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INTJ  ESFJの地雷を踏む

私は16タイプ性格診断のINTJを自認しています。ネットによる心理機能の働き具合をみるテストでは、Se(外向的感覚)の次にFe(外向的感情)が低い値を示します。というか、どちらもどっこいどっこいです。  

仕事中は、職務の遂行および業務目標の達成のためFeを用い、コトを円滑に進められるよう勤しんでいます。なので、仕事の場面においては、周囲のスタッフと協調しながら、概ね良好な関係を築きながら働くことが出来ています。(多分ですが…)                

ところが、これがプライベート、OFFモードになると、途端に気が緩んでINTJの素がのぞき出し、Fe的配慮というか、周囲の状況を慮ったり、誰かのために気を回すことが疎かになりがちです。                  

つい先日も、ESFJさんの地雷を踏んでしまうことがありました。自戒を込め、以下にその出来事を記してみたいと思います。           

とある日のこと。知人のESFJさんが、親切心から私含め数人に対しこのような提案をしてくれました。「これから駅前の薬局に行って薬を取ってくるから、その帰りに駅ビルのトンカツ屋さんに寄って、みんなの分のロースカツを買って来ようと思うけどいい?」と。私はその呼びかけに対し「あ、私はコロッケにしてください。」と即座に答えました。と言うのも、私は前日にカツカレーを食べており、2日連続のトンカツを回避したかったのです。                                  

ESFJさんは「あそこのお店はコロッケも売っているの?トンカツもおいしいからきっとコロッケもおいしいわね。」と私の返事を愛想良くとりなし、ポジティブに返してくれました。                              

しかし、瞬間、ESFJさんの朗らかな返答の端に「小さな引っかかり」があることを私は察知しました。「ええ、コロッケだけでも色々な種類があって、アスパラとかホタテのクリームとかあるんですよ。あ、私以外はみんなロースかつで良いですよね。あそこのお店はどれもおいしいのでホントは私もどれでもいいんですけど…。」私は、前言撤回も出来ずその場を取り繕って切り抜け、ESFJさんが薬局へと出かけるのを見送りました。                              

その後、ESFJさんから垣間見えた「小さな引っかかり」の正体について、私は無意識に詮索をし始めました。ESFJさんのの第一機能はFeです。なので、そこにいるみんなの分のロースカツを買ってくる=「みんなでひとつのものを共有したい、おいしさを共に分かち合いたい。」 という気持ちが第一にあったのでしょう。加えて、Feは、他者や集団における関係性に価値や重きを置く判断機能であるため「私はコロッケがいい」という発言が、集団の調和を乱す自己本位な行為とESFJさんの目には映ったかもしれません。                      

一方で、INTJの私は、むしろ「自分の食べたいもの」をあえて主張することで相手に対する「親愛の情」を表している向きがあります。INTJはFeの働きが弱く、不得意なので、到底オープンマインドとは言い難い性分です。個人差はあるでしょうが、基本的に目の前の相手が信用に足りるかどうかを見極めるまでは、自分の本音を不用意に語ることは好まないと思われます。心の扉は閉じられているのが標準仕様です。なので、気心の知れた相手にノーガードで本音を放出することは、INTJ者にとっては貴い行為であり、信頼の証、心を許している証拠だよ、と振る舞いをもって暗に伝える節があります。ただ、「暗に」なので真意は相手には伝わらず、周囲に気を遣わない無遠慮な発言と受け取られてしまうことがしばしばあります。            

では、ESFJさんに頻繁に見られる、このFeらしい感情の発露とは、一体どこから生まれて来るのでしょう。脳科学的にいうと感情は大脳内にある辺縁系のなかの扁桃体の活動によってもたらされています。感情を司る扁桃体は、人類の早い段階から発達した機能であり、なかでも、共有し、分かち合うことで得られる幸福感は、人類が狩猟採集や農耕により共同体を存続するための生存戦略において必要不可欠な感情であったに相違ありません。「みんなと同じ、他者と一緒であること」が共同体の一員である証であり、それによって人は安心感や一体感、喜びを得ることが出来たのだと思われます。

よって、Feの起源とは、人が集団で営み始めた時代、いや、それより更に前まで遡ることでしょう。また、ESFJの本質とは、心理機能の順番、第一機能Fe、第二機能Si(内向的感覚)、第三機能Ne(外向的直観)からも「未知の新しい経験を、みんなで一緒に味わい、記憶すること」つまり「集団で経験値を積む」ということにあり、それは、人類が知恵を身に付けそれを蓄え伝承してゆくにはとみに効率の良い振る舞いであったのだと思われます。
                                  一方、INTJの心理機能は、第一機能Ni(内向的直観)、第二機能Te(外向的思考)、第三機能Fi(内向的感情)なので、Ni-Teの協働により「人は人、自分は自分」というスタンスが強化され、加えて、第三機能、Fiの「人は個々の価値観を互いに尊重すべし」という価値観とが相まって、Ni-Te-Fiによる「自分がやりたいと思うことを私は実行したい」という信念に至るのではないかと考えます。これは、Fe的価値観とは対極をなすため、お互いの価値観を心から理解することは難しいかもしれません。

また、これらNi、Teの起源については、思考や直観が主に大脳の外側(大脳新皮質)で活発に働くことから、言語の獲得や火の使用等、複雑な知性の誕生に際して飛躍的に発達した機能だと推測されます。感情と同様に、思考や直観もまた、人類の進化と生存戦略において欠くことの出来ない機能であったことは間違いありません。感情と思考、別々の機能を得意とする異なるタイプが存在したからこそ、人は高度で複雑な進化を遂げ、様々な文化やお国柄といった多様性が生まれたのかもしれません。

ついでに、「INTJ的共有感」をもし例えるならば、「みんなが違う食べ物を選択し一口ずつ味見をすることで異なる複数の価値を共有する」がフィットするような気がします。INTJの場合、1つのものを分け合うことよりも、異なるものを互いに持ち寄り共有し合うことを良しとする観念が強い気がします。INTJが好むパターン化を促進するためには、より多様な情報をたくさん取り込む必要があるため、必然的にこのような意思が働くのではないかと推測します。                    

ということで、私はESFJさんが外出している最中も、取り止めの無い自動思考が作動していたり、「大人として普通はトンカツって言っておくものだよな…。」とグルグルああでもない、こうでもないと、想念が反芻していました。   

頭のなかでグルグルしていたところ、ESFJさんが、みんなの分のトンカツと私のコロッケを買って帰ってきました。そんなときでも、もしかしたらアスパラクリームコロッケとかホタテクリームコロッケとか買ってきてくれていないかな、と図々しくも淡い期待を抱いてしまう自己本位な私…。しかし、ESFJさんが私に買ってきてくれたのは、シンプルでお値段も一番お手頃な「ポテトコロッケ」2枚だったのでした。

私は、このとき、ESFJさんには「小さな引っかかり」が紛れもなくあったこと、不覚にも私はESFJさんの地雷を踏んでしまったことを悟りました。そして同時に、Feの取り扱いの難しさをつくづく感じ入ったのでありました…。             

   
                            

                                                        



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