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期限間近

最近 パートで入ってきた彼女は64歳
「もう一度 この仕事がしたい」
その情熱は凄まじく誰よりも早く出勤して誰よりも
朝から走り回っている
そんな パワフルでやる気にあふれた彼女に対し上司の態度は冷たい
「いくつになるまで仕事する気かしら?」
 ちょっとした失敗に対し”出来ない人”と
レッテルを貼り 雑用ばかり押し付けたり 何かあればすぐ その人がやったのではないかと疑いをかけたり…

さすがの彼女も周囲に愚痴をこぼすようになってきた

 年齢を重ねてからの再就職や新しい事の取り組みは
必要以上に気を遣う
若いときには考えもしなかった
環境に馴染めるか?
周囲とうまくやれるか?
そんなことよりも 仕事をいち早く覚え
誰よりも その場所で役に立ちたい
必要とされたい  喜ばれたい…

”自分を認めてほしい”

私には わかる
承認要求? それだけじゃない
 それだけじゃないんだ  きっと…
私には わかる
仕事に対する熱意は失くなってしまった
はずなのに 彼女の焦る気持ちが わかって
わかってしょうがない

自分にとってこの仕事が いつまで出来るのか?体力の続く限りいつまでも大好きなこの仕事を続けたい 役に立ちたい
そう願う彼女に対し 周囲は あくまでも
厳しく 冷たい
ねぎらいの言葉一つもない

それでも 私にとっては まぶしいくらいの情熱を胸に
彼女は今日も走り回る


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