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いつでも初めまして

ほんの30分ほど前の出来事でした
「なんの涙だったのだろう・・・」

いつもの道を、いつもの自転車に乗って買い物へ

横断歩道の手前で渡ろうとスピードを落とそうとした時

少し離れた左手で、スローモーションのように

年配の女性が自転車に乗ったまま倒れていきました。

急ブレーキをかけて、女性を少し過ぎた場所で止まれたので

「大丈夫ですか?」と声をかけながら、自転車を起こしました。

幸い意識もきちんとしていて、外傷も無い様子でしたので、自力で立たれました。

私より先に女性を追い越した方がいて、起き上がったのを確認しているようでした。

「どこか痛いところは無いですか?」
「はい、とりあえずないです」
女性は答えてくれました。

「こんな時、痛みより恥ずかしさの方が先に立つよなあ・・・」と思い
「自転車って不安定ですよね」という謎の声がけをして、私は立ち去りました。

もうひとつ先の横断歩道で信号待ちをしていると
立ち上がるのを確認していた別の女性が「キレイなお花ですね!」と
私の後ろから声をかけてくれました。

私の自転車の前カゴには、先に買い物をしてあったお花の束がありました。
「ありがとうございます」と返していると

「先ほどは、ありがとうございました」と、転んだ女性が追いついて
再びのお礼を伝えてきてくれました。
しばし3人で挨拶をかわし、三方へと散って行きました。

世知がなく、隣に興味がなく、しばし冷たいとされる都会の中の
何気ない「人との繋がり」です。

でも3人がそれぞれに散った後
急ブレーキをかけたとき自転車に打った向こう脛が痛いのか
私は自転車をこぎながら、涙ぐんでいました。

「えっ!これはなんの涙?」
無性に自分で可笑しくなりました。

同時に「3人とも一瞬、笑ったな!」と嬉しくなりました。

転んだ女性には申し訳ないですが
愛しい花と微笑みながら帰り道をたどりました。

私の中に生まれる新しい感情は
時に主人である私を通り越していきます。
そんな発見は「いつも初めまして」の自分です。

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