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やっちゃば一代記 実録(47)大木健二伝

やっちゃばの風雲児 大木健二の伝記
 問題また問題が・・
「なんだい、大木さんとこは黴の生えた【マコモ】を売りつけるのかい!
どうしてくれるんだ。!」
取引先の中華料理人が血相を変えて怒鳴りつけた。
【マコモ】の表面に黒黴のような斑点が浮き出ていたのだ。
何とも因果な野菜だと大木は臍をかんだ。思い出深い、愛着のある野菜なのに、それはことごとく大木を裏切るような気がしてきた。
斑点のない【マコモ】を探しまくった。そして、どうせなら国内で作った方が早いとまで思うのだった。
 黒い斑点は結局、[マコモ黒保菌]という微生物によるもので、これは、
【マコモ】のいわば共生菌。【マコモ】の茎が太るのに欠かせない菌類だった。斑点は熱湯を通した後の黒保菌の痕跡で、害のないものだということが分かった。生の【マコモ】にはもともとありえない斑点だったのである。
それを錯覚して東奔西走した自分の無知に大木は地団駄を踏んだ。

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