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簿記を学ぶ利点

私は社会人一年目に簿記と法律を学んだ
一般の進学校から高卒で公務員になった時の話である

その時まで簿記などというものには触れたこともなく
商業高校くらいでしか経験しない科目であることくらいしか
自分の認識にはなかった

社会人経験を積めば積むほど
社会に出たあのタイミングで簿記・法律を学ぶことが出来たのは
本当に幸運だったと思う

法律についてはまたの機会にお話するとして
今日は簿記を学ぶ有用性について話していきたい

私は日商簿記 2級の資格を取得している
同資格があれば一般的な企業簿記は問題なく対応できる
製造業の原価計算から株式発行に関わる期中・決算仕訳まで
要は企業経理を担当することが出来る資格なわけである

ではそもそも簿記とは何か?
簿記とは帳簿を記述する知識及びその技能である

では帳簿とは何か?
個人・企業問わず事業を行うのに必要な
金を含む資産・売上・費用管理を明確にするためのものである

なぜ明確にする必要があるのか?
元々は営業状況を管理し見通しを立てるためのものであったが
社会が醸成した昨今では株主などのステークホルダーに
業務状況を開示し明確にするためのものとなっている

特に株式会社などの株式市場から資金を集めている企業にとっては
株主となる出資者が会社の資産状況や利益構造を知る上で重要な情報となる

これだけ機械化が進んだ世の中でも
簿記の分野は基礎知識がなければ理解することが難しく
また簿記の基礎知識は一般の勉強とはかけ離れて専門的であり
そもそも理解するのに時間がかかる分野である

古代ローマ時代から単式簿記という単純な記述の方法は
確立されていたという
その当時から単純な粗利計算などはすで行われており
採算の計算がなされていたことがわかる

14世紀に入り複式簿記の概念が浸透し今日に至っている
複式簿記は総勘定元帳を主軸として各補助元帳がそれぞれの科目を管理し
すべての資産・負債の出入りを管理することが出来るようなった
これをドイツの劇作家 ゲーテは
「簿記は人間が生み出した最高の発明の一つ」と称するほどだ

簿記を細かく解説することはいくらでも出来るが
それを万人に伝わるように話すことは難しい
なぜなら普通に生活しているだけでは
簿記の概念そのものに触れる機会はほぼないに等しいからである

ではそんな専門的な知識をなぜ学ぶ必要があるのか?
企業会計に関わる人間以外には不要に思える知識であるが
簿記知識で理解できるのは何も企業会計についてだけではない

国の資産や負債
そして税収と支出
つまり国の財政についても理解することが
出来るようになるわけである

一般的には何かを買えば資産が減るとイメージするかもしれない
例えば1000円持っていて
100円のコロッケを買えば100円という資産を失ったように感じる

しかし簿記の世界では資産の減少は発生していない
100円という現金勘定は目減りするが
コロッケという資産が手に入っている

もちろんコロッケは当日中に消費することになるだろうが
その時点で資産が消滅しているのに過ぎないし
コロッケが自分の血肉になることまで考慮すれば
資産の減少とは言えないかもしれない

国の財政も同じで税収という収入が
国の各支出と連動している
日本の税収は国債に依存しているから
支出に対する国債の発行割合が多ければ
結果的に国の借金がという論法になる

しかし国債を発行してもそれを請け負う人が
いなければ現金(キャッシュ)は増えない
では誰が国債を請け負うのか
その大部分は日本銀行もしくは市中銀行である

もちろん一部は個人向け国債として国民が
債権を持っているし銀行に預けているのは
国民の金である以上
その金が国債に代わっているという一面はある

だからといって国民が直ちに借金を負っているというのは
間違った認識である
経済学者が盛んに言っている割りにマスコミ報道では
なぜか国の借金を国民一人当たりで割り算するクセがあるようであるが
これは政府の借金であり国民の借金ではない

国民からすれば回りまわって債権なのであって
国から元本を返してもらえば良いだけの話となる

もちろん債務不履行を生じるようであれば
当然デフォルトする可能性もあるが
国際通貨を発行できる国であり
海外から金を大量に借りているわけでもない

しかも人間個人と違って寿命というものがほぼ存在しない以上
いくら借金をしたとしてもそれを返し切る必要性すらない

そんなことを言えば内部腐敗を招いて
ハイパーインフレで金が紙くずになるなどと言う人がいるかもしれないが
それは違う

マイナー貨幣ならばまだしも
円は国際信用度の高い資産物で
買い手はいくらでもいる
それほど安定的な価値がある

日本国内の資産は推定 1京2,400兆円超もある
国の国家予算の114年分に相当する

つまり国の運営がすべて国民からの借金であったとしても
100年は余裕で賄えるだけの資産を持っていることになる

国が行う事業や公共サービスは国民のために実施されている以上
一部の国民や企業には多大な恩恵を与え
利益はさらに資産を増加させている

政府の借金が増えても
使った金で国内の個人・企業が儲ければ
さらに借金を負担するだけの担保となる

だったら税収で賄えば良いのでは?と思われる方もいるかもしれない
それもまた少し違う

税金は企業・個人の対象者すべての所得を直接目減りさせる効果があり
消費そのものに直接影響を与えるため国内消費を大きく冷え込ませる
国債は銀行を含む流動資産の中でしか動けない性質上
発行してもただちに経済に影響を与えるものではない

もちろん日本銀行が国債を引き受け現金を政府に供給し続けていても
国債には利息の償還が発生する以上
元本を減らさねば余計に国債依存度を高めてしまう

とはいえ国の予算規模と国内資産総額にここまでの乖離があるのであれば
経団連を抱き込んで溜まりに溜まった企業の内部留保を吐き出させる
法改正を急いで国内消費を加速させるべきだ
利益剰余金を取り崩させ給与ベースを引き上げインフレ率を上昇させれば
物価は高騰しても国民が貧しくなることはない

だいぶ国の経済に話が偏ってしまったが
簿記を知れば国の財政についても素人がこの程度のことを
理解出来てしまうものだ

キャリアアップを考えているすべての社会人よ
何を勉強したら良いかわからなくなったら
とりあえず簿記を勉強してみることをお勧めする

活用先はいくらでもある貴重な知識であることに
必ず気が付くことが出来るから

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