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(改)披露宴出席で失敗した話

突然ですが皆さんは、冠婚葬祭の達人ですか?
式中、何か想定外のことが起こっても、絶対大人対応できますか?

これは結婚式に参列して失敗した、まだ20代の頃の失敗談です。

数年前、コロナ禍なんて全くなかった頃。
親戚のお兄さんが結婚するというので、参列のため両親と現地へ前乗り。
前日は気楽に、名所をまわって観光三昧。
こんなオシャレなところで結婚式参列だなんて、楽しみ〜と浮かれていました。

場所は洋館立ち並ぶ町。
翌日、新郎両親である叔父夫妻とオシャレなレストランでパスタを頬張り、お昼終了。
あとは会場ホテルへ向かうだけ。

と、ここで1つ目のトラブル発生。
レストランのトイレの段差で、なんと大転倒。
2時間後の式で10cmのハイヒールを捩じ込む左足首を、完全にくじいてしまいました。

目出度い日になんという幸先の悪いことよ。

早速タクシーの中で肌色の湿布を貼り、結婚式会場があるオシャレホテルへ。
レンタルしていたカクテルドレスに着換え、恐る恐る件の足を靴にねじ込んでみました。
が。

これはいかん。
患部が腫れあがり、大根足が余計大根になっている…
なんてこった。
まともに立つのも難しい。

こういうイベントにトラブルはつきもの!
かのダイアナ妃だって、ご成婚当日のメイク中ドレスにシミが!何てこともあったじゃないか。
と、全く関係ないダイアナ妃で自分を鼓舞する王室ファン。

生まれたての子鹿も引くほどのガクブル足。
待合時間は、親族控室で歩行練習するはめに。

最低限の動きで屋上チャペルでの結婚式を乗り切り、母に介護されながら階下の披露宴会場へ辿り着きました。

ずらりと並ぶお祝いの席。

ピカピカのグラスやカトラリー、ウェルカムベア。
披露宴ですねぇ。

わあい椅子だ!と、
ハウルの荒地の魔女みたく、椅子にスローで猛進する28歳、怪我人。

あとは食べて飲む披露宴!
ああ、これで平和に過ごせる。
人目もはばからずで、中が見えぬテーブルクロスでヒールをポーンと脱ぎます。
はーーーー、解!放!


さあ、披露宴の始まりです。

新郎新婦入場、花嫁さんを撮る余裕も無くひたすら飲んで食べる。

お料理は、上品重視の軽量コース料理。
さくっと平らげて、はい次下さい!


さて着席後、急に新郎親族に知らされた事がありました。

それは、所謂親族のカラオケ余興絶対ナシで、というものでした。

困ったことに、私達家族を含め呼ばれていた新郎側参列者一同にここで動揺が広がります。
みんな喉に覚えあり!歌うつもりで来た者ばかり。
なぜカラオケ余興がないんだと不満の声が出ます。

何しろ我が親族は、お祝い事はもちろん、葬式当日だろうが納骨後だろうが法事だろうが、何ごとも基本カラオケ大会絶対の一族です。
そういう血のメンバー揃い。
みんな、一曲ずつ用意して誰が当たっても良いように、カラオケ余興前提で参列してきています。
これには親族一同、納得いきません。

しかしここは、新郎新婦の意向絶対

二人たってのご希望ときているので、皆しぶしぶ引き下がらざるを得ません。
余興でカラオケしたい、いやご意向ですから無理ですの押し問答を繰り広げ、調停役のウェディングスタッフの方に新郎新婦との連絡役を何度もさせてしまいました。

ケーキバイトも終わり、料理もいよいよ終盤へ。
ピカピカのお皿にフルーツとショートケーキが盛られ、我が前に置かれました。
…結構雑に盛ってある…と思っていたら、

ここでアナウンス。

「これより、余興として新郎新婦のご友人ご夫妻の生演奏とお歌の時間です。作詞作曲もご友人ご夫妻でされました」


…………………………………?!

え?!
歌の余興一切ナシじゃないの?!
さっきこっちで、あんだけ揉めたのに?!

そっと横目で我が親族席を見る……

うわぁ皆すごい不満顔。

…だよねぇその顔になるよねぇ…
せめて事前に新郎から知りたかったよね…
まあ、…ご意向ですから。

…デザートでも食べよ…

私はこれから眼前のケーキとチークタイム突入です。皿にのったフルーツから攻略開始。

さてこの間、ご友人(夫)はアコースティックギターの準備。
へー、ギター弾けるのすごいな。ご友人(妻)はボーカル担当らしくマイク調整。
ほぉ音楽ご夫婦。

さて、奥様のお歌が始まりました。
♪♫♪

ん?

なんか、なんか、音程が、なんか、その、えーと………不安定というか…お歌が苦手な方?…


………………緊張してらっしゃる??

