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「意思疎通のとりづらい終末期がん患者に関わる家族の行動とその支援の検討ー医療者と遺族の視点からー」長谷川素子、吉田沙蘭(2022)『Palliative Care Research』2022年17巻3号

意思疎通のとりづらい終末期がん患者に対する家族の関わり行動とその支援について、双方に対する半構造化インタビューを通して明らかにしている。

本研究における「意思疎通のとりづらい終末期がん患者」の定義:せん妄や傾眠、倦怠感や疼痛等により患者の意思を家族が読み取りづらい状態

<引用>
・意思疎通のとりづらい終末期がん患者に対して家族が行う関わり行動…3つ 
 の大カテゴリーに分類できた
⇒従来の患者に対する関わりの継続、患者の安心・安楽への働きかけ、患者 
 の思いを推測する行動

・意思疎通のとりづらい終末期がん患者に対応する家族に対して医療者が提
 供する支援…9つの大カテゴリーに分類できた
⇒家族からの情報収集(例:家族の理解や受け止めを聞く)、家族への説  
 明、家族への感情的なサポート、関わり方の提案、関わり方の提案を伝え 
 る工夫、関わりにおける家族に必要な情報の補足(例:患者の気持ちを家
 族に伝える)、関わりに対する家族へのフィードバック、患者と家族に対 
 する医療者の態度の見直し(例:家族の意向を尊重した態度を取る)、多
 職種連携

<つぶやき>
本論文は、終末期にあるがん患者とその家族を対象としているものであるが、重度の認知症者とその家族にも当てはまる部分が多い、と感じた。どのステージ(場面)のおいても、利用者(患者)中心の働きかけが支援の柱にあると思うが、意思表示が困難な方に対しては、より丁寧に扱われるのだと思う。支援者が患者の気持ちを(時には推測を含めて)家族に伝えるという行為は、それまでの関係性や支援期間の長短に大きく影響するであろう。間違った一言や、適切ではない一言で、傷つき、後退する家族(遺族)も存在する。そういった慎重さも決して忘れてはいけないと、強く思う。

  

 

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