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本当の勝利至上主義とは?

今年もセンバツが終わりました。
群馬県に初めて春の優勝旗をもたらした、健大高崎高校。
素晴らしい試合でした。

少し古い話になりますが、令和4年度の高校野球選手権は、悲願の東北勢初優勝で幕を閉じました。
優勝したのは仙台育英高校。準優勝は下関国際高校。
両校とも私立高校です。
私立高校は、全国から優秀な選手を集められます。
これが批判の的になることがあります。
高校野球では地元の代表という意識がファンの中にはまだまだ根強いので、メンバーの大半が県外からの「越境組」となると、県民の代表というイメージが崩れるからでしょう。

それに加えてそういう選手の集め方そのものが「勝利至上主義」だと言われて批判の対象になります。
確かに、準優勝の下関国際のベンチ入りメンバーを見てみると、兵庫5名、広島4名、福岡4名、大阪3名、和歌山1名で、地元出身者は1名しかいませんでした。
まさに「越境組」が主力のチームです。
ちなみに優勝候補と目されていた大阪桐蔭は18名中14名が県外出身者でした。
これでは選手を広範囲で選手を集めることができない公立高校は歯が立ちません。
この年は、今年は県立の高松商業が活躍しましたが、ベスト8で私立の近江に惜敗しました。私も公立高校が出場するとつい応援したくなるのは確かです。

でも、「勝利至上主義」にこだわるのは果たして私学だけだろうかと思います。
設備も充実し、選手も全国から集められる私学が「勝利至上主義」だと言われるのもわからないでもないですが、それを批判的に捉える側が「金をかけて、人まで集めるのだから勝って当たり前だ。こんなことをしていたら公立学校は勝てないじゃないか」という意識にも違和感を覚えます。
それは、結局「勝つこと」が一番大切だと思っているからじゃないのかと思うからです。

本来高校野球は、勝つことは目標ではあって目的ではありません。
選手がその二つを混同しても仕方がないとは思いますが、指導者や周囲の大人が「勝つこと」を目的にすべきではないと思います。
どんなに条件が違っていたとしても、勝つためにどんな努力をどれだけしてきかを評価すればいいわけです。
私学をうらやんでいる人は、やっぱり勝つことを強く意識していることに変わりがないのだと思います。だから、私学が人を集めることが許せないのでしょう。

そもそも、私学がどんなに選手を広く集めていようと、それが勝利至上主義であるかどうかはわかりません。
勝利至上主義が批判されるのは、勝つことだけを目的とするからです。
そうなれば、負けた瞬間に目的は消滅します。
勝つことを手段としてきたか、それとも目的としてきたかは、負けたときにはじめてわかるものです。

負けた後に、指導者や周囲の大人が、生徒たちに本当の「目的」を伝えてやれるかどうか。それが勝利至上主義かどうかの分かれ目だと思うのです。

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