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第96回アカデミー賞期待の作品紹介No. 18「アステロイド・シティ」

AWARDS PROFILE Vol. 18

アステロイド・シティ

RT: 75%
MC: 75
IMDb: 6.6

 この物語は、見渡す限り一面の荒野にポツンと存在するアステロイド・シティを舞台に、様々な事情を抱えた人々が登場し、最後には宇宙人も飛来する、かぎりなく架空に過ぎない舞台劇についての映画だ...。by劇作家コンラッド・ワープ

 一目見たら一発で分かる独特な映像美。カラフルでミニチュア風の箱庭のような世界観。キャラクターや乗り物、生き物、宇宙人ですら、完璧なリズムを刻んで動き回る。その世界の主はウェス・アンダーソンだ。今作はウェス・アンダーソンの中でも最もウェス・アンダーソンらしく、ちょっと複雑な映画になっている。キャストは相変わらず豪華の一言。ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、ジェフリー・ライト、ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、マヤ・ホーク、ルパート・フレンド、ホープ・デイヴィス、スティーヴ・パーク、リーヴ・シュレイバー、マット・ディロン、スティーヴ・カレル、ティルダ・スウィントン、ジェフ・ゴールドブラム、ホン・チャウ、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー等々...。常連や新顔に関係なくキャスト全員がアンダーソンの創る世界に身を捧げて、最大限の魅力を引き出し合っている。そして撮影や音楽、美術セット、衣装が一癖ある作品に軽快なアクセントを加える。今年のカンヌ国際映画祭でプレミア上映されて、概ね好評を集めている。監督の過去作「グランド・ブダペスト・ホテル」や「フレンチ・ディスパッチ」と同じく物語に異なる物語が覆いかぶさる構造の今作は、舞台劇に象徴される芸術への愛と、人間の喪失からの再生を鮮やかに描いている。芸術と人生の関係性、芸術と人生が重なり合うことで放たれる輝きが、監督独自のスタイルで浮かび上がる。複雑な構造だが、伝わるメッセージはシンプル。語られる物語がバカバカしく架空なものだろうと、そこで生じる人の感情はリアルなもので真実なのだ。だから人々は物語ることを止めない。アンダーソンは、ストーリーテラーとストーリーを体現する人々に大いなる愛を捧げる。その美しい所作に酔いしれる。

長後の語り部 ストーリーテラー
ラップで語る かつての栄華
歴史を精査 些細な変化
繊細センサー レーダーRED
助けてテイラー 都知事のペンパル
連絡スウィフト 強いアシスト
Fearless leader opens the door.
長後を伝承 フォークロア
長後は永劫 エバーモア

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