夏草
<夏草>
草の成長エネルギー
太陽から光と熱を受け取って
身を鍛え上に伸び下に潜る
夏草は抜いてもむしっても刈り取っても
再び生えてくる
根がある限り、種ある限り
何度でも生まれ直す
黒光りする太陽光パネル
耕す人が消えた田畑や山裾に入り込み
風雨にさらされ埃をかぶりながら電気を生み出す
賢い人が生み出した技術の結果なのに
親しみや敬意が湧かないのはなぜだろう
二十数年の耐用年数を超えるとゴミとなり
また別の黒いパネルがやってくる
その年月の間に人はもっともっとと電気を欲しがり
黒いパネルの働きも一層せわしくなる
夏草は発電パネルの下にも生える
コンクリート地盤の割れ目から
地下に打ち込んだ杭の隙間から
再生し続ける夏の草
交換され続ける黒パネル
陽は昇り陽は沈み
再生し続けるもの、死に続けるものが並んでいる
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