見出し画像

ライブレポート MY FIRST STORY 「We Promise 4 U once again tour 2021 final in 日本武道館 」

2022年2月10日、日本中に大雪がふりそそいだこの日、日本のロックバンドの聖地である日本武道館で、日本のロックシーンの歴史に残る伝説のライブが開催されました。

そう、4人組ロックバンドであるMY FIRST STORYのツアーファイナル公演である武道館公演です。


2022年から遡ること5年前、彼らは初めて同じ場所、武道館でライブをし、ある誓いを立てたのです。

「俺は5年後東京ドームに立つ。そして実の兄であるONE OK ROCKを超える!」

彼らは自身の代表曲である「不可逆リプレイス」演奏中に絶対的な意志を込めて宣言しました。

そこから彼らは一年ごとに順当にステージを上げていきます。

2017年には事前告知なしのミニアルバムリリース、幕張メッセにて予告なしのオーケストラセッション。

2019年1月には横浜アリーナ2Days。2Daysとも同じ曲を演奏せず、2日で1つの物語が完成するという構成。

2019年11月には自身の最大規模であるさいたまスーパーアリーナでの巨大なセットとともに圧巻のパフォーマンス。
スペシャルゲストとして、シンガーソングライターである優里をステージに上げ、共に制作した楽曲を演奏。
のちに優里は日本を代表するシンガーソングライターとして、メディアを席巻します。

2020年にはパシフィコ横浜にて昼夜を含めた驚異の6公演を実施。
これまで楽曲でコラボしてきたアーティストや自身と交流が深いアーティストを招いた伝説的なフューチャリングライブを敢行。
新型コロナウイルスの影響で、ライブ自体に懸念が叫ばれる中、大成功を収めます。


そして2021年、本来であれば武道館公演の宣言どおり、東京ドームでのライブが行われるはずでした。

しかし、新型コロナウイルスの感染者が後を絶たず、ライブどころか、普通にイベントを開催するのすら難しくなっているのが現状ではあります。

彼らは会議に会議を重ね、万全の状態で東京ドームへ臨むべく、開催を断念することを決断しました。

宣言を達成できなかった代わりに、5年前に宣言をした場所でのライブで本当の声を届けたいと、彼らは再び日本武道館でのライブを開催します。


iOS の画像 (1)

大雪が降り注ぐ氷点下の千代田区九段下に、バンドTやマイファス関連のファッションに身を包んだファンが集まり始めました。

会場内には、MY FIRST STORYの名付け親であり、彼らが敬愛してやまないPay money To my Painのナンバーが武道館を振動させ、1曲目を待ち侘びるファンのボルテージを上げていきます。

PTPの楽曲が流れ続ける中、突如武道館が暗転し、ファンの集中を一気に集めます。いよいよライブが始まるのです。



ステージには煙が立ち込め、SEが会場の緊張感を誘います。
徐々にギターのTeru、ベースのNob、ドラムのKid’zが登場し、各々の楽器をチェックしし始めます。もちろんオーディエンスは声を出すことはできないので、高らかな拍手で彼らを迎え入れます。

「5年ぶりだな、日本武道館!」

ボーカルHiroの高らかな第一声と共に、彼らの最新アルバムのリードナンバー、「アンダーグラウンド」が響きわたります。5年経ったマイファスを日本中からきたファンに対しての証明が開始されました。

画像2

続く2、3曲目は、4th Album ANTITHESEからの歪んだ重低音が特徴的なロックナンバー、「Boom」「Smash Out!」を流し込み、会場にロックマインドを叩き込みます。

5年前の武道館も、このANTITHESEを提げたツアーファイナルで、当時の宣言から思うことがたくさんあるのでしょう。

計3曲を終え、あいさつにてHiroが

「様々な思いがあり、この場所に立ってます。」

と、思いの丈を漏らし、THE FIRST TAKEでも披露されたミディアムナンバーの「ハイエナ」、ピアノサウンドが目立つ、マイファスの新しい面全開の「告白」で、会場を一度クールダウンさせます。

画像3

告白」でHiroの暖かい歌声が響きわったったあと、少しBPMが上がり流れたのが、彼らの大人気ナンバー「君のいない夜を超えて」です。優しくも疾走感のあるギターが心地よく、会場を魅了します。
続く「I'm a mess」は、シングルのカップリング曲でありながら、コロナ時代のもどかしさが歌詞に込もったタイムリーで共感性の高い曲で、会場との一体感を作り上げ、最新曲であり、映画マトリックスレザレクションズのタイアップにも抜擢されている「PARADOX」で、ロックとはまた違ったマイファスを見せつけました。

画像4

続く「monologe」「虚言NEUROSE」では、武道館公演に足を運んでくれたことへの感謝と、来場してくれたことを絶対に後悔させないための信念をMCで見せつけ、初期のスクリーモロックへと戻り、再び会場を躍らせます。

MCではHiroが初の日本武道館ワンマンのエピソードや、5年前の宣言に込めた感情の全てを赤裸々に告白します。

「実の兄であるONE OK ROCKを超えると宣言したことは後悔はしていないし、しっかりと兄と話し合ったが、信念は揺るがなかった。」

と彼は振り返り、

「僕たちのことを信じて待ってくれていた人、約束を守れず本当にごめんなさい。でも本当にみんなに支えてもらいました。コロナ禍で試行錯誤して作った曲をみんなが聴いてくれて、ライブに来てくれて、みんなに支えられて僕らは今生きています。申し訳なさと同じくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。」

