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ハーブ療法と自然破壊【後編】


意外かもしれないキュイが、薬を作ったりエキスを抽出するために野生植物を採集することは、いくつかの種にとっては紛れもない絶滅の脅威になっているんだキュイ。

中国医学科学院薬用植物研究所の陳士林教授によれば、中国の絶滅危惧種のうち、伝統医療に用いられているものは3,000種にものぼるらしいキュイ。先ほど話題にした麻黄も絶滅の危機にあるキュイよ。

中国は植物種が多い国だけど、環境汚染や無計画な乱獲により、絶滅危惧種が急増してるキュイ。しかも、漢方は根が原料になるものが多く、文字通り“根こそぎ”採取されるため、根絶やしになってしまうんだキュイ。また、果実を使うものは種ごと使うので、種を残せないことが問題になってるキュイ。

世界野生生物基金のアラン・ハミルトンの研究結果によると、採集されるせいで絶滅の危機に瀕している薬用植物は、3,000種から10,000種と推定されているキュイ。

たとえばヒドラスチスというハーブは、 生息地である広葉樹林が破壊されたために絶滅の危機に瀕してるキュイ。そのうえ、さまざまな症状の治療に役立つと言われているせいで広く採集され、危機がいっそう深刻化しているキュイ。

ヒドラスチス

ところが馬鹿げたことに、ヒドラスチスが多少とも何かに効くことを示すたしかな証拠はないんだキュイよ。

また、アロマセラピーの精油で知られるローズウッドは、絶滅危惧種の代表格キュイ。インドやマダガスカル、アマゾン川流域などが原産地で、高級家具や楽器の原料などにも用いられることから乱獲伐採•盗伐されたため、2017年1月にワシントン条約によって完全輸入規制がかかってるキュイ。

その地域にしか生息しない、希少といわれる植物は生息数が限られるため、需要が増えれば当然絶滅が危惧されるキュイ。

一方、栽培植物のエキナセアには絶滅の危機はないキュイ。ところが絶滅危惧種のテネシー・パープル・コーンフラワーはエキナセアと良く似ているため、誤って採集されてしまうことがしばしばあるキュイ。あるジャーナリストはこれを、ハーブ版の「無の民の巻き添え被害」と呼んだキュイ。
(テネシー・パープル・コーンフラワーは集中的な保護の努力により、2011 年からは絶滅危惧種のリストに載ることはなくなってるキュイ)

(左)エキナセア(右)テネシー•パープル•コーンフラワー

まだレッドリストには挙がってはいないけど危惧されているのが、抗炎症作用と抗腫瘍作用があると人気のフランキンセンスだキュイ。樹液から採取するので、木に傷がついてダメージを受けやすくなるキュイ。ローズウッドやサンダルウッドと同じように、木が成長するまでには20~30年かかるから、今のまま乱獲状態が続くと危ないキュイ。フランキンセンスの原産地は難民が多いソマリア地域で、現地の人はお金になるならと無計画に樹液を採取してしまうキュイ。

未開発の地には優れた効果効能があるものが少なくないけど、一方で貧困問題や内戦が多くて、それが無計画な乱獲や盗伐、密輸などにつながってるキュイ。このようにさまざまな問題が関わっている場合、解決は非常に難しいところキュイね。

知らなかった。そんなことになってるんだ。

でも少しずつだけど、テネシー・パープル・コーンフラワーのように、政府や企業、NPO団体の働きが形になってきてるんだよね?

特にヨーロッパの化粧品会社は環境保全に対する意識が非常に高くて、さっき言ったように、独自のプランテーションを作って保護活動を行っているケースもあるしね。

絶滅危惧種が騒がれると「そういったものは一切使わない」という極論に走りがちだけど、まずは絶滅危惧種があるという現状をしっかりと認識するのが大事だね。

当たり前に身近にあるって思っちゃうけど、自然由来ならどこかに生えていたものなんだもんなぁ。資源は有限なんだ。

どういう経緯を辿って製品になってるのかを調べるというのは、安全性の確認になるだけでなく、SDGsの達成のためにも個人がやるべきことだと思うよ。

素晴らしい心がけキュイ!キュイもそうするキュイ😆

それじゃあ、ハーブ薬を利用する際の注意事項キュイね。たくさんあるから、少しずついくキュイ。

まず、ハーブ薬は普通の薬局や、ちゃんとした漢方薬局で購入することだキュイ。そのほうが、汚染や混ぜ物のない良い品質の薬を売っている可能性が高いし、責任あるアドバイスも受けられるだろうキュイ。さっきも言ったように、ネットでは買っちゃダメキュイよ。

