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第96回アカデミー賞期待の作品紹介No. 22「ナポレオン」

AWARDS PROFILE Vol. 22

ナポレオン

RT: 58%
MC: 6.6
IMDb: 64

 流星のように現れたナポレオン・ボナパルトが、いかにして皇帝の座に就きフランスを治めるようになったのかを、彼の最初の妻にして手強いジョゼフィーヌとの関係を通して描く…。

 御年86歳にして作品が途切れることのない巨匠リドリー・スコットが挑む、革命家ナポレオンの伝記映画。スコット監督といえば、過去にも「デュエリスト/決闘者」や「グラディエーター」、「キングダム・オブ・ヘブン」、「ロビン・フッド」と迫力ある歴史劇を数多く手掛けてきただけに、今作でも大掛かりのアクションとロマンが繰り広げられそうだ。脚本を担当するのは、監督と「ゲティ家の身代金」でもタッグを組んだデヴィッド・スカルパ。強力な個性と統率力で人々を率いたクセモノのナポレオンを演じるのは、我らがホアキン・フェニックス。スコット監督とは「グラディエーター」以来のタッグとなる。ナポレオンの最愛の人にして、彼が全てを手に入れるための原動力となった、皇后ジョゼフィーヌを演じるのはヴァネッサ・カービーだ。他にも力のあるキャストが集まっている。監督曰く、長年ナポレオンの人物像に魅了されていたそうで、どこからともなく現れた彼が世のすべてを支配していく様、奔放な妻ジョゼフィーヌと家庭内でロマンティックな戦争を繰り広げる様を並行して描いていく。また主演フェニックスに対しては、オスカーに輝いた「ジョーカー」の演技に驚かされたそうで、ナポレオンにぴったりだと考えたそうだ。「グラディエーター」でも父からの愛を渇望する捻くれた息子を演じただけに、最愛のジョゼフィーヌの愛を求めるナポレオンの役は適任だろう。カービーもそれに負けじと凄みのある存在感をみせて、ナポレオン相手に引かないジョゼフィーヌの力強い態度を表現した。「私なしでは、あなたは何の意味も持たない」と言い放つあたり背筋がゾクゾクする。戦場の場面よりもフェニックスとカービーの予測不能の睨み合いの方が間違いなく見応えがあった。それはジョゼフィーヌが歴史とこのストーリーの隅に寄せられることで、ナポレオン本人と映画が教科書通りの落ち着きになってしまう欠点を生んでしまうのだが。群を抜く軍略で勝利を収めていく歴史的な戦いの数々を迫力いっぱいに描く一方で、ジョゼフィーヌとの関係はもつれてしまうドラマ。意外にも細かな笑いが振り掛けられている点、歴史ドラマにしては新鮮だ。またジョゼフィーヌにより焦点を当てた4時間のディレクターズカット版もあるそうで、こちらはApple TV+で配信される予定だそうだ。

長後の都知事も流星の如く、どこからともなく現れましたが、何かするということもなく、どこかへと姿を消しました。

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