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国語力を鍛えるのに最適な野球ゲームがあるという話

はじめまして!
東大生&京大生の国語に特化した個別指導「ヨミサマ。」代表の神田直樹です!
高校に通わず完全独学で東京大学文科Ⅰ類に合格し法学部を卒業後、この前までMcKinsey & Companyでコンサルタントをしていました。

先日、ヨミサマ。の受講生限定で「国語のお悩み相談会」なる無料イベントを開いていました。個別に講師に相談ができる部屋と、集団で匿名で質問ができる部屋があり、私はもっぱら後者の部屋を担当し、3時間ぶっ続けで次から次へと来る質問に答えておりました。

そのときに、
「うちの子はゲームばかりしていて、読書をしません。どういう本を選べばいいですか?」
という質問が来ました。

私ははじめ、おすすめの本を答えようとしたのですが、急に一つの問いが頭に浮かびました。

そういえば、僕自身もゲームしまくってたよな…?
あれは本当に国語力を鍛えるのに害しかなかったんだっけ…?

と問いかけが現れたとほぼ同時に、ひらめきが起こりました。

そうだ、僕はあのゲームに人生で一番の時間を投じていたし、今振り返ると、あれが僕の国語力を作り上げたはずだ、と。

今回は、そんな国語力や論理力の育成に抜群に役立つ、ある思い出のゲームを紹介します。ゲームとしてもシンプルに面白すぎるので、ぜひプレイしてみてください!

ライター:神田直樹(ヨミサマ。編集部編集長)
高校にも塾にも通わず、完全独学で東京大学文科Ⅰ類にトップクラスの成績で合格。
東京大学法学部を卒業後McKinsey & Companyで研鑽を積み、その後現職。

【ヨミサマ。とは】
講師全員東大生&京大生!
対話により国語力を向上させる独自メソッドのオンライン個別指導です。

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僕の国語力を作り上げた4つのこと

僕の国語力はどうして作り上げられたのか、幾度となく講演会や取材などでお話してきました。その中で、僕がよく話してきたのは、

  1. 小さいころから、両親に早口&難しい語彙で話しかけられ続けていたこと(主に0~10歳のとき)

  2. 「4コマ漫画」を読み続けて言葉を覚えたこと(主に未就学児のとき)

  3. 1日11時間×4カ月現代文の勉強だけをしたこと(18歳のとき)

なんですね。

ただ、上記を見る限り、ぽっかりと小学校高学年~中学生の時期が空いているんですよ。まさにヨミサマ。の生徒のボリュームゾーンはその辺なのですが、一方私は自覚的に国語を鍛えた記憶がない…

むしろ、読書も全くしないし、放課後も野球やるかゲームやってるかの生活で、全然国語を鍛えていなかったはずなんですね。
ただ、その中でもメキメキと国語の実力は伸びていった…

なんでなんだろう?と考えてたとき、当時一番プレイしていたゲームが頭に思い浮かびました。

そう、野球ゲームの「パワプロクンポケット」シリーズです。

野球ゲームで国語力を鍛える

そんなわけで、今回ご紹介する、国語力を鍛えるゲームはこちら、野球(?)のゲーム、「パワポケ」こと「パワプロクンポケット」シリーズです!

©Konami Digital Entertainment

残念なことに、ほとんどがゲームボーイまたはニンテンドーDS向けのソフトなので、今プレイすることは少し難しいのですが…
(※Switchでもリメイクはされてはいますが…)

「パワポケ」は野球ゲームなのか…?

実は僕はものすごくゲームが好きで、小学校中学校の頃は本当に歯止めが利かないほど遊んでいましたし、今でもかなりゲームをプレイしています(今でも歯止めが利いてないかもしれない)。

そんな何百本もゲームをやってきた僕がおすすめする「国語力をつけるゲーム」がまさかの野球ゲームということでびっくりされている方もいると思います笑。

このパワポケ、野球ゲームかと思いきや、それはこのゲームの本質を著すには不十分な説明なのです。

実は、この「パワポケ」って、ほぼノベルゲームなんですよね。

ノベルゲームとは?

ノベルゲームとは何かご存じですか?
本当に昔からあるビデオゲームのジャンルのひとつです。

物語が進行していく中で、プレイヤーは主人公の行動をどうするか、選択に迫られる場面が幾度なくあります。

例えば、学校に遅刻しそうな時に「頑張って走る」か「諦めて歩いて行く」か2つの選択肢が出てきます。どちらを選択したかに応じて、物語が分岐していくんですね。
「諦めて歩いていく」を選ぶと、新たな出会いがあって、物語が違う展開になっていったりするわけです。

まあ、ノベルゲームに限らず、人生ってそういう感じですよね。

これを幾度となく繰り返しながら、
シナリオが分岐していくのがノベルゲーム

しかしパワポケは見た目的に、どう考えても野球ゲームだと思いますよね。

実際それは否定できないのですが、実はこのパワポケは「 実況パワフルプロ野球」という据え置き型のゲームから派生し、ゲームボーイやNintendo DSなどの携帯機向けに移行したゲームなんですね。

そしてこのゲームの本質は野球をすることではなくて野球選手を作ることにあるんです!

