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スマートシティに住むことが幸せだと考える中東・北アフリカ ― マスターカードの未来都市レポート

case | 事例

マスターカードが公開したMastercard Cities of the Future Report 2024は、特にエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を対象に、中東・北アフリカ(MENA)地域におけるスマートシティに対する人々の願望と技術的進歩に関する分析を特集している。レポートでの集計によると同地域の76%の人々はスマートでコネクテッドな都市に住む方が幸せになれると回答している。UAEでは回答者の68%、サウジアラビアでは75%、エジプトでは82%がスマートシティに住むことでより幸せになれると回答しており、この3地域がMENAで高い割合を示している。

スマートシティのイノベーションの重点についての考えは、スマートでコネクティッドなビルや住宅がトップ(62%)、僅差でスマート旅行サービスが2位(61%)、人工知能(AI)と機械学習(58%)が次いで将来の都市にとって最も重要な技術であると認識されている。この重点の見方には地域差があり、UEAはスマートビル・住宅、サウジアラビアはスマート旅行サービス、エジプトはAIの活用がそれぞれトップと分かれている。
また、持続可能性の観点からは、気候変動対策の必要性に対する意識が高く、全体で約6割の回答者がクリーンで再生可能なエネルギーへの転換を図るスマート・ソリューションが最優先課題であると回答している。一方エジプトでは、スマートで安全な決済ネットワークと近代的で効率的な交通機関が最優先事項となっている。
さらに、都市や社会のデジタル化に関しては、銀行、公共料金、交通機関などのサービスへのデジタル・アクセス(59%)、プライバシーや個人データの安全性(58%)、すべてのサービスと情報を統合する単一のデジタル・プラットフォーム(53%)が優先事項とされている。

スマートシティを望む一方で、調査回答者は、スマートでコネクテッドな都市になるにつれ、人との交流が減ること、伝統的な仕事を失うこと、伝統的な文化的つながりを失うこと、身体的に活動的でなくなることなどへの懸念が挙げられている。本レポートは、2050年までに世界人口の3分の2が都市部に住むようになると同時に、その安全性、持続可能性、包括性を確保することの重要性を浮き彫りにしている。

insight | 知見

  • 海外で行われた調査を見ていつも思うのが日本や他の地域で調査したらどうなるだろう、ということですが、この調査もまさに他地域との比較が気になります。アンケートの選択肢の設計の結果だとは思いますが、MENA地域の回答者のスマートシティ・リテラシはかなり高いように感じます。

  • 日本でのスマートシティに対する懸念は、恐らく個人情報に関するものがトップに挙げられると思いますが、そこはMENA地域とはだいぶ感覚が違うのだと調査結果から感じられます。