日本銀行による大規模な金融緩和※を行い、デフレからの脱却と円安を促進しました。これにより、輸出が促進され、企業収益が向上しました。

2. **第二の矢 - 財政政策**:政府支出を増やして経済を刺激しました。公共事業の拡大や経済対策パッケージなどを通じて、短期的な景気回復を目指しました。

3. **第三の矢 - 成長戦略**:長期的な経済成長を実現するために、構造改革を行いました。これには、労働市場の柔軟化、企業の規制緩和、農業改革、女性の労働市場参加の促進などが含まれています。

アベノミクスの目的は、長引くデフレを終わらせ、持続可能な経済成長を達成することでした。しかし、これらの政策の効果には賛否両論があり、特に第三の矢の構造改革は進展が遅れたとの指摘もあります。

※ 金融緩和とマイナス金利政策は異なるものですが、両方とも金融政策のツールとして使われます。アベノミクスの下での金融緩和は主に以下のような形で行われました:

1. **量的・質的金融緩和**:日本銀行が大量の日本国債や他の金融資産を市場から購入することにより、市場に流動性を供給しました。これはデフレを終わらせ、経済成長を刺激するための措置でした。

マイナス金利政策は、この金融緩和策の一環として後に導入されました:

1. **マイナス金利政策**:2016年に日本銀行が導入したこの政策は、金融機関が日本銀行に預ける一部の資金に対してマイナスの利息を適用するものです。この目的は、銀行がお金を貸し出すことを促進し、経済活動を刺激することにありました。

要するに、金融緩和は市場にお金を供給することで経済を刺激する広範な戦略であり、マイナス金利政策はその一環として、特定の状況で採用されるより具体的な手法です。

菅義偉(すがよしひで)

菅義偉内閣(2020年-2021年)の主な施策は以下の通りです:

1. **新型コロナウイルス対策**:パンデミックに対応するための緊急事態宣言の発令、ワクチン接種の加速、医療体制の強化などが行われました。

2. **デジタル改革**:デジタル庁の設立を進め、政府のデジタル化とサービスの効率化を推進しました。

3. **経済対策**:新型コロナウイルスの影響による経済の落ち込みに対応するため、経済刺激策として現金給付や企業支援を行いました。

4. **カーボンニュートラル**:2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガスの実質ゼロ)を目標として掲げました。

5. **外交政策**:アメリカや周辺国との関係維持・強化に努め、特に中国との関係には慎重なバランスを取りました。

菅義偉内閣の政策は、特に新型コロナウイルス対策に重点を置き、パンデミックの影響を緩和することに集中しました。また、デジタル化の推進や環境政策においても重要なステップを踏みました。

岸田文雄

岸田文雄内閣(2021年から現在)の主要な施策は以下の通りです:

1. **新型コロナウイルス対策**:ワクチン接種の加速化、医療体制の強化、経済回復支援策などが継続されました。

2. **経済政策「新しい資本主義」**:経済格差の縮小、中間層の拡大を目指す経済政策を打ち出しました。これには所得再分配の強化や経済成長と分配の両立が含まれます。

3. **デジタル化の推進**:デジタル庁の活動をさらに強化し、デジタル化による行政サービスの改善と効率化を目指しました。

4. **外交政策**:アメリカとの同盟関係の強化、インド太平洋戦略の推進、中国との緊張関係の緩和に努めました。

5. **防災・気候変動対策**:気候変動対策として環境政策を強化し、温室効果ガス削減目標の達成に向けた取り組みを進めました。

6. **防衛政策**:安全保障環境の変化に対応するため、防衛能力の強化と自衛隊の役割拡大に関する議論が進められました。

岸田文雄内閣は、経済的公正性の向上、デジタル変革の推進、外交・安全保障の強化など、多岐にわたる分野で新たな政策を推進しています。

感想

民主党政権時の蓮舫さんによる事業仕分けは印象深いが、パフォーマンス色が強いとの感がある。国会議員の人数や給料の仕分けも行えば、国民の支持がさらに得られたかもしれない。

一方で、安倍晋三内閣の長期政権は目立つが、アベノミクスの成果は限定的で、GDPの伸びが見られない。しかし、短命ながら菅義偉内閣が発足させたデジタル庁は評価できる。優秀な指導者が長期政権を担うことは望ましいが、菅義偉氏は人を惹きつける話し方が苦手だったように思える。

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