と、目標を達成できなかったことへの謝罪と、それでもついて来てくれたことへの感謝を告白します。

MCを終え、流れた次のナンバーは、ピアノアレンジがかけられた「この世界で一番の幸せ者にはする事など出来ないかもしれないけど…

画像5


と、思いきや「今日はやりたい曲が多すぎでメドレーを作って来ました!みんな楽しんでいってください!」と、一瞬にして「終焉レクイエム」のダークな世界感へと転換。
と思ったのも束の間、オシャレな雰囲気の5th Single「ACCIDENT」へ切り替え、会場を躍らせます。
ACCIDENT」も一瞬で終わり、次に何がくると思いきや、まさかの1st Albumの収録曲「Take It Back!」を演奏する彼ら。
メドレーのラストは、圧巻のラップスキルを見せつけるマイファス随一のミクスチャーナンバー「MONSTER」で「暴れろ!」と叫び、会場側は声が出せない代わりに拳を突き上げたり飛び跳ねたりと、感染対策のルールに準拠し、彼らのパフォーマンスに応えます。

画像6

バンドSEを挟み、武道館全体がスイッチを入れ直したところで解き放たれたのが、彼らの代表曲であり、英語詞とシャウトパートが圧巻の「ALONE」。
会場セットから炎が上がり、ボルテージをMAXにします。

「ALONE」の疾走感を保ったまま、「大迷惑」「Missing You」と、ロックかつ優しい雰囲気の楽曲を連続して披露。

再び挟んだMCでは、ドラムのKid’zを中心に、メンバー全員の緩い雰囲気を披露し、ハードだった雰囲気を和ませます。

いつものマイファスが見れて安心したところを容赦なく畳み掛けるかの如く、初期から続く人気ナンバー「モノクロエフェクター」、最新アルバム集録の「猿真似ドロップアウト」とダンサブルなナンバーで、クライマックスへの準備を始める武道館全体。


「最後2曲です。今日は本当にありがとうございました」
と、スピード感あふれる「REVIVER」を披露したのち、いよいよ最後の一曲へ。
最後のナンバーは、5年前と同じ、そして5年前に「ONE OK ROCKを超える」と誓ったときの曲「不可逆リプレイス」でした。

「今日は本当にありがとう。これからも止まることはないからついて来てくれ。」
MCで感謝の意を改めて表し、2022年の武道館公演はこれにて幕を閉じるのでした。

画像7












そう、誰もがそう思っていたのです。

不可逆リプレイス」を終え、改めて、Hiroが5年前のことを振り返ります。

「あんな宣言をしてこんなことを言うのは虫のいい話かもしれないし、都合いいって思われるかもしれないし、恥知らずって思われるかもしれない。でももし、今日のライブを観て思いが少しでも届いたなら、もしよかったら、弟の夢に付き合ってくれませんか? 」         


画像8


「兄貴!」

と、突如Hiroが実の兄のONE OK ROCK Takaに向かって叫びます。

一気に会場がざわめき始め、しばらくすると会場のスポットライトで照らされている席には本当にONE OK ROCKのTakaがいたのです。

そしてステージ横のスクリーンにTakaの顔が東映されます。

スポットライトで照らされたTakaに向かって、Hiroは


「来年俺らと東京ドームで一緒にやってくれませんか?」


と問いかけます。
しばらく考えたあと、Takaは静かに頷き、かかってこいよと言わんばかりに親指を立て、Goodサイン。

Hiroは思わず、「ありがとうございます!」と喜びと安堵をあらわにし、

「アンコールなしにして、本当の最後にこれを披露します。この曲は5年前にもう二度とやらないと決めた曲です。もう一度やります!」

と、会場がサプライズの連続に混乱している中、ライブではもう見ることができないと誰もが思っていた「Home」を披露するのでした。

iOS の画像

もちろんHiroだけでなく、Teru、Nob、Kid`zも安堵の表情を浮かべ、気持ちよさそうに「Home」を演奏。会場も止むことのない拍手を送り続け、雪の降る武道館にて、伝説の一夜は幕を閉じたのです。






TakaとHiroはお互いの音楽についての言及はほとんどせず、メディアやSNSでも一緒に映ることのなかった兄弟間でした。

しかし、お互いをリスペクトし合い、MY FIRST STORYONE OK ROCKを目標にし、ONE OK ROCKMY FIRST STORYを最大の脅威だと認識し始めます。
5年の時を経て様々なステージに挑戦することにより、最初は「似ている」「ワンオクの弟」と非難されていたMY FIRST STORYが、今では日本を代表するRock Band、MY FIRST STORYとして認識されるようになっていったのです。

1年後の東京ドーム公演は、ロックファンどころか、日本中、世界中の音楽フリークが注目を集めることになるでしょう。

本当にMY FIRST STORYについて来てよかったと思える、彼らの想い、信念、目標の全てが詰まった、そして表現された素晴らしいライブでした!

ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?