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2030年までに都市の移動に占めるシェアモビリティの割合が7%まで伸びる見込み

case|事例

コンサルティング企業のオリバー・ワイマン社は、リスボンで開催されたヨーロッパ最大のテック分野のwebサミットで、2030年までに都市の移動に占めるシェアモビリティの割合が7%まで伸びるだろうと予測したレポートを発表した。現在、シャアモビリティの割合は3%程度と見込まれており、2030年までに倍以上の水準となる見込み。また、シェアモビリティの普及に伴い、市場規模も44億ドル(約60兆円)まで拡大すると予測されている。今回のレポートで定義されるシェアモビリティには、自転車や電動キックボードのシェアリングから、カーシェア、ライドヘイリングまでが含まれる。

シェアモビリティの普及によって、輸送コストの削減やCO2削減などの社会的なメリットが期待できるとレポートでは述べられている。一方で、シェアモビリティの普及によって都心部などで移動が増加した結果、混雑が悪化したり環境負荷が増大することや、電動キックボードの安全性、ライドヘイリングのドライバーの労働環境の劣悪さなどの懸念が残るとも指摘されている。CO2削減などの社会的なメリットを得るためには、交通体系にうまく統合される必要があるが、消費者の選好や他の交通手段の影響が大きいため、全体として社会的なメリットが享受できるかどうかは現時点では不透明な部分が残ると結論付けられている。

insight|知見

  • 昨日投稿したオランダのカーシェアの苦闘に関するレポートとあわせて読みたいレポートです。

  • ライドヘイリングが公共交通の救世主のように最近また語られ始めましたが、世界の事例を見ているとそれは幻想でしかないように思います。ライドヘイリングは非協調な市場では必ずしも需給がマッチせず、お客を獲得したいドライバー心理から都心の供給が過多になり混雑が悪化するという調査研究もあります。

  • 規制緩和やICTの議論に一辺倒になることなく、どういう政策介入が必要なのかなどの議論を丁寧にしてほしいですね。