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育児で僕の背中を押してくれた「星の王子さま」

今回は僕が育児をしてきた中で最も僕に影響を与えた作品を紹介します。その作品は誰もが知っているサン=テグジュペリの「星の王子さま」です。僕は正社員ではなく、個人事業主のためどれくらい仕事をするかはある程度自分で決められます。それまでは仕事人間で土曜日はずっと仕事を入れてきました。そんな僕に転機が訪れます。待望の子供が産まれたことで子供と一緒に時間を過ごしたいと思うようになりました。1週間の中で1日仕事を入れないという決断は予備校講師のコマをめぐる激しい競争のレールから降りることを意味しました。ただ個人的にその心配はそれほど大きくはなかったと思います。子供と過ごす時間が長くなることで1、2歳の子供にどれほどの影響があるだろうか。それほど大きな影響はないのではないだろうか。仕事をして経済的に支援することの方が大きな意味を持つのではないだろうか。そういったことが頭をよぎり、ベッドに入ってから、寝るまでの間に考えていたのを今も思い出します。当時はコロナ禍で古典の本を何冊か購入したのですが、その中に不朽の名作「星の王子さま」がありました。この作品が僕にとても示唆に富むことを投げかけたのです。

君のバラが、君にとってかけがえのないものになったのは、君がバラのために費やした時間のためなんだ。人間は、この大切なこと忘れているんだよ。

「星の王子さま」サン=テグジュペリ

この作品のなかで地球にやってきた星の王子さまは数え切れないほど咲いている地球の赤いバラと出会って、最初はとても落胆します。自分の星に残してきた、わがままで手がとてもかかるけれど一生懸命にお世話してきた赤いバラが、決して珍しい花ではなかった。そう考えたのです。そこに現れ、星の王子さまに真理の智慧を授けるのがくだんのキツネです。

「君のバラが、君にとってかけがえのないものになったのは、君がバラのために費やした時間のためなんだ。人間は、この大切なことを忘れているんだよ」

星の王子さまはキツネからのメッセージを受け取って気づきます。いくら他にたくさんのバラがあろうとも、自分が美しいと思い、一生懸命お世話をしたバラはやはり愛おしく、自分にとっては一番のバラなんだと。

僕は幼少期の子供にとって僕が彼と過ごす時間が増えたとしてもそれが「この子にとって」どんな意味があるのだろうか。そもそも覚えていないのではないか。半信半疑の気持ちでいた自分にこのメッセージは突き刺さりました。僕が子供と過ごす時間は「この子にとって」というよりもむしろ「僕自身にとって」かけがえのない時間となり、我が子を特別な存在たらしめるのだと思うようになりました。この作品に出会えたおかげで僕の人生は彩りを増し、豊かなものになったと思います。

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