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1980年:なぜか好きだった日本のバンド「ヒカシュー」について

 実は、わたしがヒカシューをはじめて聴いた年については正確な記憶が無いのです。ただ、1980年か81年のことだったと思うのは、いくつかの記憶から間違いないのです。ちょうど、当時付き合っていた彼女に紹介したら「変態」扱いされたとか、そういう思い出なんですけどね(笑)

 ヒカシューは、70年代から活動していたようですが、1980年の2月にデビューアルバム「ヒカシュー」、7月に2ndアルバム「夏」を立て続けにリリース。ファーストシングルの「20世紀の終りに」は79年10月のリリースですので、ひょっとすると79年のうちに耳にしていて、その後アルバムを80年か81年に聴いたのではないかと思うのです。

ヒカシュー / ヒカシュー 1980

このアルバム、AppleMusicでは、2001年とクレジットされていますが、これが80年のデビューアルバムです。再発年とかそういうことなのかもしれませんが、セカンドアルバムの「夏」はちゃんと1980年になってるわけで、AppleMusicのこういう適当なところ、ホントもう少し何とかして欲しいですね。

夏 / ヒカシュー 1980

 80年か、81年かというのはさておき、本当にこの時期わたしはけっこうヒカシューは好きでよく聴いていたのです。やっぱりきっかけは「20世紀の終りに」のインパクトだった思うのですよね。

冒頭で巻上公一にインタビューしてるのは、彼らのプロデューサーだった近田春夫ですよね。

 冒頭の、「イヤヨ イヤヨ」というのがメロトロンの音でして、メロトロンをこんな変な使い方するバンドというのは初めてで、そういうことで興味を持ったということもあるのですが、なんか変わったメロディーだけどキャッチーなところもあり、歌詞の深さもなかなか面白かったのですよ。

プヨプヨと まるで病人のように立つ
ほら ぼく こんなに不健康
ピョコピョコと まるで健康のように立つ
ほら ぼく こんなに不感症

プヨプヨ/ヒカシュー

 なんか深いですよねぇ(笑) こういうのがとても面白かったのです。この曲の歌詞のことかどうか、定かで無いのですが、当時、詩人の谷川俊太郎氏が彼らの歌詞を激賞したみたいな話もあったように記憶してます。当時彼らは、テクノポップというカテゴリーで言われており、テクノポップといえば、イエロー・マジック・オーケストラが、この頃大ヒットしていたわけなのですが、わたしにとってはYMOよりヒカシューの方がずっと興味ありました。まあこれは、YMOよりヒカシューの方が、ずっとプログレっぽい文脈を持っていたからだと思うのですけどね。実際、わたしはP-Modelとか、プラスチックスとか、当時ヒカシューと一緒に「テクノ御三家」といわれた他のバンドは全く聴いていなかったのです。ということで、テクノポップが好きだったというよりは、ヒカシューだけ特異的に好きだったということなんですね。やっぱりわたしにとっては、これもプログレの一種だったのだと思うのです。

 でも一方で、ヒカシューは案外万人受けするメロディを持っていて、今では信じられないかもしれませんが、当時CMソングなんかに起用されていたりしたんですよね。例えばこの曲。

 冒頭から聴きやすくて軽快なこの曲は、当時クラリオンのCMソングになっていて、水着姿の烏丸せつこのバックで流れていたのですね。改めて考えると、ちょっと笑えるほどありえないシチュエーションなんですが、当然曲のキャッチーなフレーズのところだけCMには使われるわけです。そして、曲の途中の「パノラマ、パノラマ〜」というあたりの、まさにヒカシューという感じの展開の部分はテレビでは放映されないわけなんです。そういう使われ方をする不思議バンドみたいな感じで、そういうのもけっこう面白く感じたりしていたわけなんです。

 ただ当時、このファーストアルバムとセカンドアルバムを本当に聴いたのかどうかが、ちょっと記憶があやふやなのです。AppleMusicで今改めて聴いても、全く記憶に無い曲がけっこうあるのですよね。その後彼らは、2001年にベスト盤をCDで発売しており、それは買って当時よく聴いたのです。

 ひょっとすると、このベスト盤と記憶が混濁しているのかもしれないのですが、80年頃にわたしは彼らの曲を録音したカセットテープを持っていて、それをよく聴いていたのです。(実はレコードは買ってなくて、恐らく貸しレコード屋で調達してカセットに録音したものを持っていたと思うんですね)そして、そのカセットの中に、先の「白いハイウェイ」が入ってたような記憶があるのですが、この曲は今見ると、1st、2ndアルバムには収録されてないのですよね。一体どういう事だったのか、まったく記憶が無いんですよねえ。この頃、このアルバム以外に何かコンピレーションとか、出てなかったですかね? ぼくは元来ずぼらなので、レコードから気に入った曲だけセレクトしてカセットに録音するとか、そういうことやらない人なんですよ。なので、このとき一体ヒカシューの何を聞いていたのか、いまだによくわからないのでした。困ったなあ(笑)

 ということで、敢えて思い出そうとすると、なかなか思い出せないのですが、わたしとしては80年頃、こういうのも案外好きで聴いていたのでした。

 ちょっとnoteでヒカシューを検索したら、何と巻上公一さんご本人の記事を見つけてしまいました。なんかお近づきになったようでうれしいです。実はヒカシューは現在も活動継続しており、2021年にニューアルバムがリリースされています。久しぶりに聴いてみたのですが、以前よりかなりアバンギャルドな感じになっていて、わたしとしてはちょっと昔よりは距離を感じてしまったのですが、それでもまだ活動しているというのは、本当に凄いことだと思います。プログレ界の至宝、PFM並の活動歴ですよね。

虹から虹へ(ヒカシュー2021年のアルバム)




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