Blue - 男性不妊症について

医師になり20年が経過しました。これまでに、診療や研究を継続し、現在は男性不妊症を専門…

Blue - 男性不妊症について

医師になり20年が経過しました。これまでに、診療や研究を継続し、現在は男性不妊症を専門として都内大学病院に勤務しています。男性不妊症に関する診断や治療に関する幅広い知識や技術に関して文章にしていこうと思います。2021年を節目にnoteを始めてみました。

最近の記事

日刊ゲンダイに記事が掲載されました

2021年5月10日のScientific Reportsに掲載された論文に関する記事が5月14日の日刊ゲンダイデジタルに掲載されました。 この研究を一言で説明すると、「世界初の無精子症のAI病理診断」です。ほんの数年前まで、この技術は不可能でした。医療AIはこれからますます発展していき、不妊症の世界だけではなく、医療界に貢献していくでしょう。ぼくも微力ながら今後も貢献していきたいと思います。男性不妊症専門医とAIソフトエンジアの両面を押し出していきたいと考えています。

    • Scientific Reportsに論文が掲載

      男性不妊症 X AI 昨年からコツコツやってきた仕事がようやく論文となりました。5月10日の午後6時に解禁となりました。一言で説明すると、精巣組織の病理画像をAIで自動認識してくれるモデルの開発です。しかも、エンジニア不要でつくることができました。 詳細に関しては、下記を参照してもらうこととして、今回は、プレスリリースについて書こうと思います。プレスリリースは論文が解禁になる前に各報道機関へ、「こんな論文が今度、うちの大学から出ますよ~」という宣伝です。なので、論文が公開

      • 男性不妊症の原因と薬物治療

        本邦では少子高齢化が現在急速に進行しつつあり、生殖補助医療の重要性が増しています。2017 年には全国で 586 施設、年間 448,210 周期の生殖補助医療が行われ、このうち生産分娩にまで至った治療周期は 52,997 周期(11.8%)、56,617 人の新生児が誕生しています。 菅 義偉 首相は少子化対策として、不妊治療の保険適用を実現する方針を所見表明演説で示されました。特に、2022年の夏頃を目途に保険診療を目指していると報道あったかと思います。 しかし、何

        • 精液採取のチョットしたコツ

          先日の日曜日は、都内の婦人科クリニックで男性不妊外来をさせて頂きました。前日から雪が心配されていましたが、降ることなく、患者さんもキャンセルにならずにホッとしました。 今回は、精液検査の話題です。精液検査は、男性不妊症外来を行なう上で大切な検査ですので、正しい検査の方法やデータの見方をQ&A方式でお伝えします。 ①精液検査をするために禁欲期間はどのくらいが適切ですか?また、何回、検査をするのがいいですか?2日~5日間の禁欲期間がベストです。2回以上検査をお勧めします。

        日刊ゲンダイに記事が掲載されました

          COVID-19 ワクチンは男性不妊症患者に投与すべき?

          こんにちは。今日は、COVID-19に対するワクチンの話題です。2020年1月18日に新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑にワクチン担当に河野氏が起用されるなど、ワクチン接種に関して注目が集まっています。 気になるのは、男性不妊症で通院している男性がこの新型ワクチンを投与するべきか、しないべきか気になるところです。 まずは、COVID-19に対するワクチンの説明です。現在、世界中で投与が始まったワクチンは下記の3種類です。 ①Severe acute respirat

          COVID-19 ワクチンは男性不妊症患者に投与すべき?

          厚生労働省オンライン診療研修

          今回の話題は、男性不妊症から離れて、オンライン研修についてです。新型コロナウイルス感染症は、世の中のあらゆる業界でDX (デジタルトランスフォーメーション)が加速化しました。去年の5月に行なった医学部での講義もZoomで行ないましたが、初めてにもかかわらず、事務の方の協力のおかけで、スムーズにやり遂げることができました。そのおかげで、10月の聖路加看護大学での講義もZoomでしたが、問題なくできました。 このDXの加速は医療界も例外ではありません。それまで、普及していなかっ

          厚生労働省オンライン診療研修

          提供精子を用いた人工授精の話題

          #日経COMEMO #NIKKEI 今朝(2020年1月14日)の日経新聞に提供精子を用いた人工授精の記事がでていました。ぼくも日常診療でこの件については多くの関わりがあるので、今回はこの話題について書きます。 以前は、AID (非配偶者間人工授精)と呼ばれていましたが、2018年の会告より、”提供精子を用いた人工授精”と呼ばれています。どういう治療法か簡単に説明すると、第三者の精液を子宮内に注入する治療法です。妊娠率は5~10%くらいです。(ちなみに、提供精子を用いた体

          提供精子を用いた人工授精の話題

          2020年12月にアメリカでの男性不妊症に関するガイドラインが新しくなりました

          今回の投稿に関しては、2020年12月にアメリカにおいてリニューアルした男性不妊症に関する診断および治療に関するガイドラインの話題です。残念ながら、我が国においては、男性不妊症に関するガイドラインは存在しません。(ガイドラインとは、標準的な治療を行なう上での治療指標のことです。)今回は、このアメリカでの男性不妊症に関するアルゴリズムを紹介したいと思います。 簡単に解説すると、女性の年齢が35歳未満かつ1年間の不妊または、女性の年齢が35歳以上かつ6カ月間の不妊がスタートとな

          2020年12月にアメリカでの男性不妊症に関するガイドラインが新しくなりました

          生殖医療専門医(泌尿器科)の不足

          第1回目として、生殖医療専門医の人数について書きます。生殖医療専門医は、産婦人科医および泌尿器科医が取得する専門医です。取得に関しては、産婦人科または泌尿器科の専門医を取得をした後で、一般社団法人日本生殖医学会が開催する学会や、講習会の参加、論文発表などを経て、研修成果の書類提出と筆記試験および口頭試験に合格して取得できるハードルが高い専門医です。多くは産婦人科の先生が取得されており、ざっと、500人以上が認定されていると思います。ただし、泌尿器科に関しては非常に少なく、20

          生殖医療専門医(泌尿器科)の不足