こういう感じで、選手にはステータスと特殊能力がついています
©Konami Digital Entertainment

なぜ野球をプレイするよりも、選手を作ることの方に重点を持ってきてるかと言うと、やっぱり野球ゲームって基本的にスペックが高いデバイスが必要なんですよね。ボールが飛んできて、打って…となると、画質も高く、処理も高速である必要がありますし。

そのために、携帯機では厳しかったわけです。そこで何をメインにしたかというと選手を育成することに目を付けたんですね。

例えば、初期のパワポケ製作陣のインタビューを引用します。

電ファミニコゲーマーより。
リンクは上部に埋め込み。

でも選手を育成するといっても野球をやりまくって育成してしまうとただの野球ゲームになってしまうので、テキストをベースにしたノベルゲームにしたんです。
例えば、主人公が
「今週はこんな練習をしよう!」
とか、あるいは
「練習をせずに ヒロインとデートをしよう!」とか、
そういう選択肢を選ぶことを通じて、選手を育てていくんです。

パワプロで養われる国語力

パワポケにおいて練習とプライベートの両立はとても大事になってきます。

パワポケにおける野球選手の強さが決まる要素は2つあります。
1つは基礎的な能力です。例えば、走る速さとか、パワーとかですね。これは基本的には練習を繰り返すことによって良くなっていきます。

しかしそれだけではなく、特殊能力という第2のキーポイントがあります!パワポケの世界には、基礎能力を底上げしたり、あるいは相手の能力を下げたりする特殊能力があり、基礎能力と特殊能力が両方ともハイレベルに成立していないとやっぱり強い選手とは言い難いわけです。

強い特殊能力は、普通に練習しているだけだと手に入らなくて、恋人とのデートを通じて、ある日そういう能力が備わったりするわけですね。ここで選択肢が大事になってくるわけです!

例えば、パワポケの中でも屈指の有名エピソードに、こういったものがあります。

ヒロイン「どんなに勉強しても科目でトップはとれない。どんなに練習しても体育は上の下どまり。でもね、変なしゃべり方をする自信過剰の女を演じている限りみんなが注目して喜んでくれた。楽しかったけど、ずっと怖かった。本当の自分がばれたら、きっと軽蔑される。あなただって、正直がっかりでしょ?手品のタネを見ちゃったんだものね!」

主人公「そんなことは・・・。」

ヒロイン「本当のあたしはね、他人の顔色ばかりうかがってるくだらない小心者なのよ。これまでのあなたが知っているあたしは全部ウソなのよ!」

主人公(どうすれば・・・)
A:「それでも愛してる」
B:「幽霊のことはいいのか?」
C:「・・・箱の中のネコだ。」
D:「ウソでもいいじゃないか。」

パワプロクンポケット10より

……改めて、野球ゲームじゃなさすぎますね。

これ、正解の選択肢を皆様は選べますか?
この選択においては、Cのみが正解で、他を選ぶとその時点で、バッドエンドが確定、選手の能力も大幅に下がります。

(ちなみに、なぜCが正解なのかという話は、この記事が詳しいです)

とはいえ、これってちゃんとした選択をするためには、前後の文脈をしっかりと理解しなければ不可能ですよね?

なぜこれをプレイすることで国語力が上がっていくかと言うと、上記のように究極の問いを投げかけられ続ける中で、文脈を理解し、どの選択肢を選んだら良い未来が待っているだろうか、と考え抜いて結論を出さなければならないわけです。

この文脈の理解と、ニュアンスを感じ取るという力こそ、まさに国語力なわけです!

このゲームでは、しっかりと文章を理解しない限りは良い選手を作れないんですね。

さらに、通常ノベルゲームは一度選択をするとそれで終わりですが、パワポケは選手を作るという特性上、比較的短時間で何度もプレイが繰り返されます(まず9人くらい選手を作りたいですからね)
なので、「しっかり読む」という経験が、短時間で何度も繰り返されるという部分もものすごく良いことなんですね。

パワポケで学ぶ「大きな物語」

前述の例からもわかるように、パワポケは普通にプレイしている分にはわからないのですが、何度かプレイしていくうちに、奥深くに、深刻なストーリー、つまり大きな物語が隠れていることが判明していきます。

最初、プレイヤーは表面上のものを楽しむわけです。
野球の練習や恋人とのデートなど、よくある日常を繰り返していくのですが、何回も何回もやっていき、プレイが上手くなると、「パワポケ」という世界に隠された様々な深い物語にだんだんじわじわと気づいていくことになるんです。

これもやはり国語力を上げるために重要なことで、要はただ単に選択肢を選ぶというだけの単純なゲームじゃなくて その裏側に隠された大きな物語とはどういうものか、というのをしっかり推測したり、匂わせられているものをかぎ取っていく、そういう伏線を回収していくという能力自体がものすごく国語力を上げるのに適しているな~と思っています。

今おすすめのゲーム

ただ少し残念なのが上で申し上げた通り、このパワポケは基本的にはゲームボーイやDSでプレイするものがほとんどなので、今の小中学生はそもそもハードを持っていない方が多いと思います(まあ逆に言えば今なら中古で安めに買えるとも思いますが)。

しかしヒントとしては、こういったノベルゲームには国語力を上げるのに大切な要素がたくさん詰まってるなと思うので、せっかくゲームするならノベルゲームをしてみるのが良いのではないでしょうか!

今でもプレイしてきて、僕がオススメできるノベルゲームとしては例えば、

  1. 7 Days to End with You

  2. 十三機兵防衛圏

あたりですかね。

まとめ

お子様にとって、「国語を勉強するということ」=「本を読んだりすること」だと思ってしまうとハードルが高くなってしまうと思います。
しかしゲームを通じ、「何かを選び取る」という行為そのものが「国語」なんだよということを知っていただく機会になってくれれば、と思います!

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