シナモンパン

毎週、シリーズものと読み切り作品を、1つずつは更新していく予定です。 気ままに書くので…

シナモンパン

毎週、シリーズものと読み切り作品を、1つずつは更新していく予定です。 気ままに書くので、皆さんも気ままに楽しんでください。 今のところは全作品無料で公開する予定ですが、気が向いたらお金をせびるようになるかもしれません。 僕の気が変わる前に最新話まで追いつくことをお勧めします。

最近の記事

学会遠征編ショート版 第27話

CRAZY TIME  今ここにいる僕のホテルは、シーロムの通りにある、明日の学会会場から600mで道一本の好立地だ。対してCRAZYが予約したところはここからもっと西にあるところである。とはいえ2km以内なので全然歩いて行ける。CRAZYの荷物も預けたいのでそちらに向かうことにした。またもや猛烈な暑さの中をかぎ分けるのである。南の方角に歩いていると、そこでは多くの人が路上で物を売っていた。こちら側も向かい側も食べ物や衣服が数多く売られている。中でも我々の目を引いたのが小道

    • 学会遠征編ショート版 第26話

      タイの景色  またタクシー地帯を通り抜け、空港の中に戻った。よく見れば電車の駅への道を示す看板があったのだ。なんだ、やっぱり地下にあるじゃないか。ということで地下に降りた。降りるときはエスカレーターというよりかは、長くて緩い坂のベルトコンベアだった。少しゆっくりできる。CRAZYは自分のスーツケースに腰かけてニヤニヤしていたので、「息子が見たらどう思うだろうな」と皮肉交じりに行っておいた。CRAZYはこれだけ周りを振り回すわんぱく小僧だが、それでも故郷に妻子がいるので立派な

      • 学会遠征編ショート版 第25話

        入国審査  飛行機を降りた瞬間から蒸し暑さがやってきた。これに備えて飛行機にはそんなに厚着せずにいたのだが、もっと薄くてもいいだろう。その服はスーツケースに入っているので荷物回収をスムーズに実行したい。その前に入国審査を済ませる必要がある。長い長いベルトコンベアの途中でCRAZYと再会した。いつも通り元気そうだ。彼は僕以上に出入国には慣れていると思うのでわざわざ言うまでもないが、君はビザも必要だと言っておいた。ケニア人なので入国にはビザが必要である。その後看板の指示通りに移

        • 学会遠征編ショート版 第24話

          機内での出来事  深夜の便ということもあって機内はすぐに暗くなった。手元に読書灯はあるものの、今は寝ることの方が大事であるため、結局本は読まないことにした。帰ってきてからのお楽しみにしよう。自分で膨らませるタイプの飛行機用枕は、ひれみたいなものがついているせいで首に装着すると違和感をまとわせてくる。頭には機内の枕を使用し、膨らませてしまったU字は腰の疲労を軽減するクッションとして使った。ちなみに、初日のフェリーでも試用したが、同じような感想だった。後でしぼませるのが大変なの

        学会遠征編ショート版 第27話

          社会不適合者備忘録 高校編(7)

          野菜  僕の目線から見れば数少ない幼馴染枠である。小学時代から同じくサッカーをしており、他にもスイミングも一緒に行っていた。中学時代も同じサッカー部であり、1年時の途中くらいに塾にも誘ったので付き合いは長い方である。ただし、彼の場合は小中学校の友人ではなく高校の友人として分別している。仲が良くなかったわけではないが、彼を理由に小学校や中学校の同窓会のような集いに参加させられるのを防ぐためだ。彼のスペックとしては、特に劣った点のない、平均的に優秀な人物といったところだろうか。

          社会不適合者備忘録 高校編(7)

          学会遠征編ショート版 第23話

          前半のあらすじ  名古屋市在住の大学院生が学会発表のために出張へ。発表は2本あり、1つは徳島、もう1つはバンコクで行われるが、その2つの学会の開催日が近かったのと、中部国際空港でうまく飛行機の予約が取れなかったことを理由に、途中で帰らず連続で行くことにした。前半では徳島に行き、徳島大学にて無事発表を終えることができた。また、少しできた時間を使って徳島県観光したり、ヤケクソで淡路島に行ったりと旅行を満喫してきた。そんな今は関西空港にてバンコク行きの便を待ち構えている状態。人生

          学会遠征編ショート版 第23話

          学会遠征編ショート版 第22話

          出国に向けて  いろいろあったが無事関西空港に到着することができた。三ノ宮での迷いもあったので予定時刻の21時よりは遅れてしまったが、フライトは翌0:45なのでまだまだ3時間もある。焦る必要などないのだ。ちなみに、タイの学会には研究室から僕とCRAZYの2人が参加する。CRAZYはケニアからの留学生で、現在は博士(ドクター)だ。彼はまだ日本語が完璧ではなく、普段は僕が日常の生活において言語的な補助をしているので、仲はいい。僕は今回初めての海外渡航だったので英語に強い見方を備

          学会遠征編ショート版 第22話

          学会遠征編ショート版 第21話

          移動中の出来事  現在地明石から関西空港までは、在来線で行くとざっと見積もって2時間くらいかかるようである。行き方は何通りかあるようだが、その中でも安いものを使うことにした。僕の調べた中では1,800円で空港まで行けるようだったが、他の高いルートがあると言っても300円程度である。時間的な余裕に関しては気にすることはないので、落ち着いて乗ることにした。JRで三ノ宮まで行き、私鉄の阪神本線に乗り替えだ。とはいえ阪神本線が見当たらない。決め打ちでこれだと潜った改札は行ける駅が違