特に中国から来る植物性薬品は、品質がバラバラだキュイ。考えられるかぎりの重金属が含まれ、汚染されてるものだってあるキュイ。

また、伝統中国医学で「朱砂」や「丹砂」と呼ばれ、鎮静や催眠を目的として現在も使用されている、成分のほとんどが辰砂だという製品もあるキュイ。辰砂は水銀塩で、水に難溶な化合物だから毒性は低いとは言われているものの、かつてインドや中国では、辰砂を不老不死になる「賢者の石」として服用していたため、大量摂取した中国皇帝が長生きできなかったという皮肉な実話も伝わっているほどキュイ。それに、可溶性の鉛塩でひどく汚染された辰砂も見つかってるキュイ。そういったものが一般に流通してるキュイよ。見分けるのは困難キュイ。

チャイナタウンに行って赤い小さな錠剤を買って飲み、うかうかしているうちにじわじわ自分を毒殺してしまうなんて、まっぴらごめんキュイよ〜。

アーユルヴェーダのハーブ薬もそれと同様、重金属に汚染されていることが多いようだキュイ。2003年にボストンの医学研究者たちが、地元の店を片端からまわって70種類のアーユルヴェーダのハーブ薬を購入して検証してみたキュイ。

すると、十にひとつは標準的な安全基準を上まわるヒ素を含み、最悪の場合では許容レベルの200倍ものヒ素が含まれていることが判明したキュイよ。また、十にひとつには許容レベルを超える水銀が含まれ、最悪の場合では、勧告されている安全レベルの1,000倍にも達していたそうキュイ。

とりわけ懸念されるのは、五つにひとつの商品に、許容レベルを超える鉛が含まれていたことキュイ。最悪の場合では、勧告されている安全レベルの10,000倍以上もの鉛が含まれていたそうだキュイ。

なぜアーユルヴェーダのハーブにはこんなにも重金属が含まれてるんだキュイ?それは、汚染の場合もあるが、あえて添加されたものもあるんだキュイ。そうした物質は、正しく用いれば良い治療効果があると、アーユルヴェーダでは信じられているからだキュイ。

また、ハーブ薬に期待される効果を持たせるために、わざと医薬品を混入したものが市場には流通してるキュイ。

おそらくもっとも広くゆきわたっている汚染物質は、期待される効果を出すために湿疹用のハーブ薬に添加される副腎皮質ホルモンと、性欲増進のためのハーブ薬に添加されるバイアグラだと言われるキュイ。

何度も言うように、多くのハーブ薬には効き目が全くないかもしれないんだキュイ。業者の方もそれを知ってるキュイ。

でもそこに、こっそり医薬品が忍び込ませてあれば、製造業者や小売業者には夢のシナリオになるキュイ。製品はあいかわらずナチュラルだと思ってもらえるうえに、期待される効果が上がる可能性が高いからだキュイ。

わかったよ、ネットや怪しい店ではハーブ薬は買わないよ。それにしても、重金属が混ざってるなんて怖いな。

でも、効果を高める医薬品が混ぜられてるのって、そんなにダメなことかな?本人はナチュラルだと信じていて満足できるし、単なるプラシーボじゃなく効果がそこそこあるなら、それはそれでいいんじゃない?

倫理的にはダメだけど、なんの効果もないモノを売りつけてくるよりは、まだマシかなって。
どうしても標準医療を受けたくないって人もいるから、そういう人に向けての必要悪なんじゃないかと…。

まあ、そう思えるならそれもアリかもしれないキュイが、自然と一体になりたいんじゃなかったっけww。知らなければ、騙されたままでも構わないクチ?しかも処方薬よりも高い金を払って?キュイだったら悔しくて許せないキュイ‼︎

そもそも、そういうまやかしには深刻な問題があるキュイ。そうとは知らずにハーブ薬を飲み、予期せぬ危険(服用しているほかの薬と干渉する恐れ)に身をさらすことがあるからだキュイ。

本人は医薬品を服用しているとは夢にも思っていないので、なにか不都合が起きたとしても原因がなんなのか、医師にも本人にも分からないという厄介な状況になりかねないキュイ。原因が分からなければ、適切な対処ができない可能性があるキュイ。

あるいは、特定の医薬品にアレルギー反応を起こすという理由でハーブ薬を使っているのに、もしもハーブ薬がその同じ薬で汚染されているなら、患者は避けようとしたまさにその薬を飲まされることになるキュイよ。

