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トリビュートバンドの悦楽

 もう20年くらい前になりますか。職場のスタッフだった女性にあるコンサートに誘われたことがありました。彼女も相当なロックマニアで、以前ピーター・ガブリエルと、ハワード・ジョーンズが一緒にやってきたライブの会場でばったり会ったりして、それ以降時々音楽の話していたような人だったんですけど、誘われたコンサートが、何と彼女が追っかけやってると言う「トリビュートバンド」のものだったんです。

そのバンドは、シナモンという名前で、バンド名からはあんまり想像できなかったのですが、レッドツェッペリンのコピー、じゃなかったトリビュートバンドだったのですよ。

 はい、すごいですねえ。このとき彼らのライブを初めて見て、完璧に認識変わりました。なんか、ここまでツェッペリンを愛せるって、すごいじゃないですか。なんかそれだけで胸いっぱいの愛状態になったのを覚えています。画面左にちらっと写ってますが、モノホンのメロトロンですよね。ここまでこだわってコピーしてるんですね。このボーカルの方は、完全にロバート・プラントになりきって英語でMCするんですけど、途中でちょっとヨレたりして、そう言うのもまた何と言うか面白いのですよ。

 さらにこの時、対バンで出てたのが、こちらのShigeo Roll Over。

 いや、これも痺れました。こちらのジミーは、MCはいきなり大阪弁でしたけど、「ウッドストックのビデオよく見ると、ヘンドリックスのストラトのここのビスが一つ外れてまして、そこまでコピーしとります」みたいなMCで笑わせてくれるのですが、演奏は凄かった。ほんと参りました。

 ということで、なんかトリビュートバンドって楽しいなあ、とすっかり気に入ってみてたら日本には結構いろいろ存在するのですよ。たとえばこちら。

 Queenならぬ、Gueen(笑)。実は結構有名で、定期的にコンサートやっていて、わたしも何度か行ってますが、いつもこれくらいお客さん入ってます。ボーカル以外の人は全員プロミュージシャン。それだけに演奏レベルは無茶苦茶高いし、ボーカルの人のキャラクターも楽しくて、ライブは必見でしょう。

もうひとつ、こちらはピンクフロイドのトリビュート原始神母。

 実はこのバンドのライブは、まだ見たこと無いのですが、すさまじいクオリティです! フロイドのコピーするには、照明にも凝らなきゃってことなんでしょうが、トリビュートバンドでここまでやりますかね。とんでもないことだと思うのです。すごいなあ〜。

 他にも日本のトリビュートバンドはけっこういろいろあるので、YouTube探せばいっぱいいろんな動画が見つかります。活動歴の長いバンドは、やっぱりどれもそれなりに面白いですよね。やっぱり愛なんですよ。愛が半端ないのですよ。なので、愛する対象が同じであれば絶対楽しめるはずなのです。

 で、海外に目を向けると、これがまたとんでもない人たちが結構いるのであります。あろうことかワールドツアーやってるトリビュートバンドがあったり、本家公認の人たちがいたりするわけです。

 こちらはもちろんビートルズのトリビュートバンドThe Fab Four。しかし、顔から仕草から声から何から何までそっくりな人をよくもまあこれだけ集めるものだと関心しちゃいます。まあビートルズだからこそここまでできるんでしょうけど。それにしてもすごい。

 ビートルズと来れば、次はABBAですね。彼らは来日したことがありまして、わたし見に行きました(笑) コンサートはとても楽しかったです。実は現役時代のABBAの来日コンサート、見に行ける環境だったのに行かなかったという後悔がありまして、最近になってこんな体験させてくれるだけでも感謝です。ただ、彼女らはこのコンサートをやるためにオーディションで集められた人たちらしく、自発的なトリビュートバンドというわけではないみたいなんですけど。

 わたしが青春を捧げたジェネシス系も役者が揃ってます。こちらは、フィル・コリンズのそっくりさんMartin Levac。声だけでなく、スキンヘッド、左利きでドラム叩くところまで寄せてます。ちょっと顔が怖いのが本家とは違いますが(笑)。この人は本家公認のようで、本人と一緒の動画がどこかにありました。

 この方、もちろんジェネシスのトリビュートバンドもやってたのですが、ジェネシスにはピーター・ガブリエル時代だけをやってるバンドがあったりします。The Musical Boxです。

 この人たちも本家公認で、ピーター・ガブリエル最後のジェネシスツアーを、本家から実際に使ったスライドを借りてフル再現しているというこだわりようです。このツアーは、本家のライブ映像がほとんど残っていませんので、わたしも始めて見る内容だったりします。今この時のツアーが見られるというのは、ある意味文化の復刻作業のようなもので、ここまでくると彼らはもう立派な「失われた文化の語り部」なのではないかという感じです。

 昔のバンドの現役時代というのは、動画があれば追体験できるわけですが、ライブで体験することはもう叶わないわけです。そういう夢をちょっとでも見させてくれるというのがトリビュートバンドのいいところだと思います。日本人は器用な人が多いのか、演奏のコピー具合のレベルは世界的にもけっこう高いのではないかと思います。近くのライブハウスでそういうバンドが出ていたら、ふらっと見に行くと人生変わるかもしれないです。変わらないまでも、人生にちょっと潤いが付け加わることだけは間違いないです。


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