          学会遠征編ショート版 第21話

          学会遠征編ショート版 第20話

          正しい時刻  こうして正しい時刻の町、明石へ辿り着いた。到着直前に科学館っぽい建物を見かけたが、あれはおそらく日本の標準時子午線について取り扱っているのだろう。改札を出てすぐのところで父親が待っていた。白い上着を着ていて、目立つ格好ではないがすぐに合流出来た。僕は徳島や淡路の名残で涼しいかっくおをしてただけに寒くないかと聞かれた。上着は持ち歩いているので問題ない。合流出来たことを母に報告するために写真を撮りたいと言われ、顔ハメの写真スポットまで行った。看板の隣に立って1枚。

          学会遠征編ショート版 第20話

          学会遠征編ショート版 第19話

          悪あがき  クゥちゃんから返信がきた。やはりここは写真だけでも興奮するらしい。植物園も見どころだとのことだったので、そこまで行ってみることにした。たしかに、その室内は生い茂っているようだ。気になったので中に行ってみたら、もちろんだが入館料がいることが判明した。もちろん安くない金額である。どれくらいの時間で見て回れるのか聞いてみたら、だいたい40分くらいと言っていた。確かに、見てみたい。大ボリュームなコンテンツになりそうだ。しかし、自由に使える時間はあと20分くらい。敢無く断

          学会遠征編ショート版 第19話

          学会遠征編ショート版 第18話

          淡路島へ  結局、数十分は待合室でじっとすることにした。とはいっても、持ってきた本は昨日の時点で読了してしまっている。まさか、2冊目が本当に必要になるなんてと思いながら、その2冊目を少し読んだところで約束の時間がやってきた。今度は自分の名前が名簿に書いてある。券を買うときに支払いも済んでいるので、スーツケースをはらわたに詰めて指定された席へ乗り込んだ。通路側で、隣は寝ぼけたおじさん。ここが始発ではないので既に何人も乗っていたということだ。ひとまずは安心だ。これでやっと移動が

          学会遠征編ショート版 第18話

          学会遠征編ショート版 第17話

          概要  徳島のあれやこれやを楽しんだ3日目。4日目は四国を離れ、次のバンコクの学会に参加するため、体制を整えなおす1日となる。 起床  朝起きて、朝食をとるところまでは3日連続同じ流れだ。もはや実家だ。ゆっくり食べる僕の隣に座る若い2人は、観光客だろうか。昨日1日で写真を50枚くらい撮ったと見せ合っていた。僕のアルバムは、近々整理した方がいいだろう。容量はまだ大丈夫そうだが、写真を見返すのに時間がかかりそうだ。さて、今日の予定はある程度決めてきた。9:15の高速バスで徳

          学会遠征編ショート版 第17話

          学会遠征編 前半のおまけ

          前半の総括  2024年3月13日から20日までの8日間、徳島とタイの学会に行ってきました。人生初の学会に人生初の四国入国・海外旅行と、刺激的なイベントが多かったため、思い出が色あせないうちに冒険の書に記録いておこうと思いこのシリーズを執筆することにしました。文章を書いているうちに楽しくなってしまい、書きたいことが横から横へとどんどん沸いてしまったせいで、1日あたりの分量が長くなってしまいました。このおまけを執筆している時点(2024/4/22)ではまだ4日目までしか更新し

          学会遠征編 前半のおまけ

          学会遠征編ショート版 第16話

          ホテルに戻って  ホテルに帰る道で、別のバーを見つけた。いや、さすがに寄らない。鍋屋もあったが、お腹いっぱいだ。帰ってきたのは21時より少し前。まだまだ早いと言えば確かにそうだが、22時から彼女と電話する約束をしていたのでもうお風呂に入ることにした。その前に洗濯でもしようかと一度1Fに降りたが、すべて使用中だった。ホテルの向かいに銭湯もあったが、今回は行かないことにした。ホテルのユニットバス、通称ユニバで十分だ。少しでも疲れをとるために湯船につかることにした。出た後に風呂掃

          学会遠征編ショート版 第16話

          学会遠征編ショート版 第15話

          夜の徳島  池谷駅は乗り換えができるので他の駅よりやや広いのだが、それでも無人の駅であり、僕の後に男子高校生が一人やってきたくらいだった。時間には余裕があるので読書の続きでもして待っていたら、電車の時刻になっていた。本に夢中ではあったが、音で電車が来たことが分かる。向かいのホームにだ。焦っていたので確認していないが、多分あれに乗らなければと思い、急いで歩道橋を渡った。さすが田舎の電車。見込み客がいれば若干待ってくれる親切さを持ち合わせている。これは地元の電車でもそうだった。

          学会遠征編ショート版 第15話

          学会遠征編ショート版 第14話

          帰りの寄り道  外へ出て早速1個は食べた。もう一つはうまいこと保管して、誰かしらにあげようか。外には、来たときは無視していたがベートーヴェンの像がある。撮影スポットなのだろうが、一人での参上なので僕は被写体にならなかった。喉が渇いたのでもう一度道の駅店内に入った。何かノンアルコールの飲み物…と探していると見つけたのはすだちジュースのカンである。ショート缶か、炭酸入りのロング缶。より徳島らしさを追求するなら、すだちの骨の髄までしゃぶれる長い方に決まる。当然ながらふたを閉められ

          学会遠征編ショート版 第14話