そうだよね、こういう場所だもの。
それに、せっかくお祝いに歌ってくださる方に、変な文句は言いたくありません。

頑張れー!と心でエール送信。
ケーキもぐもぐ。

…しかし、困ったな。

どこがサビか分からない歌だな…。
初聞き素人作詞作曲メロディで、盛り上がりどころが分からない。


そしてどうやら、サビかなぁ???と思われるところで急にご夫婦ハモりだす。

…?
!?




……………………

明らかにご夫妻揃って音符が……ズレている。
一音も噛み合っていない。
ズレた音符のままハモり行為を続けておられます。
メンタル、強い。

言わずもがな会場は、まずい空気です。

一人だけなら耐えられそうだったけど、二人ハモってズレて歌われるとかなり厳しいものが…頬がぷるぷるする。

横目で母を見ても、ちょっと普段見たことない顔をしている。
私は大き目に頬張ったケーキを噛むことで乗り切ろうと、詰め込んでは必死で口を動かします。
意識を他にもってかないと、やられそうです。

ケーキ噛む歯がカチカチ言う!

笑うことだけは、絶対に許されない。
それだけは分かる、つらい時間です。

〜♪♫♪♫♪♫♪

………………しかし、長い。

知りようもない曲、とにかく終わりが見えない。
全身くすぐりに耐えながら、砂漠のオアシス目指してひたすら彷徨う気分です。

お歌はどうやらようやく2番開始。
会場いよいよ張り詰めた空気に拍車がかかる。

誰もが共通に抱えてるけど絶対にそれを言い出せない…きっとあと少しだから耐えようと思った瞬間、



「まぁ〜よう歌うわー!!!!!!!(超絶大声)」

という新婦親族の酔っ払いの爆弾投下。



あああああぁーーーーーー!!!





無念。
ここで限界突破。

何てことを言うのーーーー!!!と心では思うも真理をついていて抑えてきた感情に蓋をしきれない。

ほとばしる感情は、私の口から鼻を通りケーキの濁流となって押し寄せては出てきます。


悲劇は続き、

負けじとなにか我慢していた当方親戚から

「ありゃ歌かね!!!!(大声)」

という野次が。
もうやめてーーーーーー!!!!!!


濁流は一気にビクトリアフォールズに。ケーキが逆流しきると、鼻腔に激痛が。今度は死にそうな咳き込みも開始です。

慌てて駆け寄り、おしぼりを渡して下さるイケメンスタッフさん。


かくして、噛み合わないご夫婦の祝福の歌に野次2つと場にそぐわぬゼーゼー咳き込み音が追加。
ちなみに野次の2人はへべれけです
まったく酔っ払いは…もう!
私も、もうもう!!


あの、叫んだ新婦の親戚のひと、テーブル近いんだもん。
聞こえちゃったんだもん。
我慢出来なかったのです……………………



……しかしすごい。

周りの方々はとことん大人。
あとの誰一人、微動だにせず皆拍手の機会イコール終了の時を静かに待ち続けています。
なんて、精神力!


結局、ご夫妻は4番まで歌いきられ、
ようやく労いの拍手が送られます。
パチパチパチパチ!!!(拍手)

!!!!
終わった!!!!

すぐ新婦のお色直し退出。
私も追うように退出しトイレへ直行。

ケーキを出した鼻と顔を思い切り拭ったため、メイクは半分以上落ちています。
こちとらはお化粧直しです。

その後もキャンドルサービスやお手紙、ビンゴなど続きましたが、記憶がほとんどありません。
足の痛みも忘れ、疲れて抜け殻でした。
恥ずかしいったらない。
腹筋だけが妙に痛い。


20時、披露宴終了。
宿泊先の別ホテルへ移動し、ハイヒールとコルセットから解放されましたが、
痛みと笑いに堪える謎労務のあとで、もう燃えカスです。

が、容赦なくここからもうひと仕事。

色々不満と欲求の溜まった親戚のメンバーを、カラオケに連れて行かねばなりませんでした。

そうですよね、歌いたいよねみんな。


もちろん、私は捻挫した足を引きずりながら………



親戚の兄よ、
あの余興は辛かったです……………………

そして私以外ノーリアクションで、4番まで聞いて拍手で終えた他の参列者さんとスタッフさん。

皆さんは結婚式の猛者で立派な社会人です。


新郎新婦への真心からの祝福で余興を歌われたご夫妻、ごめんなさい。
あの時、酔っぱらいの鶴の一声でケーキを吹き出してしまった私をどうか許してください。

そしてこれからもお歌頑張って下さい。



それから二年後、私は親友の結婚披露宴に招待されましたが、その前日。
なんとバス停前のアスファルトの穴で転倒。
私はまたもや晴れの日直前足を挫き、痛む大根足でハイヒールを履きました。

デジャヴュ。

もう、結婚式に呪われている……………
だから結婚できないのか……


#結婚式の思い出


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