言われてみれば、たしかにそうかも。だいたい、なにをどれくらい含有してるのかわからないものを、それだけのリスクを冒して摂取する必要はないのかもね。

そう考えると、ハーブ療法をどうしてもしたいなら、品質が安定してる信頼のおけるお店を探す重要性がますます高まってくるな。

もしそれができないのなら、適正な量を服用しているかどうかをある程度把握するために、粉末になった葉や、茶、個別化されたハーブ薬ではなく、錠剤を服用した方がいいだろうね。そして、ハーブの摂取量が多ければ多いほど有害効果の危険性も高まるので、用量はきちんと守らないと。

さすがキュイね。わざわざ説明しなくても、きちんと理解してくれるキュイ。

次に、医薬品の場合でもそうだけど、妊婦や子ども、高齢者に対してハーブ薬を用いるときはとくに注意が必要だキュイ。

特に子どもは自らの意思で治療方法を選べないので、親が子どもに良かれと思い、ハーブ薬を選んで(効果がないにもかかわらず)継続使用しているうちに、標準医療を受けるタイミングを逃す可能性があることは念頭に置いておいて欲しいキュイ。

そして、医薬品を既に服用している場合は、その薬とハーブ薬とのあいだに相互作用が起こる危険性があることに注意だキュイ。

そっか。子どもにハーブ療法を用いる場合は、通常の医療を受けさせる時よりも、より多くの注意と責任が親にかかってくるんだね。

たしかに、医師の判断に従ってるわけじゃないから、すべて親次第なんだ。自分のことならまだしも、子どもになにかあったら、やりきれないな。

それに、ハーブ薬でも医薬品と干渉することがあるの?知らなかった。

ハーブだって化学物質を含むから、薬効を阻害することはあるキュイ。

例えば、抗鬱効果をもつとされるセントジョンズワート由来のハーブ薬は、抗HIV剤と抗ガン剤のいくつかを含む処方薬の半分以上に対して、効果を抑制する可能性があるキュイ。このハーブは、肝臓内の酵素の働きを良くすることで、他の薬が効きはじめる前にそれを破壊するんだキュイ。また、薬を胃腸から運び出して血液に乗せる輸送メカニズムも抑制するキュイ。

つまり、破壊するか、輸送メカニズムを阻害するという、2通りの方法で他の薬に災いを及ぼすんだキュイ。

スウェーデンとイギリスの関係当局は、経口避妊薬を服用している女性は、セントジョンズワートを使わないように注意を促してるキュイ。
というのは、このハーブが避妊薬の正常な作用を妨げたために妊娠した例がいくつかあるからだキュイ。

同様に、セントジョンズワートは臓器移植の際に用いられる免疫抑制剤 《シクロスポリン》の作用にも干渉するため、腎臓移植を受けた患者がこのハーブを使用することに懸念の声が上がってるキュイ。

腎臓と膵臓の移植を受けてシクロスポリンを服用中に、抑鬱の治療薬としてセントジョンズワートを自己判断で飲みはじめた女性患者がいたキュイ。

それにより血液中に含まれるシクロスポリンが減少し、移植は成功していたのに、腎臓と膵臓の機能がともに低下したんだキュイ。

女性はセントジョンズワートを飲んでいることを医師に告げていなかったため、医師は何週間ものあいだ、その理由が見当もつかなかったんだキュイよ。

で、ハーブ薬の服用が判明すると医師はすぐに服用中止を女性に求め、血液中のシクロスポリンのレベルを上げるために力を尽くしたんだけど、時すでに遅かったキュイ。残念ながら、移植した腎臓は拒絶され、この患者は透析治療に戻らなければならなくなってしまったキュイ🥹

わかった。ハーブ療法を取り入れる際は、かかりつけの医師や、家族など自分の健康にかかわる人に、きちんとその旨を伝えるよ。

で、なにかあれば真っ先に医師に相談することにする。

そうキュイね。医師とのコミュニケーショがしっかりしてれば、処方薬を独断でやめることもなさそうキュイね。

キュイはハーブ療法を否定はしないけど、わざわざ勧めないのはこの点があるからキュイ。

効果のある標準医療の薬をやめて、ハーブ薬に切り換えたとき、もしもそれが効果のないものなら(ほとんどがそうだが)、病状はほぼ間違いなく悪化してしまうキュイ。

さらに、そのまま標準医療にかかるのをやめてしまえば、悪化を食い止めるすべもないまま手遅れになるという最悪の状況が怖いんだキュイよ。

そんなに心配しなくて大丈夫。注意点など、キュイにかなり教えてもらったからさ。

なおは、理解が早いから大丈夫だとは思うけれど。まあ、役に立てたのなら良かったキュイ。

じゃあ、近くに美味しいハーブティーを出す専門店があるから、そこでお茶でもしよっかww

おっ!さっそくハーブ療法だねw
行く行く〜🫖💕


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