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ノルウェーのプログレバンドで思い出す「ジャケ買い」のこと

 昭和のアナログレコードの全盛時代には、「ジャケ買い」という言葉がありました。これは、レコード店でジャケットのアートワークだけ見て聴いたことのないアルバムを買うことなんです。

 1960年代、70年代というのは、とにかく音楽、特に洋楽はラジオで聴くか、レコードかけて聴くかしか選択肢がないわけで、音楽雑誌のニューアルバムレビューなんか読んで、「ああ、このレコード聴いてみたい!」と思っても、それをお試しで聴けるという環境が全く無かったわけです。70年代も後半になると、「貸しレコード屋」というお店が突然出現し、そこでアルバム1枚を300円くらいで借りて、せっせとカセットテープに録音するということをやってたわけですが、わたしの高校時代にはまだそういうお店はなかったわけです。

 それでも東京に住んでいたわたしは、恵まれてる方でした。というのは、当時銀座に国内電器メーカーのオーディオのショールームがいくつかありまして、なかでもTechnics(松下電器のオーディオブランドですね)のショールームにアナログレコードのライブラリがあったのです。これがタダで聴けたのですよ。ロックの名盤系がいろいろあったので、学校帰りにそこに寄り道しては、けっこうロックのアルバムを聴きました。(ちょうど通学ルートだったので)

 で、「ジャケ買い」なのですが、やっぱり中学、高校時代というのはなかなかそんなことする勇気はないわけです。その頃は一生懸命ためたお小遣い握りしめてレコード屋に行くわけで、とにかくその日に買うレコードは入念に下調べして、脇目も振らずに買うワケなんです。結局ジャケ買いというか、アートワークのインパクトということでよく引き合いに出される、あの「クリムゾンキングの宮殿」も、ジャケ買いではなく、下調べしまくった暁に購入したのでした。


 結局そんなことが出来るようになったのは、やっぱり自分で給料もらうようになってからでしょうか。わたしの場合、そんな時期にジャケ買いして、あちゃーとなったのは、こんなのとか、こんなのとか…わりとフュージョン系が多かったような気がします(笑)

 ウェザーリポートは、当時 Heavy Weather というアルバムが大ヒットして、ラジオなどでちょこっと聴いていたのです。だいぶ後になってこれを買いに行ったのですが、このジャケットがけっこう微妙で、店頭で見てたらもっとかっちょ良いジャケットがあったので違うのを買ってしまったのでしたが、これは厳しかった。全く刺さりませんでした(笑)


 音楽もすっかりAppleMusicとかのストリーミングに移行してしまったのですが、わりと最近、「おお、このジャケットはインパクトあるなあ〜、これ昔レコード屋で見たらジャケ買いしてたかもなあ〜」と思うようなアートワークに出会いました。それがこちら。

Remedies Soup


 いやあ、インパクトありますねえ。このジャケット見るまで全く知らなかったのですが、Soupという名前のノルウェーのロックバンド。このアルバムRemediesは、2017年のアルバムで、2004年頃から活動しているというかなり活動歴の長いバンドです。で、ジャケットのアートワークと、サウンドが結構マッチしてます。北欧プログレの系統で、インストの雰囲気がちょっとシガーロス(Sigur Rós)を思い出させるような感じなのですが、個人的にはシガーロスよりずっとこっちの方が刺さってます。

 ちなみに、このバンド名のSoupですが、英語のスープという単語そのままの素っ気ないバンド名。単にSoupと検索すると、キャンベルの缶詰スープの情報とかが大量にヒットして、なかなかバンドの情報が出てこないので、検索するときは、Soup band で検索しましょう。マイナーなのに、こういうビッグワード1語だけというバンドやアーチストは、狙って検索しないとなかなか情報でてきませんよね。もうひとり、Fishというミュージシャンもわたし大好きなのですが、この人もそういう状態です(笑)


 


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