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093. ここは・・ホーンテッドマンション?グルノーブル考古学博物館

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。10月に入ってハロウィンが近づいてきたので、今日はそんな時期にぴったりな(とはいえ、フランス人はあまりハロウィンで盛り上がらないようですが…)、ちょっぴり怖いグルノーブル考古学博物館に、当時3歳のむすめ(当時)と訪れた時のお話。

2020年3月某日。お天気が良かったので、イゼール川のほとりをむすめとお散歩して、向かったのはグルノーブル考古学博物館。「ここは一見の価値ありだよ」と誰かにすすめられてからずっと気になっていたこの博物館。しかし、ネットで調べてみると、どうやらガイコツが祀ってある?展示してある?ということで、気になりつつも中々足が伸びなかったのだった。

けれど、博物館のお隣でとってもかわいいドレスに出会って気分が良くなったわたしはそのままのテンションで、博物館のドアを開けてみることにした。入場料フリーだから、もしダメだったら帰ればいいよね、と。

エントランスに入ると、ニコニコしたきれいなお姉さんたちが「Bonjour!」とあいさつをしてくれた。しかし、出迎えてくれたのはきれいなお姉さんだけではなかった。エントランスには小さなミュージアムショップが併設されていたのだが、そこに並ぶドクロドクロドクロ・・。若干いやな予感。しかし、娘はきれいなお姉さんにスタンプラリー形式の学習用ワークシートをもらい、これから宝探しが始まるぞと言わんばかりに嬉々としている。そうだ、彼女の目線からはもしかしたらこのドクロたちは見えないのかもしれない。

ニコニコと見送るお姉さんたちに手をふって、エントランスから展示スペースに入る。と、足場があみあみの鉄格子になっていて、むすめは「怖い!怖い!ダッコ!ダッコ!!」とわたしのからだによじ登ってくる。え、はやくないですか?まだ入ってもいないよ?(笑)。

この時点ですでに帰りたそうなむすめ

さらには、奥の方から「ドーン!」という隕石が落ちるような謎の音と、その背後から聖歌が響いていた。何かある感が満載すぎる。むすめのしがみつく力もどんんどん強くなる。足をすくませながらもようやく中に入っていくと、圧巻だった。ドーム上の天井の下には、地下通路のようなものがあり、怪しげな原色のネオンライトが照らしていた。さらに、よくよく見ると、そこには人の形らしきものがゆらゆらとうごめいている。

なんでこういう展示にしたんだろう・・。

「ひぃっ!!」

思わず声が出てしまった。


まるでホーンテッドマンションのよう・・あ、いやいや。ここは神聖な場所だ。先ほどからゆらゆらうごめいている人たちは、プロジェクションマッピングで映されていて、どうやらここでかつてあった暮らしを再現しているらしい。だが、ますます近くで聴こえる聖歌とドーン!が映像とこれまた絶妙にマッチしすぎていて怖い。いや、聖歌自体はとても美しいですよ。聴くのも好きですよ。でも、今はダメ。アーメン終止とその厳かなクレッシェンドが、今この状況では怖すぎる。さらに何が怖いって、ここにはわたしたち以外に誰もいないのだ。

たまにボヤーッと出てくる人影はちょっと怖いが、当時ここでどんな暮らしが営まれていたのか興味をそそる。

大人のわたしでもそんな状態なので、3歳のむすめはもはやパニック。「怖い!怖い!帰る!!もう帰るー!!」と大騒ぎする声がいい感じに反響しまくっている。うーん…もう帰ろうか。でも、せっかくだからきれいなお姉さんにもらったスタンプラリーを一個だけ見つけてから、と思って、むすめとバインダーを抱える。とりあえず一番見つけやすそうなものをターゲットにしてうろうろ歩いてみたのだが・・全然見つからなくって、さまよっているうちに、図らずも「一見の価値あり」と言われたガイコツが埋葬されている場所にたどり着いてしまった。でも、不思議とその場所だけは怖さはなく、とても大切にされた空間だと感じられた。

ここは聖人のお墓なのだろうか。

しかし。
もうパニックのむすめとブルブル震えるわたしの腕が限界だ。この日はおとなしく退散することに。ところが、帰り際に奥に気になる通路を発見してしまい、こりないわたしは翌日夫を引き連れてリベンジすることにしたのであった・・つづく。

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