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【連載】かくれ念仏/No.11~鹿児島の真宗民語その3~

五劫様ごこうさま

真宗の本尊である阿弥陀仏の像を拝むと、容易に一向宗信仰の嫌疑がかかるので、かくれ門徒の中には法蔵菩薩の像を祀り、これを「五劫様」と称した。

なぜ法蔵菩薩像を用いたかというと、五劫思惟の修行によるあばら骨の透く姿が、釈迦の苦行像に見えるため、一向宗の嫌疑があっても、これはお釈迦様だと言い逃れられたからだという。

この像は、齊藤家の二代目、齊藤全流が鋳造し、同型のものがいくつか遺っている。

なお、富山にも「やせぼとけ」といって五劫思惟像があり、これが愛知に伝わった「くろぼとけ」という五劫思惟像もある。

全国を往来した富山の薬売りが、ひそかに鹿児島へ真宗の教えを伝えていたことは有名で、富山の五劫思惟像と鹿児島の五劫様との関連について、件の齊藤家のご子孫にあたる、当代の先生によくご指導いただいた。

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